また、潮田氏はそもそもLIXILの株式を3%程度しか保有していない。これらの事実から、同氏はLIXILのオーナーではない。資本持ち分的には経営支配権を有しないし、指名委員会議長や取締役会議長でもなくなったので、機能的な支配権も失った。6月の株主総会で取締役も辞任すれば、一般株主と同様な立場の関与者となる。
そんな潮田氏が、LIXILの本社をシンガポールに移転することを画策していたというのだから呆れる。前回記事に書いたことだが、シンガポールに居住している潮田氏は自らへの税制の制約から、日本には年の半分以上滞在できない。シンガポールと日本との往来を忌避して、自らが預かった会社のほうを自宅近くに持ってこようとしていたのだとしたら、経営者の道楽、いや、わがままもこれに極まれりというほかはない。
株式所有が少数でも、創業家出身者が実質オーナー経営者のように振る舞っている上場企業は珍しくない。トヨタの豊田章男社長が所有するトヨタ自動車の持ち株比率は0.1%にすぎないが、その求心力はいうまでもない。
(この項 続く)
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