2017年4月21日金曜日

ニコン、東芝の二の舞いの兆候…復活の富士フイルムと真逆、主力カメラも瀕死寸前(8)

東芝の途をたどるのか



 中期的にニコンには、現在東芝に起きているようなことが起きるだろう。

 全事業のなかで唯一しっかり黒字を出しているのが、FPD露光装置である。東芝が虎の子の半導体事業の売却に動いているように、ニコンも数年するとこの部門を売却せざるを得ない場面がくるだろう。

 半導体露光装置からは、早晩撤退せざるを得ない。そしてその時に牛田社長が責任を取らなければ、会社としてのガバナンス体制が問われることになる。

 映像事業(主としてカメラ)は、いわば一眼レフ部門に逃げ込んで、一部のファンからの強い支持を受け続けることができるかもしれない。しかしその場合でも、17年3月期3,800億円と予想されるこの分野での年商も1,000億円を下回ることになる。
 結局、7,500億円の年商規模(17年3月期予想)のニコンが、会社全体として年商1,000億円に届かない会社になるシナリオである。その場合、社員数も7分の1にしないと、存続する算数が合わなくなる。

 名門企業に対してなんたる予想か、といわれるだろうが、カメラ業界を見渡せば、コニカはミノルタに合併され、そのコニカミノルタは06年にカメラから撤退した。ヤシカという会社は、今はない。京セラも05年にはカメラから撤退している。

 デジタルカメラの出現が銀塩フィルムのメーカーを駆逐し、今度はスマートフォンが出現したことにより、カメラ業界全体が淘汰されようとしている。クレイトン・クリステンセン博士が提唱した「イノベーションのジレンマ」現象がリアル・タイムで進行しているのだ。

(この項 終わり)

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