カー・シェアへの布石か、系列販売の見直し
トヨタにとって、今回の系列販売の見直しが大きな戦略なのかというと、実はそうではない。マンツーマンとゾーンがバスケットボールにおいてひとつの戦術であると同様、販売戦術の見直しという程度の位置づけだ。
トヨタは全世界で年間1000万台以上の新車を販売する巨大企業だが、国内での販売台数は前述したように150万台強だ。トヨタにとって日本は最重要市場ではない。大きな戦略を展開するための個別(つまり相対的に小さい)対応策が戦術というわけだ。それでは、系列販売という戦術の転換を選んだトヨタにとって、その戦術の奥にある大きな戦略とはなんなのだろうか。
ひとつは、すでに始まっているカー・シェアへの本格的取り組みの布石と見ることができる。カー・シェア市場はすでに立ち上がっていて、最大手のパーク24で7月の会員数が103万人と1年で22%増えた。
トヨタは19年春にカー・シェアに参入するという。そのときは当然ながら日本全国4系列で既存の5000店がサービス拠点となり、トヨタの全車種をカー・シェアの対象にすることができる。また、現4系列を展開しているフランチャイジー・ディーラー約280社は、各地域での優良法人が多いので、カー・シェアの展開に当たっては地場でのハブ拠点として機能することが期待できよう。
(この項 続く)
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