2017年5月15日月曜日

大塚家具、「残念な」久美子社長が危機脱出のネックに…ダメ企業がダメな本質的原因:対談(6)

――外部からの経営者の招聘に対して、若い社員は期待することがあっても、幹部になると抵抗したがるのでしょうね。

山田 プロ経営者から見れば、この道数十年の人たちがやってきて、これだけひどい状況になってしまったんじゃないの? と。つまり、これまでのやり方が間違っていたのだから、別のやり方を探しましょうよと。これがプロ経営者の見方です。

――ところで、プロ経営者にとって最も大変な仕事はなんでしょうか。

山田 企業文化を変えることです。これは大変な仕事です。成功した例に稲盛和夫氏が日本航空の企業文化を変えたことが挙げられますが、稲盛氏はプロ経営者として禁じ手を使いました。それは社長在任中に無報酬だったことです。無報酬で懸命に働きかければ、社員はついてきます。しかし、仕事として経営を引き受けるのですから、普通は無報酬で働くわけはいきません。

――やはり無報酬は禁じ手ですか。

山田 それは禁じ手ですよ(笑)。



大塚家具



――本書では、大塚家具にかなりのページを割いて取り上げています。山田さんが大塚家具の再建を依頼されたら、どんな手を打ちますか。

山田 大塚家具は価格のポジショニングを間違えて失敗しました。元会長の大塚勝久氏の時代には高価格帯で手厚い接客という整合性がありましたが、大塚久美子氏が社長になって中価格帯に切り替えて接客も担当制を廃止したら、富裕層に逃げられ、中間層も取り込めませんでした。課題は、価格のポジショニングとターゲット層をどう設定するかです。
 中価格帯と低価格帯に移行すると、ニトリとイケアが待ち構えていますが、ニトリとイケアは製造小売業なので、流通小売りだけの大塚家具は構造的に勝負できません。そう考えると勝久氏の路線は悪くなかったのです。ところが店舗数が多すぎました。反面教師はカッシーナです。富裕層を対象にして日本に4店舗しか設けていません。大塚家具の店舗数は17店舗ですが、縮小均衡を図るべきです。店舗数を減らせば売り上げも減りますが、固定費を削減できて黒字に転換できる道が開けます。

(この項 続く)

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