2011年5月20日金曜日
「戦略の名著!最強43冊のエッセンス」 書評76
講談社+アルファ文庫、2009年。有坪民雄・守屋淳の分担執筆(こういうのを「共著」と言って良いのかな?)
有坪民雄が自分の分担のところでおもしろい見解を述べている。
「アカデミズムの世界とは別に、日本には三つの俗流経営戦略の潮流が出てくる。連合艦隊、中国古典、徳川家康といったような歴史に学ぼうというベストセラー雑誌を好んだ「プレジデント」派、軍事理論に学ぼうとしたランチェスター派、アメリカで認められなかったエドワード・デミングにならうカイゼン派である。」
1980年代の日本における経営セオリー世相を上手く説明しているではないか。「俗流経営戦略」というのは有島の造語であろうが、なかなか表現力に富む。
そういえば、新聞に毎月「プレジデント」誌が大きな広告を出していましたね。考えてみれば、あんなにあの雑誌は流行っていたわけだ。
またデミングのことを「今は亡き」風に軽く触れているのが確かな時代感覚だ。私も「タフネゴシエーターの人を見抜く技術」(講談社2001年)で、「デミング賞受賞企業のその後」の検証をしてみた。すると、受賞企業の方がそのためにその後業績不調に陥っていることが実証された。デミング賞に対して世の中が白けてきたのは、私の指摘と時期を一にしていると思っている。
その後「経営品質大賞」なんて始まったが、時代を魅了したとは言えない。
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