2018年7月6日金曜日

『ブルー・オーシャン・シフト』は読むだけ無駄? 一作目の「成功企業」は惨憺たる有様: 書評226 (1)

『ブルー・オーシャン・シフト』(W・チャン・キム、レネ・モボルニュ/ダイヤモンド社)(以下、新著)が4月に刊行され話題となり、早くも増刷されている。両著者によるブルー・オーシャン本は本書で3部作となったわけだ。

 シリーズ第一作目の作品といえる『ブルー・オーシャン戦略』(ランダムハウス講談社/2005年刊/以下、一作目)は、戦略本としてベストセラーとなり、2007年の段階で17刷りを達成していた。血みどろの戦いが繰り広げられている「レッド・オーシャン」(通常市場)から抜け出し、競争のない「ブルー・オーシャン」(未開拓市場)の創出を目指そうという一作目の主張は、そんなことができない絶対多数の経営者たちの大きな関心を呼んだ。

 今回の新著はブルー・オーシャンに到達する道程(ブルー・オーシャン・シフト)と称する5つのステップを提言している。しかし、そもそもブルー・オーシャンそのものが短期的にしか出現・持続しない市場領域である一方、それを創出することにはとてつもない企業努力と運が必要という点で、私は以前から「経営者にユートピア幻想を振りまく最悪のセオリー」であると批判してきた。

 果たして新著は、この批判に反論し得たのだろうか。

(この項 続く)

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