ソフトバンクロボティクスとしては、旧社員となった林氏が今に至るも看板商品であるPepperの生みの親であるかの報道に不快感を募らせていたのだろう。冒頭に掲げた「要請文」のタッチは、そのような解釈をすると腑に落ちる。
その「要請文」の発行人となった冨澤社長が、16年春にロボスタにインタビューされたことがあるという。
「ソフトバンクロボティクスの冨澤社長にインタビューをさせていただいた際に、席に着くや否や『(林氏が)Pepperの父という表現は間違いだ』と指摘された」(同記事)
「また冨澤社長は『彼に部下なんていなかった』とも加えた。周囲に賛同を求めると、6、7人が黙って頷いたのだった」(同記事)
社長が不機嫌にそのように言い放ったとしたら、「そうではありません」などと言える部下はあまりいないだろう。自分を差し置いて在職中は社長でもなかった人物が、看板商品の「アイコン」扱いをいまだに受けているというのは、現社長にしてみればおもしろくないことは想像できる。
そこでカリスマ経営者である孫社長を担ぎ出して、「本当の生みの親はこちらだ」と声を張り上げた。もちろん、それは正しいことだ。大人気ないとする向きがあっても、間違いとして指摘されることはない。しかし、あえて声を上げるようなことだったろうかとの思いは残る。
(この項 続く)
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