この多店舗戦略について筆者は、過去に本連載記事で限界がきていることを指摘していた。
「日本に『市』は790ある(2008年時点、以下同)。『市』となる要件の一つは人口3万人以上で、つまりヤマダは日本のすべての3万人以上の地域市場に出店を終えてしまっているということだ。ちなみに人口5万人以上の都市数は541にすぎない。ヤマダの1店舗当たりの平均年商は19億円程度ということになるが、3万人規模の市には1万世帯くらいが生活すると見て、それらの商圏で全世帯が年間にヤマダの店舗で19万円程度の消費をしているという計算が成り立つ」(2014年12月12日付本連載記事より)
ヤマダの山田昇社長は今回の閉店を発表する直前の5月21日付朝日新聞のインタビューで「出店余地はなく、ビジネス・モデルを変えないといけない」と語っており、今回のスクラップ&ビルドは明確な戦略転換だと認めている。つまり全社経営戦略の本格的な変更による電光石火の大量店舗閉鎖だったのだ。そんなことができるのは、創業社長である山田氏ゆえだろう。
(この項 続く)
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