相手の自主性を重んじ、自助努力を促す。このようなアプローチを私は「植民地経営」と呼ぶ。私がオランダのフィリップスの日本法人社長を務めていたときに痛感した、ヨーロッパ型の経営の特徴だ。
植民地経営では、傘下に収めた相手方企業に一定の統治を認める、あるいは推奨する。自助努力を親会社はできるだけ助力してあげるという位置にとどまる。親会社を「ヨーロッパの本国」、相手方企業を「植民地」と読み替えれば、ヨーロッパ列強が展開してきた植民地経営の手法となる。
ゴーン社長はレバノン系だが、予備校から仏パリで学びエリート養成大学として知られるエコール・ポリテクニークからさらにパリ国立高等鉱業学校で工学博士号を取得している。フランスの名門企業ミシュランでキャリアをスタートするなど、ビジネス文化的にはヨーロッパ人のそれと考えられる。しかもクラス社会であるヨーロッパの一番上のエリート層に組み入れられた存在だ。
(この項 続く)
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