マイケル・キートンは熱演しているが、キャラクターが悪役なので、そのアップとたびたびの咆哮で暑苦しい。
最後の場面でキートンが「ビジネスに必要なのは執着だ!」と何度も獅子吼(ししく)するのだが、画面が切り替わり生前のクロックが同じフレーズをカメラ目線で決め付けた映像で終わる。私には、レイ・クロックがトランプ大統領と重なって見えた。トランプ氏も実業家だし、「ディール・メーカー」としてのし上がった人物だ。教養がなくてもアメリカ大統領くらいにはなれるという好例だ。
人を大切にしない主人公の成功譚とその主張がメインの映画なので、後味がいいとはいえない。アメリカ人にとってレイ・クロックは有名人なので、その一代記映画としてアメリカでは興味が持たれたのだろう。興行成績もまずまずだったそうだが、日本ではどうか。
この映画からビジネスパーソンが得られる知見としては、「事業の成功と高邁な人格は関係ない」ということであり、「事業家として重要な資質は、脊髄反射的な判断力と、行動力」ということだ。それで勝負する経営者もいるということに尽きるだろう。
(この項 終わり)
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