企業ガバナンスの本家としての矜持
伊藤教授は実は単なる経営学者ではない。経済産業省が取り組んだ「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクトで座長を務め、2014年秋に「最終報告書(伊藤レポート)」をまとめた。伊藤レポートは日本における企業ガバナンスへの本格的な提言として、海外でも高い評価を得た。
また、1月に日本取締役協会が初の「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー」としてブリヂストンを大賞とするなど5社を選出したおりにも、審査委員に名を連ねている。日本のコーポレート・ガバナンスにおける理論面の総本山みたいなお立場の人だ。
企業ガバナンスについて強い信念を持つ伊藤教授だからこそ、セブン&アイHDのカリスマだった鈴木氏が提示した井阪更迭案件に対しても、強い姿勢で臨めたのだろう。会社側がもし「お飾りで名目だけの」社外取締役としての役割を期待して伊藤教授を招聘していたのなら、その当ては外れたことになる。
(この項 続く)
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