2011年6月17日金曜日

三遊亭 勉強会 小咄三題




三遊亭圓窓師匠に学ぶ落語勉強会、幹事から連絡があり、「三つの小咄を次回披露するように」。

私に割り当てられたのは
「ネズミの嫁入り」
「女郎花(おみなえし)」
「芹(せり)」

どうやって決まったかって?それは「競り」で決められたんですよ。
お後がよろしいようで。

「戦略サファリ」ヘンリー・ミンツバーグ(2)


「戦略サファリ」での10のスクールの一つに「アントレプレナー・スクール」が立てられている。その中で「起業家的人格」という項目があり、「企業創設者」という研究(コリンズとムーア)が次の知見を提出したと紹介されている。

「子供の頃から何かを成し遂げること、独立することに対して強い欲求を持っていた、タフで実践主義の人々の姿である。それぞれの起業家たちは、人生のある時点で非常に困難な状況に直面し(「アイデンティティの崩壊」)、そこが独立の契機となったのである。」

これは私のことかと思うほど、描写が立ちふさがった。ただ、私は家族から独立したのだけれど、ビジネス的に独立したり起業したわけではない。

経営者としての私についての研究インタビューが今年発表されていて、それは本日のブログ・タイトルをクリックするとリンクが張ってある。

2011年6月16日木曜日

「経営幹部が会社を潰す!」連載(16)



◆戦略力は学ぶもの

幹部に対して一番期待するのは、戦略の立案とその展開力である。
有効な戦略は、まず自社や自業界以外のことを知ることからはじまる。本を読んだり異業種交流をしたりして、「セオリーと知識」を仕入れさせなければならない。次に、自社や自部門の現状を分析し、直面している重要な経営課題を識別・認識する能力も必要だ。
課題認識ができたら、それに対する可能な限りの解決策を想定し、その中から最も有効と思われるものを選択する。これが戦略となる。これらのことをコミュニケータブルで説得力のあるステップにまとめたものを、「戦略シナリオ」と私は呼んでいる。
この一連のステップは、実は学習により幹部たちに獲得してもらえる。下の<図>は、私が提唱・伝授している「戦略カードとシナリオ・ライティング」による戦略立案の概念図である。市販の情報カードを使い、「目標」「課題」「解決策」「派生問題と対処」などの各ステップで、アイデアを戦略カードに書き込む。それぞれ多数のカードを出し、絞り込んでゆく。残ったカードがそのまま戦略シナリオになる。これを論理的にかつ想像力をもって膨らませ、創造・展開していく、という手法だ。
是非参考にして、貴社の幹部の皆さんの能力開発に役立ててほしい。

「戦略サファリ」ヘンリー・ミンツバーグ(1) 書評83




齋藤嘉則 監訳、東洋経済新報社、1999年。原書は1998年。

20世紀における戦略セオリーのカタログと思えばよい。それまでの先行文献や研究を10のスクール(グループ)に分けて、それぞれの特徴や批判を掲げている。ミンツバーグの前には戦略論というのは数十年の歴史しかないので、とても微に入り細に入り、という具合だ。参考文献として掲げられているものも膨大で、この時点までの戦略セオリーの事典としての性格も強い。

大著であることもあるし、網羅的な文献である。経営はエキサイティングな行為であるが、経営学は退屈な営為であることが理解できる。国文学の専門分野で、「研究史の研究」がそうだった。源氏物語で言えば、あれが書き上げられたとたんに興味の対象となり、それはすなわち研究の始まりで、源氏物語の研究は何と1千年もの歴史がある。書かれた文献は無慮数千件(たぶん万の単位の研究文献!)。というわけで「研究史の研究」という学問分野が存在するに至る。

「戦略サファリ」が取り上げている研究史の時間枠は数十年しかないので、その網羅性は恐ろしく、網羅すれば網羅するほど退屈な分類作業となる。

ミンツバーグは戦略論におけるグル(教祖)の一人だそうだが、自分のオリジナルをはっきり打ち出せないこのような学説紹介作業は、学者としてもエキサイティングでない領域だと忖度する。

とはいえ、後学の私たちには益のある作業で、つまり誰かがやってくれればありがたい便利な整理なので、この本の整理に触発されて後数回取り上げることにする。

2011年6月13日月曜日

三遊亭圓窓師匠に弟子入り



弟子入り、といってもインサイトラーニング社縁の講師たちで本日から始まった落語習得会。参加者はインサイトラーニング社の箱田忠昭御大(社長)初め、十名。「講しっ子連」という名前を貰った全6回、今日からは第2期が始まり、それに参加させて貰った。

師匠が見本として4席の小ネタを実演してくれる。実に贅沢。私は古典落語の「変わり目」を割り当てられる。
小ネタとはいえ、20分以上の、デビュー演目としては大ネタの部類。ちなみに私は全く落語の経験や素養などはない。

日本一の講演セミナー講師として隠れもない箱田先生がこのキャリアにしてなおこのような勉強会を企画、主宰されていることにまた感心。私も「いい年をして」などと思わず、素直に勉強の機会を喜びたい。「家で大きな声を出して稽古するように」と師匠から指導された。さて、どんな反応が出ることやら。

2011年6月12日日曜日

「シェア」ボッツマン+ロジャース 書評82




NHK出版、2010年12月刊。経営者ブートキャンプ第3期生からの「他の受講生に読んで貰いたい私からの3冊」で出て来た本。

とてもおもしろい。「おもしろい」ということは「知らないことを沢山教えて貰えた」という意味。
自転車を地域内で共同で使い回すという例などは知られてきているが、そのような実社会での共同消費や貸し借りなどの事例から始まり、メインな内容としてはインターネットを介在したそのようなサービスを多数紹介し、その背景を解説している。

インターネットの発明は、第2の産業革命だったわけだが、私たちはその黎明期に生きていて、この新しい産業革命がどの方向に進んでいくのか不透明感を持っていたかと思う。

インターネットはますメールなどの導入や、サイト検索などにより知識の同時性や通信の即時性を導入した。
次の段階としては、種々のSNSの普及により人々の結びつきをつまり、社会的な変革をもたらしつつある。
中近東ではこれらのビークルを背景にして革命まで起こってしまっている。

そして、本書では消費行動ーそれは供給する側からみればビジネス行動-まで大きく変容し始めていることを示した。私は5年ほど前に
「Web2.0などと言われ始めているが そんなものは実態としてどこにあるのか、大きな現象として起きているのか」
と疑問を呈した。本書を読むと、インターネットを媒介として個人や消費者がとても大きな規模でマルチに直接繋がり始めたことが分かる。第2の産業革命はこの方向に進んでいくのだろうか。

2011年6月11日土曜日

修羅場の定義




本日は、経営者ブートキャンプ第3期の2講目。クラスの一コマで「経営者にとっての修羅場体験」を話す。こんな単元は経営学にはないので、私の体験談を開陳した。

「修羅場」の定義としては次を掲げた。
次の三つを兼ね備えた出来事。
― 決定的な負(ビジネス上、キャリア上)の可能性がある
― 深刻な心理的なプレッシャー
― 予断を許さない状況の持続 (数週間以上)

「修羅場」は経営者に何を残すか
それを体験して経営者として勝ち残れれば次の幾つか、あるいは全部が起こる
― 経営に対する価値観の確立
― プレッシャー状態への強靱な耐性
― 意思決定のスピードの向上、確信感の向上
― 自身と、外部から(部下も含む)の評価の高まり

問題は、「修羅場」など求めても体験できるものではないこと、そして上述のような資質が得られたとしても
重ねて経験したいものではないこと(苦痛を伴う)

2011年6月10日金曜日

学会の部会で活発に討議する



国際戦略経営研究学会の「グローバル戦略研究部会」に出席。
二つの発表。「変革プロジェクトにおけるITプロフェッショナル」と「日経多国籍企業の真正町戦略に向けて」。

発表者(それぞれ経営学の教授)が30分発表、質疑討議が20分の進行。私も活発に発言。当たり前だがレベルが高く、おもしろい。

終わって、有志で飲みに行ったら、私ともう一人以外、6名全員が経営学の教授、准教授といった面子となった。経営実務家の方が珍しいと言うことで、いろいろ意見を聞かれた。

2011年6月9日木曜日

「経営幹部が会社を潰す!」連載(15)



◆「成功の復讐」に捉われる幹部たち

企業の中で、20年、30年という長い時間枠での選抜を幹部たちは駆け上がってきた。それには、積み上げてきた貢献があったわけだ。だから幹部たちは自信にあふれている。自信があるから声も出るし、リーダーシップに優れている。また、チームを率いて実績を出してきている。だから幹部たちは、コミュニケーション能力にも秀でている。
ところが、これらの過去の成功体験が、今となっては曲者なのだ。
というのは、経営者や幹部となると、その役割は、会社の進む方向を見極め決めること、すなわち経営戦略を立てることに大きな比重が置かれる。戦略とは、わかりやすく言えば「ビジネスのやり方」だ。つまり、「戦略を考えろ」と言うことは、「やり方を変えろ」と言わざるを得ない状況に企業が直面していることを意味する。
それなのに幹部たちは、「成功の復讐」とも言うべき「成功体験」に捉われて、「変われない」「考えつかない」「変えさせない」ことが多い。

「帝王学 貞観政要の読み方」山本七平 書評81



日経ビジネス文庫。オリジナルは1983年刊。
学習院大学在学時代、国語学の演習で大野晋先生が冒頭に、「日本人とユダヤ人を読んだ。いやー、こんなにおもしろい本は久しぶりに読んだ」と高揚して話してくれた。大野先生ほどの大碩学・大知性を興奮させた書物はいかなるものがと、早速私も読了したことを覚えている。

ユダヤ人やキリスト教に関する深い造詣を元に評論活動を出発させた著書がその後日本人論へと進み、さらに漢籍にまで守備範囲を広げていたことはおぼろに知っていたことではあるが、「日本人とユダヤ人」以降のものは読まず嫌いでいた。基本的に評論には興味がない。

今回、経営者ブートキャンプの参加社から「推薦図書」の一つに挙げられたので文庫版を入手、読了した。内容よりも、著者の知識人としての幅の広さに感銘を受けた。漢籍とキリスト教では洋の両極であり、両方を自家薬籠中のものとして論じることは難しい。例えばあの司馬遼太郎でさえ、欧米についてのコメントは余り足に地が付いていたものとは言い難い。

浅見貞男という聖書学者は、山本七平が掲げた論点の幾つかについて正確度に掛けることなど批判しているが、学者による重箱の隅の突っつきと言うべきだろう。今回の図書を読了しての山本七平の知性の太さに対しての驚きは、イザヤ・ベンダさんとしての登場の時と変わらない。

2011年6月7日火曜日

「経営者の器」連載記事 3回目を書く



8月に出る戦略に関する新著(日本実業出版社)の原稿に5月はかかっていて、ようやく脱稿して編集の段階に入って、私は一段落。締め切りが近くなっていた別の原稿に手を付けた。

三菱UFJコンサルに依頼されて、月1回のオンライン連載記事を書いている。昨年、6回にわたって掲載されたものは、終了したので了解を取って本ブログで間断的に連載している(「経営幹部が会社を潰す」)。

現在進行しているのは、第2シリーズで、表題によるもの。本日脱稿したのはその3回目。オンラインでのシリーズ発信が全て終わって後、内容を開示していいことになっている執筆契約。秋以降に本ブログで順次連載するつもり。

2011年6月3日金曜日

「組織論」桑田耕太郎・田尾雅夫 書評80



有斐閣アルマ、2010年増補改訂版刊。

こちらの方は、「入門書」(初版はし書き)としつつ、これまでの先行学説を相当程度に引用しながら概説している。スコープは広いし、引用文献が豊富なので入っていこうと思えば深い。組織やモチベーション、リーダーシップについて学者がいかにくまなく重箱の隅をつつき回したかがよく分かる。

この本自体は良書である。経営学の中で組織論を概観したい向きにはお勧め。

「組織デザイン」沼上幹 書評79



日経文庫、2004年刊。

幾つかの企業セミナーで組織のことを話す予定になっているので、推奨参考書を当たっている。この本は分かりやすくまとまっている。

沼上幹の本は、「経営戦略の思考法」(日本経済新聞出版社、2009年刊)を、経営者ブートキャンプの前期で課題図書の1冊として取り上げ、クラスで報告して貰った。この本については、本ブログ「図書60」でも取り上げ、本日のタイトル・クリックからリンクが張ってある。その時の感想もそうだったが、沼上は先行学説を分かりやすく整理してまとめることに長けている。

ということで、この1冊もよくこなれている。

「経営幹部が会社を潰す!」連載(14)




幹部に足りないものは「戦略立案力」
(有)MBA経営 代表 山田 修

◆経営幹部は有能だ
 私は拙著(フォレスト出版)にて『あなたの会社は部長がつぶす!』とか、この連載でも「経営幹部が会社を潰す!」などと刺激的な指摘をしている。
しかし逆説的だが、「経営幹部ってやっぱり有能なんだ」とも評価している。
それはそうだろう。組織規模が数十人、数百人の中から見込まれて責任のある立場を任されている。相対的に言えば幹部の皆さんは、社内で有能な人材であるはずだ。
しかしながら「経営幹部が有能」と言ったとき、その内容には注釈が必要となる。どんなところが有能なのか、ということだ。

りそなマネジメントスクールで戦略・組織論を担当



24期を数える、りそなマネジメントスクールは、計11講ほぼ1年に渡る月次トップ・セミナーだ。最後はオプションではあるが、海外視察旅行まであるという。参加者も東京・大阪で各60名という充実ぶりである。

その、第6講となる「組織・運営戦略」を丸1日ずつ東京・大阪両方での出講を頼まれていた。実施が9月ということで、今週その打ち合わせ。例によって「出来るだけ、体験談や本当のエピソードを交えながら展開して欲しい」とのこと。「戦略カードとシナリオ・ライティング」のさわりも演習として少し入れることとした。

クライアント同士を紹介




経営者・役員の皆さんに戦略立案指導をした地方クライアントが飲食系のフランチャイズを展開している。今年2月のフランチャイズ・ショーに出展したところ、問い合わせ件数で上位数社に入った注目チェーンである。

一方、部長8名を預かり、部門戦略立案兼部長研修を半年に展開してきた東京のクライアントがあった。こちらの方は、従来のメインの事業以外での展開を模索していた。

私は、後者が既に保有している経営資源が、前者のフランチャイズ・ビジネスにとても適していると見た。今週、前者でFC開発を担当している取締役の方を帯同して、後者の社長以下を訪問、紹介の労を執らせて貰った。

2時間弱のミーティングとなり、両者とも興味の度合いが高まった。両方とも私が指導した会社同士なので、実際のビジネスが始まることになればとても喜ばしいこととなる。期待している。

数兆円企業の小会社経営者への講演依頼




6月の株主総会で、今年も多数の新取締役が選任される。新経営者、新役員が輩出される季節がやってきた。

日本を代表する某大手企業から、関連小会社での新経営者、新役員たちに向けてこの時期に開講している6日間セミナーの最終講での講話を頼まれた。出講は7月であるが、今週その打ち合わせを本社側の人事部と行う。

本社から出向というか、派遣される形の新経営者の皆さんだという。私の体験談、エピソードを出来るだけ話して欲しい、とのコトなので「新しい会社で私がやったこと」というのをタイトルにしようかと思っている。

ご本社の部長職と、小会社といえど社長では、その実感は恐ろしく違う。組織の大小に関係なく、トップというのは一人しか居なくて、とても特殊なポジションなわけだ。これはやはり体験者が話すのが一番良いと思う。

皆さんの参考になる話として、そのプログラムの締めくくりとなるべく準備をするつもりだ。

2011年5月31日火曜日

「経営幹部が会社を潰す!」連載(13)




◆「参謀」と「鬼軍曹」、どちらを「将校」に育てる?

さて問題は、誰を「将校」に育てていくかということだ。「将校」からは「将軍」、すなわち「経営者」が出るわけだから、この選択は重要だ。「兵隊」からすぐ「将校」にはなりえないので、「参謀」か「鬼軍曹」から選ぶことになる。
この答えは、「参謀」から抜擢、あるいは育成すべきだ。
なぜなら、「将校」ともなると会社全体の戦略やら方針やらを決める立場にあたる。全体が進む方向を決める立場には、「判断力がある」ことが絶対不可欠である。「参謀」の中から、組織全体に影響力を行使できるような部長を見出し、その傾向を伸ばしていくように指導して、「将校」に抜擢していくのが、企業100年の計となるのだ。

2011年5月27日金曜日

次の本(単著)は8月20頃



日本実業出版社から刊行する次の著者(こちらは単著)は脱稿していて、昨日編集部長と打ち合わせ。

何点か書き膨らますことなど了解。発刊時については営業的な見地から8月20頃となった。

現下のビジネス書のベストセラーの一つに「ストーリーとしての競争戦略」(楠木建、東洋経済新報社)がある。「戦略本」のカテゴリーに私の本は参入することになる。300ページほど、1,800円定価か。タイトルはこれから詰める。

戦略の実際の立て方、私の経営体験事例、既存の競争戦略セオリー批判 の三つが三本柱。
「とてもおもしろい文章ですいすい読めてしまった」とは担当編集氏。

2011年5月25日水曜日

池本克之氏とチャリティー・セミナー収録




「上場請負経営者」の異名で知られる池本氏は、経営者ブートキャンプの特別講師でもある。

その池本さんが、東北大震災のためのチャリティー・セミナーを主宰してくれるというので、出演を喜んで引き受けた。

その収録というのが池本さんらしく、両方とも事務所にいたままでSKYPEにより遠隔ビデオ対話をして、それをそのままビデオ収録、編集して来月配信するとのこと。

初めてのことなので、朝方接続に20分ほどかかったが、無事60分強収録した。テーマは「危機の時にこそ活用できる繁栄の黄金律」といったところか(仮のタイトル)。インターネットで配信と言うことで、その仕組みにも興味が持たれる。

2011年5月24日火曜日

「経営学入門」十川廣國 書評78



中央経済社、2006年刊。同著者による「経営学イノベーション」シリーズの第1巻。
第2巻の「経営戦略論」(こちらは、各章を専門研究者が分担執筆:本日のブログ・タイトルのクリックで拙書評にリンクが)を紹介した折に購読していた。

著者は商学博士ではあるが経営学の著書を幾つも。この本自体は学部学生向けのテキストのような位置づけ。拙書評で紹介することにしたのは、「第5章企業の目的と経営戦略」に、納得できる指摘があったから。

「ミンツバーグらの研究によると、計画的戦略(意図的戦略:山田注)が一つの極として位置づけられ、創発的戦略がもう一方の極として位置づけられることになる」(119ページ)

「戦略策定は計画、創発という2本の足で歩くと考えられなければならないものである」(120ページ)

「(両者は)それぞれ独立に存在するものではなく、それぞれを両極として連続的な直線上に位置しているものであり」(120ページ)

欧米の学説の受け売り、あるいは解説に終わらず新しい視点を提出しているし、何より経営現場からの実感からも納得感がある説明と評価できる。

第5章だけのために1冊買う価値がある。

2011年5月23日月曜日

「プロフェッショナル・リーダーの教科書」新著の表紙




「経営者ブートキャンプ公式副読本」と銘打たれた5人本。無敵の講師陣が各1章ずつを分担して勝ち残り伸びていく経営者の要件を鋭く指摘した。6月20日配本予定で、今回は表紙が上がってきた。

2011年5月21日土曜日

SMBCコンサルで公開セミナー2講義



SMBCコンサルティングで部長など上級幹部対象の公開セミナー。

午前中は、「経営戦略の立て方と使い方」
午後は  「部長のコミュニケーション力強化」

土曜日だったが、午前、午後も20名以上の参加。大阪から新幹線組も。アンケートの評点は上々。

2011年5月20日金曜日

「組織戦略の考え方」沼上幹 書評77



ちくま新書2003年刊。著者の本は、「図書60 経営戦略思考法」で取り上げた(本日のブログタイトルのクリックでリンクを張った)。既存学説の解説が分かりやすいところが評価が高かった。

今日のこの本では、第4章の「欲求階層説の誤用」という主張というか、論理の立て方に難を唱えたい。
「欲求階層説」とは例の、マズローの5段階欲求階層説のことだ。

沼上はまず、マズローの説は実証されていない、とマズローの説明を受け入れない立場を取っている。これはマズロー説全体に対してのものだ。ところが、その後の沼上の主張は、「第5段階よりも第4段階の方が重要だ」というのだ。

おかしいではないか。論の成立を全否定したはずのセオリーなのに、次にはその1部を自分の主張に引きつけている。

これだけでも沼上の立論は成立しないのだが、さらに具体的に引用すると
「だから一番真剣に考えなければならないのは、、自己実現欲求なのではなく、承認・尊厳欲求の部分だと私には思われてならない」
と言っている。

マズローの方を「実証されていない」として、自分の方は「思われてならない」?どこに実証があるのだろうか。
沼上の主張の内容についての当否を私は指摘しているのではない。何を言うにしても、これではそれが論理的に成立していないよ、ということを指摘しているのだ。

大野晋先生



前々回のブログで国語学者のことを書いた。私が学習院大学の国文科に入学したのは1967年のことだった。高校生で知るよしもなかったのだが、当時の学習院大学の国文科は、教授の顔ぶれといった点ではまさに日本一だった。江戸時代文学では、麻生磯次、宮本三郎、諏訪春雄。源氏物語の松尾聡。上代文学では五味智英。それぞれの分野でこの國の最高権威の学者がそろっていた。

そして国語学では何と言っても大野晋(すすむ)。大野先生は晩年の日本語:タミル語関連説の提唱で孤高の戦いを選ばれたが、上代語から平安言葉までの古語については今に至るも追随を許さない。大ベストセラー「日本語練習帖」(岩波新書)で一般には知られるが、その日本語への博識から一流作家にも心酔者が多く、「作家の家庭教師」とも言われた。

大野先生の告別式に駆けつけて焼香の列に並んだら、弔辞が既に始まっていた。途中から聞いたのだが、その格式の高いことに一驚して思わず既に並んでいるご婦人に、
「これはどなたですか」と尋ねると、
「丸谷才一ですよ」
と、諭された。葬儀委員長は井上ひさしが勤め、出棺の際の挨拶も遺族に代わってしていた。
日本語学者を気取るのなら、金田一京助ほどの、大野晋ほどの達成をしてもらいたい。

「経営幹部が会社を潰す!」連載(12)





◆それでは誰を育てるのか?


全ての社員は、「勤勉さ」「頭のよさ」の2つの基準で分けることができる。
<図>「誰を将校に?」

参謀
将校

  兵隊
 
鬼軍曹

<図>の横軸は「働きのよい社員/よくない社員」、そして縦軸は「頭がよい社員/よくない社員」という基準を示す。
縦軸でいう「頭がよい」とは、「状況判断が的確」という意味である。ビジネスの場面では、「物覚えがよい」ことよりも「判断力がある」という頭のよさが重要だからだ。
この2つの基準により、社員は4つの象限に分類される。図に示した「将校」(幹部)、「参謀」、「鬼軍曹」そして「兵隊」(一般社員)である。
「参謀」にあたる社員としては、企画や広告、財務などのスタッフ職、「鬼軍曹」にあたる社員としては、現場監督や営業の第一線にいる管理職などが典型となろう。
それぞれの象限の割合は、「将校」が全体の5%、「参謀」と「鬼軍曹」が管理職ということでそれぞれ10%、残りの75%が「兵隊」(一般社員)となる。多くの会社の組成と、それほど違和感がないはずだ。

才能のある国語学者3名





前回のブログに自分で触発されたので、この記事を書く。

私は国文科出で、一応修士号を持ち、活字になった学術論文もあったつまり研究者の卵だった。その視点から、私の学生時代から現在まで、このフィールドで三人の偉大な先達者がいると感じてきた。

池田弥三郎氏(故人)は、慶応国文の名物教授だった。テレビが盛んになる前、ラジオのクイズ番組などで、大変な売れっ子となっていた。彼は民俗学が専門で、その生涯を通じての最大の業績は師匠の折口信夫の民俗学を整理することだった。私が不勉強で知らなかったのかも知らないが、それ以外に私は知らない。

林望氏は、文献学の先生で業績は(唯一ではないだろうが)オックスフォードに納められている日本語文献のリストを作成したことと言われている。あまり負担になる研究でなかったことは、その合間に「イギリスは美味しい」という食べ歩き本をものしたことでも知れる。国語の能力を発揮して、エッセーが巧みである。

金田一秀穂氏については、前ブログで触れた。

さて、皆さん。ご自分の専門できちんと勉強しましょう。

金田一国語学 三代?






ラジオに金田一秀穂氏が出演していて、日本語学研究の経緯など話していた。
「歌舞伎のように家系として期待されているところもあったのか」
などと、コメントしていて、大いに違和感を持った。初代(?)金田一京助はアイヌ語学の擡頭、かくれもない大国語学者だった。2代目(?)春彦は辞書の編纂などして、これも「国語学者」と敬することにやぶさかではない。
金田一秀穂、who? まともな国語、国文学者ならこんな感想となるだろう。秀穂氏は杏林大学の教授だが、所属は外国語学部であり、ご専攻は日本語教育、つまり外国人に日本語を教えるというものだ。どんな商売も卑下されるべきではないが、日本語教育は技術であって、それ自体が学問と言えるものなのか。
そもそも学問に家業や家督承継などありえない。環境論的にその道に入る人はいることだろう。しかし、学的達成と真理の追究は遠い話である。
「私はタレントなんですよ」
とは言えないのだろうが、爺さん・オヤジの学的七光り的なひけらかし(類縁を語り、現在の自分の専攻を語ればそうなってしまう)は慎んだ方がよい。

「戦略の名著!最強43冊のエッセンス」 書評76




講談社+アルファ文庫、2009年。有坪民雄・守屋淳の分担執筆(こういうのを「共著」と言って良いのかな?)

有坪民雄が自分の分担のところでおもしろい見解を述べている。

「アカデミズムの世界とは別に、日本には三つの俗流経営戦略の潮流が出てくる。連合艦隊、中国古典、徳川家康といったような歴史に学ぼうというベストセラー雑誌を好んだ「プレジデント」派、軍事理論に学ぼうとしたランチェスター派、アメリカで認められなかったエドワード・デミングにならうカイゼン派である。」

1980年代の日本における経営セオリー世相を上手く説明しているではないか。「俗流経営戦略」というのは有島の造語であろうが、なかなか表現力に富む。
そういえば、新聞に毎月「プレジデント」誌が大きな広告を出していましたね。考えてみれば、あんなにあの雑誌は流行っていたわけだ。
またデミングのことを「今は亡き」風に軽く触れているのが確かな時代感覚だ。私も「タフネゴシエーターの人を見抜く技術」(講談社2001年)で、「デミング賞受賞企業のその後」の検証をしてみた。すると、受賞企業の方がそのためにその後業績不調に陥っていることが実証された。デミング賞に対して世の中が白けてきたのは、私の指摘と時期を一にしていると思っている。
その後「経営品質大賞」なんて始まったが、時代を魅了したとは言えない。

2011年5月19日木曜日

「経営幹部が会社を潰す!」連載(11)




◆抜擢して育てろ!

 前回(2011.1.11 No.11-005)、「『企業はヒトなり』だけではない」と述べ、大きな反響をいただいた。
そして、「ヒトは『組織の三要素』の1つであり、他の2つの要素『ジョブ・スペック』と『組み合わせ』の設計にこそ、マネジメントの出番がある」とも指摘した。この指摘の裏には、「全てのヒトが短期間に大きく伸びることはない」という厳しい現実がある。
全ての社員が望むスピードで成長しないのであれば、「早く伸びる少数の社員を見出し、彼らの成長を助ける」ことが、解となる。
社員全体のモラール確保の立場からは、「研修・育成の機会は全員に与える」というスタンスを示すのだが、実際には特定の社員を育てるべきなのだ。これが、「社員は抜擢して育てろ」と、私が主張する所以である。

トップセミナーや部長研修の依頼が立て継ぐ


本日はよく使う、吉祥寺のカフェで企業向けの研修会社と打ち合わせ。
某巨大企業の子会社の経営者グループを集めての3日x2回のプログラムで最終講義をしてくれとのこと。

打ち合わせを終えて帰宅途中に、携帯電話が鳴り、公開研修を行っている大手から、昨年に引き続き今年も部長クラスを対象とした1日セミナーを開講してくれとの依頼。

自宅(SOHO)に戻ってメールを開いてみたら、今度は関西でのトップ・セミナー(金融が取引先の経営者を会員としている月例勉強会)への出講依頼。

東北大震災で息を潜めていたような業界が、秋に向かって走り始めたことを感じる。

ダイヤモンド社の講師プロファイルが一新



ダイヤモンド社からは2冊刊行している。同社が

「ダイヤモンドビジネスタレント.COM」が、

サービス名を始め、WEBサイトを一新いたしましたので、ご案内申し上げます」

と通知をしてきてくれたので、これを機会にそちらで紹介して貰っている私のプロファイルも更新した。本日のタイトルをクリックして貰うとリンクが張ってある。おもしろいことに、私の著書として写真付きで何点も掲載されているのだが、最後の2点は同姓同名の著者のもの。データを引用するシステム上の問題で直せないらしいが、どんな本が私の本とされているか、ご一覧あれ。こんな本まで書ければ、私も何と守備範囲の広い人物なのだろう。

2011年5月17日火曜日

「経営幹部が会社を潰す!」連載(10)




◆マネジメントの出番は

企業のパフォーマンスを決めるのは「ヒト」だけではなく、「組織の三要素」なわけだ。それでは、「組織の三要素」を経営者はどのように差配したり、操ることができるのだろうか。
まず、「ヒト」は変わりにくいし、全ての「ヒト」が伸びるわけではない。またよい「ヒト」を的確に中途採用することも、実は難しい。そこで私は、「選んで育てろ」と教えている。
与件という要素が強い「ヒト」に比し、「ジョブ・スペック」と「組み合わせ」は、会社が自由に選択・決定して実施できる領域だ。言ってみれば「マネジメントの出番」であり、業績に直結する。だから、ここを考えるのが「組織再構成」のホネとなる。
「企業はヒトだから」などと言っていい人材の出現だけを待っていないで、また、いい人材がいないからと諦めていないで、最大効率となる組織形態を探し、実現していくのが経営者の役目であろう。

圓窓師匠に学ぶ落語勉強会



お世話になっているインサイトラーニング社が、同社のプロの講師だけを対象にした勉強会を定期的に開催している。プレゼンテーションやコミュニケーションの分野では草分けのような同社での社内講習会というと、どんな先生が、、、と思うでしょう。

やはり、すごい。大真打ちの三遊亭圓窓師匠から5回にわたって教えてもらえるんだって。幸い今期はスケジュールが合ったので来月から月次、全5回に出席させてもらうことにした。いや、楽しみ。

2011年5月15日日曜日

「経営幹部が会社を潰す!」連載(9)




◆組織の三要素
堺屋太一氏もいつぞや「『企業はヒトなり』は組織論の墓場だ」とおっしゃっていた。この言葉の代わりに私がずっと提唱してきたのが、「組織には3つの重要な要素がある」ということだ。
私の考える「組織の三要素」とは、「ヒト」「ジョブ・スペック」「組み合わせ」である。
「ヒト」は個々の社員のことであり、組織を構成する最小単位だ。
「ジョブ・スペック」とは、それぞれの「ヒト」に何をやらせるかという、仕事の割り当てのことだ。「業務管掌」と訳し、制度としてそれを持っている会社では、「業務管掌票」により個々の社員の業務内容を明示している。
「組み合わせ」で一番小さいものは、「ヒト」と「ヒト」との組み合わせだ。つまり特定の「業務」を割り当てられた「ヒト」(個々の社員)同士をどう組み合わせるか。 そして次には、できた小単位(チーム)同士をどう組み合わせるか。さらに、課や部などの大きな単位をどう組み合わせるか。これらの決定により、会社のビジネス・フローやビジネス・モデル(業務の流れ・やり方・分担)が決まっていく。

「経営戦略論」十川廣國 編著 書評75



中央経済社刊。編者による「経営学イノベーション」3冊シリーズの2冊目。それぞれの章は各大学経営学の教授が分担執筆している。2006年刊行なので、アカデミーの比較的最近の到達点を概観できる書の筈である。

各章あまり紙数が多くなく、活字級数も詰まっていないので読みやすい。学部学生向けの概説書として好個な編集と思う。

私は、第10章の「戦略プロセスにおけるマネジメントの役割」が目当てで購入。というのは、このテーマでを掘り下げた学術書で適当なものが見当たりにくかったことがある。馬場杉夫専修大学経営学部教授の担当執筆。ところが、第10章の本論の中では、先行文献の引用が殆ど無く、戦略論ではこのテーマが掘り下げられていないことを再確認した。第10章本文での記述もだから馬場教授のご論の筈だ。その内容については大いに異論を感じ、次回拙著に急遽筆を割いた。

2011年5月14日土曜日

経営者ブートキャンプ参加者が話題の書を





「「新・ぶら下がり社員」症候群」(東洋経済新報社)が話題となっている。30歳前後の会社員の無気力ぶりとそれへの対応策を説いて、週刊誌などでも記事として取り上げられている。

この著者の吉田実さんが第3期の参加者として列席してくれている。経営者ブートキャンプの講師陣も来月共著を同じ出版社から出す。講師も参加者もあの東洋経済新報社から、だ。本コースの充実ぶりがうかがわれるだろう。

経営者ブートキャンプ 第3講 開講




経営者ブートキャンプの第3講が本日開講した。
開講までは大震災で落ち着かない状況だったが、開講してみればいつもの熱気がもどった。

執筆終了したばかりの、7月(予定)発刊「赤字企業を立て直す! 超実践 経営改革の進め方」(日本実業出版社)での新しい知見を早速レクチャー。戦略立案論として初めての技法を発表することになる。

2011年5月5日木曜日

新著 脱稿!



いやはや、新著の執筆に集中していて、ブログの更新がこれだけ空いてしまった。ブログ開設以来、初めて。
新著は無事脱稿して、初稿の校正をしている。3月中旬から執筆開始して、原発疎開があり、実質6週間で500枚を書き下ろした。

ブログを見てくれている読者は混乱するかも知れない。
6月発刊 決定  共著 「プロフェッショナル・リーダーの教科書」東洋経済新報社
7月(予定)発刊 単著 「赤字企業を立て直す! 超実践 経営改革の進め方」

「脱稿した!」と喜んでいるのは後者のこと。
この本は、経営戦略の実際の立て方を示した世界初の書。私が諸処で教えているオリジナル「戦略カードとシナリオライティング」を詳細に披露している。まあ、アントニオ猪木が卍固めを繰り出したようなものですな。

方法論だけではただの「ハウツー本」になってしまうと編集の方が言うので、フィリップスライティング社の再生で実際に繰り出した戦略と絡めて、戦略策定が進んでいくという、読み物としてもおもしろく(たぶんとてもおもしろい)。タイトルはこの編集の人が付けた。

合間合間に、マイケル・ポーターから楠木建まで、主要な戦略セオリーを斬りまくり(?)最後は私の戦略策定モデル、PSRDモデルを提唱している。

PSRDモデルって何の略で、どんなモデルなのかと お尋ねですか?

是非この本をお求めになり、お確かめください。

組織は経営者の意思表示



今週、名古屋に赴いてとある会社の経営陣による三年経営戦略発表会を司会、コメントした。彼らが外部の資本家に対して行い、私は過去数ヶ月その策定を指導してきた。

私は常々「組織戦略が最も重要」と主張している。今週の戦略発表に対しても、組織に関するところで幾つかコメントさせてもらった。経営者は、彼が預かった組織を通じてその会社の―あるいは彼のー経営目標を実践する。ということは、「社長は一人では何も出来ない」。

組織の再編成をすると言うことは、経営者が何をやりたいか、何を不要と考えていることの具現化となる。
こまめにメンテナンスして、時には大胆に編成し直す。ここのさじ加減が経営の真骨頂となる。

2011年5月1日日曜日

「イノベーションのジレンマ」 書評74 (2)



新著に引用批判するので、精読した。下記が、著書で書き込んだ原稿である。


このように考えてみると、破壊的技術を経営戦略の立案に使えるプレイヤーは存在しないことになります。
クリステンセンの解説と分析は見事なもので、学問的には意味がありました。しかし、実際の経営戦略を立てる際のパーツとして使えないとなると、それは実用的には価値がないものです。この段落の二つの文を縮めて言い直しましょう。
「意味があるけど、価値がない」