厳しい船出
メイ氏の功績はもちろんある。その容貌とコミュニケーション・センスで、今回の『ガイア』に限らずタカラトミーの新しい顔としての露出が著しい。スター・ウォーズ関連商品の発表会では、メイ氏自らダース・ベイダ―に扮したコスプレ演出はメディアでも大きく取り上げられた。ちなみに15年3月期決算発表会資料でも、「新聞掲載 広告費換算 対前年比130%」と誇らしげに紹介している。
メイ氏がCOOとして1年間フルに執務した15年3月期の業績も冴えない。連結売上高は1498億円(対前年比3.2%減)、営業利益24億円(同27.2%減)、経常利益20億円(同 66.6%減)に沈んだ。そもそもメイ氏が副社長に就任した当時のアニュアルレポートには、「15年3月期の固い目標」として売上高1640億円、営業利益60億円という数字が掲げられていた。
「プロ経営者」として招請されたメイ氏だが、船出は厳しい。5月末に、筆頭株主だった丸の内キャピタルが運営するファンドが、全持ち株を売却した。持ち分は12.2%だった。新任社長が就任するのを契機に筆頭株主が全持ち株を売ってしまうとは、どういうことなのだろうか。丸の内キャピタルの全株売却は、投資ファンドのTPGが昨年12月に行った損切り売却に続いた格好となった。
「再生経営者は最初の6カ月が勝負」というのが私の経験則であり、黄金律だ。タカラトミーのOBとして、これからも同社の行方を注意深く見ていたい。
(この項 終わり)
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