2017年2月28日火曜日

出光、合併阻止狙う創業家への対応どうする(2)

代理人同士とはいえ、接触が再開されたことを洩らしたのが出光側というのは、それを公にすることによりさらなる接触や会談への環境づくり、地ならしを狙ったものと私には見えた。つまり計算づくで「接触再開」をディスクローズしたことにほかならない。

 出光側がそんな判断に出たのは、袋小路に入ってしまった創業家とのコミュニケーションの扉も、そろそろ開くような素地が醸成されてきたという判断があったのだろう。出光系列のガソリンスタンドで組成されている「全国出光会(遠藤祐司会長)」が昨秋から、出光と創業家側に協議の再開を訴えていた。

また、頑なな創業家側に対して世論の批判もあがっていた。本連載の昨年を振り返る記事の中でも、昭介氏を「16年資本家残念大賞」という表現で批判するに至っていた。

(この項 続く)

2017年2月27日月曜日

出光、合併阻止狙う創業家への対応どうする(1)

出光興産・月岡隆社長(ロイター/アフロ
出光興産と昭和シェルは2015年に経営統合を目指すことで合意したが、これに強硬に反対して阻止してきたのが出光興産創業家の出光昭介名誉会長(89歳)である。昭介氏が掌握している同社株式の割合は3分の1を超え、経営統合が株主総会に提出されれば拒否権を行使できるとされている。上場企業ではあるが、これだけの割合の株式を掌握している昭介氏は、実質的にオーナーであるといってよいだろう。

袋小路に入った協議が、再開されたのもつかの間


創業家と出光の協議は、昭介氏が昭和シェルの40万株(0.1%)を取得して徹底抗戦の姿勢を見せた後、昨年7月11日以降中断していた。昨年末に出光が創業家側からの了解は積み残したままで昭和シェルの株を約31.3%取得したことをきっかけに、事態は水面下で動き出していたようだ。2月7日の決算記者会見で出光の小林総一広報CSR室長は、「2017年に入り代理人同士で複数回会った」と語っている。

(この項 続く)






2017年2月26日日曜日

リーダーズブートキャンプ、3講師がそろい踏みの第2講終わる(2)

本日指導したカリキュラム。

1.課題図書『日本電産流V字回復経営の教科書』(川勝宣昭、東洋経済新報社)を読む。
プロローグと第1章(報告者Aさん、クラス討議)
第2章と第3章(報告者Bさん、クラス討議)

2.「マーケティングの基本」山田修講師

3.「勝ち残る企業創りとリーダーの条件」新将命講師

4.戦略作成過程での第1発表 Cさん (ファシリテーター山田講師、コメンテーター新講師と参加者1名) 
Dさん(ファシリテーター山田講師、コメンテーター参加者2名)

など。

(この項 終わり)

2017年2月25日土曜日

リーダーズブートキャンプ、3講師がそろい踏みの第2講終わる(1)

2月に開講したリーダーズブートキャンプの第2講が2月25日(土)に行われた。

私はもちろん終日滞在して進行を差配したり、自らセッションを指導した。

箱田忠昭先生も朝一番から、午後のとあるセッションまで教室に入ってくださった。それぞれのセッションの開始ではジョークによるアイスブレークをしてくれたりもした。

午後には3時間新将命先生が登壇してくれたので、本日は3講師のそろい踏みとなった。参加者の満足度はとても高く、九州から来ている社長さんからは深夜とても丁寧な感謝メールを頂いた。

(この項 続く)

2017年2月5日日曜日

リーダーズブートキャンプ第2期 発進!

「リーダーズブートキャンプ」として新規発足したのが昨年。2月4日から早くも第2期が発進した。

思えば私がブートキャンプ・ムーブメントを開始してから、7年目に突入した。今期も意欲ある経営者、幹部の方、再受講者の皆さんに恵まれてクラスを展開している。

初日には、最終講に向けての戦略策定方法を指導し、次回に取り上げる課題図書として『日本電産流V字回復の教科書』(川勝宣昭、東洋経済新報社)を配布。私の座学セッションとしては「成長戦略」。

箱田忠明先生も終日出席して、クラス参加してくれた。懇親会で聞いた参加者の皆さんの満足度も高く、いつものようにすばらしいスタートダッシュとなった。

2017年2月1日水曜日

御社がダメな原因は、もう通用しない「これまでのやり方」…従来と違う戦略の立て方(7)


 クリステンセンの4指針は、順番を代えて次のように読み下すことができる。

「外に出て(4.ネットワーク力)、じっくり観察して(3)、躊躇なく質問して(2)、頭の中で組み立てろ(1)」

 本記事を目にしている読者の多くが、同じ会社に長く勤めてきているかもしれない。その場合は、同一社、同一業界の悪弊に染まっている可能性が大きい。「外に出る」とは転職したり、社外のセミナーや交流会に行ったり、その代替として本を読むことだ(クリステンセンの調査では最大の外部刺激とは海外居住であるという)。

 それから、日本人が苦手なのが「3.質問力」だろう。「聞くは一時の恥」は正しい。そして質問するとインタラクティブなキャッチボールが始まり、思いがけない着想にたどり着くものである。
 私は、自分が教えている経営者の皆さんによく言うことがある。

「本を読まない経営者はダメです」
 今までは、うまくやってこられたかもしれない。しかし、この後さらに展開していくためには、新しい一手が必要だろう。その糧を、知恵を、今から仕込んでおこう。

 2017年は、皆さん、どうか本を読んでほしい。

(この項 終わり)

2017年1月31日火曜日

御社がダメな原因は、もう通用しない「これまでのやり方」…従来と違う戦略の立て方(6)

経営体力」をどう付ける?



『イノベーションのジレンマ』(翔泳社)で著名なクレイトン・クリステンセン博士は、イノベーティブ(革新的)な考え方をできる経営者の特質は、という点でも興味深い研究を発表している(『イノベーションのDNA』<同>)。

 クリステンセンは約80名のイノベータ(過去にイノベーションを起こした実績のある経営者)と400名の非イノベータの企業幹部を調査して、前者をかたちづくった共通的な資質を抽出した。

1.関連づける力
2.質問力
3.観察力
4.ネットワーク力
5.実験力


 これらの要素のうち、最後の「5.実験力」だけはオーナー経営者でなければ簡単に発動させることができない経営力の範疇だろう。しかし、1-4の要素は、経営者や幹部がこれから「経営体力」を高めようとするなら有用な指針となるものだ。
 クリステンセンの4指針は、順番を代えて次のように読み下すことができる。

(この項 続く)

2017年1月30日月曜日

御社がダメな原因は、もう通用しない「これまでのやり方」…従来と違う戦略の立て方(5)

それぞれのステップで「戦略カード」を使って「一人ブレーンストーミング」をしながら、できるだけ多くの要素を言語化するのが「カード出し」。それが終わったら、優先度による「カード選び」をする。そして次のステップに進んでいく。5つのステップのなかで、「3.解決策の策定」がいわゆる「アクション・プラン」となるわけだ。ここのステップで重要となるのが「思いつき」だ。

 戦略策定指導で私がいつも強調しているのが、「今まで当社で採用していなかったやり方、できれば突飛に思われるようなカードを出してください」ということだ。考えてみれば当たり前である。今までの、そして現在のやり方でうまくいかないのである。れで新しく3年戦略を立てよう、ということなので、何か新しい施策を検討しなければならない。ある方から、次のような質問が上がった。

「山田先生が自社事例として示してくれたような、うまい解決策が思いつけるとは思いません」

 それはそうかもしれない。でも私があなたの代わりにあなたの戦略を立てるのではない。あなたの戦略とはあなたの「経営体力」の範囲内でしか立ち上がってこないのだ。20名にテニスを教えても、強い子、弱い子が出るのと同じことだ。

(この項 続く)

2017年1月29日日曜日

御社がダメな原因は、もう通用しない「これまでのやり方」…従来と違う戦略の立て方(4)


「皆さんが求められているのは、ラリーをできるレベルではないでしょう」

 質問者を私が鼓舞した。

「皆さんは経営幹部であり、近い将来は経営者たるべき方々です。学生テニスのプレイヤーでいえば、体育会に所属する競技者として第一線で戦いに参加しています。期待されていることは、そしてご自身が目指すべきことは大会に参戦して勝ち上がる強さのはずです。それには、スキルとそれを駆使できる体力が必要なのです」

アクションプランを思いつける「経営体力」とは


 全社戦略や部門戦略を立てるにあたり、「経営体力」が大きく影響するのはどんな部分なのか。
「戦略カード」を駆使して展開する「シナリオ・ライティング技法」には次の5つのステップがある。

1.目標の設定
2.課題の発見
3.解決策の策定
4.派生問題と対処
5.発表と共有

 

(この項 続く)

2017年1月28日土曜日

御社がダメな原因は、もう通用しない「これまでのやり方」…従来と違う戦略の立て方(3)

「戦略の立て方を教えてもらっているわけですが、だからといって良い戦略が立てられるわけではないでしょう?」

 これはまったくその通りで、「良い質問です」と返した。「戦略の立て方」とは技法、つまりスキルなので学び習得することができるのだが、それを十全に活用するには使いこなす力、「経営体力」が必要なのだ。


体育会で大会を戦うレベルを目指せ


 戦略の立て方を教えるとは、テニスでいうとストロークの打ち方を教えるのと同じだと思ってもらえればいい。「ボールを見て、ラケットを後ろに引いて、ヒッティングポイントで打って、フォロースルーする」という類の指導である。技術、技法だからそんな説明やデモンストレーションで伝授できる。

しかし、それを実戦で活用するとなると、止まっているボールを打つわけではない。そして相手のあることだ。速く、強いボールを打たなければ相手を負かすことはできない。遠くに打たれたボールを拾って打つには、素早い判断力や速く走れる瞬発力が必要だ。ストロークを打つという技法を実戦で活用するには、それを駆使する、できる体力が必要なのだ。

(この項 続く)

2017年1月27日金曜日

御社がダメな原因は、もう通用しない「これまでのやり方」…従来と違う戦略の立て方(2)

「いい戦略」をどう立てる?



先日とある大企業で執行役員を対象とした幹部研修に呼んでいただいた。1日だけで戦略策定の技法を駆け足で学んでもらう。

 もちろん、1日だけでは本格的な戦略を立ててもらうわけにはいかない。しかし、その方法論を学んでもらうために、参加者皆さんが率いている部門の3年戦略を駆け足で立ててもらう。リーダーズブートキャンプなどで本格的な3年戦略を立ててもらうには、数カ月を使って詳細に組み立ててもらうのだが、今回は短時間でその技法のエッセンスを学ぶという研修だ。

 私が指導しているのは「課題解決型の戦略策定法」といい、策定ツールとして「戦略カードとシナリオ・ライティング」という技法を駆使する。このメソッドの構成を1日で“触り”として体験してもらい、技法として習得してもらうというのが今回の研修だった。

 研修の途中で質問をもらった。


(この項 続く)

2017年1月26日木曜日

御社がダメな原因は、もう通用しない「これまでのやり方」…従来と違う戦略の立て方(1)

「Thinkstock」より
私はいろいろなところで「経営戦略」を教えている。主宰している「リーダーズブートキャンプ」を嚆矢として、各地の公開セミナーはもちろん、企業での経営指導に駆け回っているわけだが、私の「戦略指導」とは、「戦略の立て方を教える、参加者に自分で戦略を立ててもらう」というユニークなものだ。

 策定の指導なので、私が経営戦略をつくるのではなく、「その会社の経営者、あるいは幹部の方たちに経営戦略を立ててもらう」というものだ。皆さんがご自身の経営戦略を立てるお手伝いをする。だから業界、業種を問わない。全社戦略だったり、部門別戦略だったり、なんでもござれだ。3年戦略が標準なので、中期経営計画を立てようとしている会社にも好適となっている。

「いい戦略」をどう立てる?


(この項 続く)

2017年1月25日水曜日

多くの人気女優が愛用、化粧品THREEが世界的ブレイク…国産素材好評で海外市場爆走(8)

所得水準の平均からいえば高くはないはずの市場で、うまく滑り出せた。

「それから面白いのは、SNSがタイでは日本より進んでいます。その結果、口コミのマーケティング効果が高く、THREEの商品特性にぴったり合致したのです」

アジアから世界へ


「アジアのスピードはものすごいものがあります」
 タイでは17年にチェンマイにショップが出るという。

「台湾に代理店を決めたら、いきなり15年に5店舗出してくれました。マレーシアでは16年4月に1号店が出たと思ったら、今では3店舗を運営してくれています。香港では17年の9月にコーズウェイベイのSOGOデパートに出ます」

 シンガポールには17年度に出店予定で、18年にはオーチャード通りに3店体制にするという。

「海外では代理店に任せます」
 ACROとして直接進出はまだ行っていない、という。また現地製造ではなく、製品輸出モデルだ。

「国産材料、日本文化、そういうものとして受け入れてもらっています」
 ただし、中国市場だけは日本からの製品輸出モデルとは制度的に合わないところがあり、見送っているという。

 66歳となった創業経営者だが、創業暦は10年にも満たない。THREEの世界展開をどこまで突き詰めていけるのだろうか。大きな可能性が世界に広がっている構造だ。

(この項 終わり)

2017年1月24日火曜日

多くの人気女優が愛用、化粧品THREEが世界的ブレイク…国産素材好評で海外市場爆走(7)

きっかけはあちらから


 とはいえ、ACROの海外進出の歴史は始まったばかりだ。

「12年の春に、トルコのイスタンブールで化粧品に関する世界コンファレンスがあったんですね。そこで私がTHREEを紹介する機会がありました」

 THREE製品に共通なシンプルなガラス容器(他社のブランドは樹脂容器)や、国産の植物由来の精油からくる癒される香りなどが高く評価されたという。そのコンファレンスの後、進出を要請する引き合いが世界中から殺到したという。

「でも結局、縁と熱心さが決め手だったんでしょうか」

 タイの現代理店が一番熱心で、来日もしてくれたこともあり、石橋社長のバンコク視察を強く要請した、というのである。

「今ではバンコクだけで17のショップを展開してくれています。思いがけなかったことは、タイでの客単価が高い、ということなんですね。なんと日本での客単価の倍の売り上げがあります。というのは、多くのショップがデパートの中にあるのですが、タイではデパートに来るのは富裕層だけというか、収入により買い物をするショップが分かれているのです」

(この項 続く)

2017年1月23日月曜日

多くの人気女優が愛用、化粧品THREEが世界的ブレイク…国産素材好評で海外市場爆走(6)

創業7年目のB to C企業としては海外比率が大きい。

「創業した当初から海外展開を考えていました。というより、ニューヨークやロンドンで通用する日本の化粧品ブランドにしよう、と思っていたのです」

 石橋社長は世界を目指してきた。

「日本の製品で世界一のものは多い。車がそうだし、電気製品の多くもそうだった。また世界中を歩いてみて、東京が文化的に世界最大の都市だと思います」

 しかし、ファッション関係の業界で世界を目指しているのは、石橋社長に言わせるとファーストリテイリングぐらいだという。
「和食ブームに見られるように、日本文化が世界を席巻する時代がやってくると思うんですね」

(この項 続く)

2017年1月22日日曜日

多くの人気女優が愛用、化粧品THREEが世界的ブレイク…国産素材好評で海外市場爆走(5)

設立以来THREEは急成長し、ポーラ・オルビスグループのなかでブランド・ポートフォリオの拡充と成長に貢献してきた。公開会社ではないので財務内容は公表されていないが、売上高は毎年2ケタ増という勢いで伸び、14年はファンデーションの大ヒットが寄与して前期比5割増、15年も6割増を記録したと報じられている。

「おかげさまで既存店の売り上げもここ2年間対前年で5割増しです」

 快進撃を続けてきているACROのビジネス構成でユニークなのは、店舗展開の構成である。当初からデパートでの対面販売ブランドとして参入した。


「最初の店は伊勢丹でした。現在では、国内は39店、海外は28店、全部がアジアです」


(この項 続く)

2017年1月21日土曜日

多くの人気女優が愛用、化粧品THREEが世界的ブレイク…国産素材好評で海外市場爆走(4)

女性誌「VOCE(ヴォーチェ)」(講談社)が毎年発表している「VOCEベストコスメ」賞は、消費者に大きな影響力を持つ賞である。13年の同賞のスキンケア編でTHREEの製品が6点も入賞した。実は11年にも先行して同賞スキンケア編で3点が同年入賞(上期と下期に顕彰がある)していて話題を呼んでいた。

「今年購入されたお客様の半分以上が20代でした」
 若い女性にも手が届く上級化粧品として認知されている。

最初から海外展開を目指していた


 石橋社長は創業社長だがオーナー社長ではない。ACROは化粧品大手、ポーラ・オルビスホールディングスの子会社として設立されたのだ。石橋社長はそれまでカネボウ化粧品に勤務していて、「RMK」(アール・エム・ケー)、「SUQQU」(スック)などのブランドを立ち上げていた。ところがカネボウの化粧品事業部が06年に花王に売却されたことを契機に、転進を考え始めた。

「ポーラ・オルビスの鈴木郷史社長が、『資金は出すが口は出さない、好きなようにブランドを立ち上げてほしい』と言ってくださった」

 意気に感じた、ということだったのだろう。

(この項 続く)

2017年1月20日金曜日

多くの人気女優が愛用、化粧品THREEが世界的ブレイク…国産素材好評で海外市場爆走(3)

その結果、国産素材の植物成分を取り入れたことが、THREE製品のひとつの特徴として打ち出された。今冬でいえば、柚子の精油を初めて化粧品に使った「THREE アロマハンドクリームY」などのシリーズだ。

「製品化する際に社内で徹底させたのは『半歩先を行け』ということです」

 差別化を強調しすぎると、現今にある消費者の認識から乖離してしまい受け入れられない、という社長の判断だ。


09年に船出した同社だったが、その前年にリーマンショックがあったことや、あえてユニークなポジショニングで市場参入したことから、当初の売れ行きは今ひとつだった。11年には東日本大震災による市況の落ち込みもあった。

 しかし、その天然由来成分を従来の化学素材とうまく融合したスキンケア製品が次第に支持を受けるようになった。愛用するようになった女優やタレントなどが自らのSNSで発信、推奨したりして知名度が上がってきたのである。著名な女性芸能人の多くが支持してくれた。

(この項 続く)

2017年1月19日木曜日

多くの人気女優が愛用、化粧品THREEが世界的ブレイク…国産素材好評で海外市場爆走(2)

そんな群雄割拠の業界で、ACROは09年創業の新興ともいえる化粧品メーカーだ。しかし同社が展開しているブランド「THREE」の知名度は近年突出してきた。

THREEの特徴は、植物由来を主として国産原料にこだわっている点で、ナチュラル志向の女性に人気がある化粧品ブランドである。石橋社長がそのストーリーを語ってくれた。

「『THREE』というのは、数字の3です。プラスとマイナス、陰と陽のように2つだけの極に3つ目の概念を入れよう、と思い名づけました。形を考えても三角形は安定していますし、3はラッキーナンバーでもあります」(石橋氏、以下同)

「『水と油』が主体の化粧品素材の油に『茶のオイル:ティーシールドオイル』を採用しました。また、ブランドを発進するに当たって先行他社ブランドとは競合しないことを目指しました。『競合と同じ土俵に上がるな』ということです」

(この項 続く)

2017年1月18日水曜日

多くの人気女優が愛用、化粧品THREEが世界的ブレイク…国産素材好評で海外市場爆走(1)

株式会社ACRO・石橋寧社長
私が主宰している経営戦略策定道場「リーダーズブートキャンプ」の勉強会に、株式会社ACRO(アクロ)石橋寧(やすし)社長においでいただき、お話をうかがった。ACRO化粧品メーカーで、ブランドの「THREE(スリー)」がよく知られている。今回は石橋社長が展開してきた海外進出戦略に焦点をあてて報告する。

天然素材の活用で女性からの支持


日本の化粧品業界の規模は、出荷額で1兆5000億円強(2015年、経済産業省の生産動態統計)である。また、化粧品製造販売業が3,624社あるといわれる(15年3月末現在、厚生労働省発表)。化粧品の場合、製造販売する会社は複数のブランドを有することが多いので、化粧品ブランドの総数は数千以上ということになる。

(この項 続く)