2018年10月20日土曜日

トヨタ社長は優れた経営者…巨大組織の「100年に1度」の再構築を断行(7)

外部の活用だけがトヨタの生きる道


 トヨタが置かれている立場は、絵に描いたような「イノベーションのジレンマ」の事例だと言える。そして、そこでの戦略的なポジションとしては大いなる危機にあると言える。

 豊田社長は、この構造とそれがもたらしている危機を十分に理解しているようだ。そして、対応策も理論的に理解してすでに行動をとり始めているように見える。

「イノベーションのジレンマ・セオリー」では、既存の大企業側は内部組織、つまり既存組織と成員をもってしては、その危機に対応できない。というのは従来型の価値体系が刷り込まれているので、みずから「破壊的技術」(CASE+A)側に降りていきにくいからだ。

 トヨタの世界約36万人の従業員のほとんどは、現在の車をもっと売ることに汲々としていると推察される。危機を心配しているのは社長だけ、という構図だ。このような状況でトヨタが取る方策としては、外部資源を使うことになる。子会社として担当部門を本体と切り離すことにより外部化したり、外部会社のM&Aなどだ。また、専門企業と提携することも有効となる。とにかく自社だけでは大きな変革に対応できない。

 動きはある。

(この項 続く

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