カリスマ経営者には後継ぎは育てられない
孫氏がグループのCEO(最高経営責任者)として全体を見て、海外部門をアローラ氏、国内部門を宮内謙氏がそれぞれ副社長として受け持つことが企業価値を増大させる格好の布陣だったろうが、今となっては「ないものねだり」となってしまった。アローラ氏は、7月1日以降は顧問としてソフトバンクグループに関与するという。しかし、より大きな権限と責任を求めての副社長退任なので、外にポジションを探すことになる。
そこで、ソフトバンクグループで後継経営者の育成はどうするのか、という命題が発生してしまった。私は「そんなことは無理だったのだ」と指摘したい。同社には以前からソフトバンクユニバーシティがあり、社内だけでなく社外からも参加を認めている。何百人もの参加者を輩出し、当初は孫氏の後継経営者の発掘、あるいは教育機関ともいわれてきたが、結局外部から唐突にアローラ氏をスカウトした。
柳井氏にしても、09年にFR-MIC(ファーストリテイリング・マネジメント・アンド・イノベーション・センター)を立ち上げて後継経営者を育成し始めたと思ったら、自らの65歳引退を公言していたのを13年に至り撤回して、現在67歳で陣頭指揮を執っている。永守氏に至っては常々「死ぬまで経営に関与するのが創業者の責任だ」と覚悟を示している。
(この項 続く)
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