2018年10月29日月曜日

トヨタとソフトバンク、協業関係に…豊田章男氏と孫正義氏が交わした「約束」(5)

トヨタの真の果実は孫正義への接近


 しかし今回の新会社設立、そして2社の協業開始で一番大きな要素は、単にライドシェアという単一ビジネス分野のことではないと私は見ている。

 今後大きなビジネスの展開のなかでもっとも大きな因子となりうるのは、単純に豊田章男と孫正義という2大アントレプレナー(企業家)の遭遇であり、相互知見にほかならない。これは、特にトヨタにとって将来これ以上ない大きな布石となった可能性がある。

 私がそう指摘するにはいくつかの理由、状況がある。

 まず、豊田社長も孫社長も日本で並外れたアントレプレナー同士であることだ。孫社長はもちろんソフトバンクGの創業経営者でオーナーである。文字どおりの最高意思決定者だ。豊田社長はトヨタのオーナー経営者ではないけれど、創業家の3代目社長としてその求心力は近年とみに大きさを増してきている。

 2つの大きなビジネス・グループでサラリーマン社長でない、強い意思決定力を有している2人のトップ同士が直接胸襟を開き合う関係となり、実際にビジネスを開始した。これは、将来にわたり両グループの協業の千変万化な可能性を約束したに等しい。

(この項 続く)

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