職人神話にメスを入れることから始まった木村屋総本店袋パン事業改革
――木村屋総本店は著名なあんぱんで勝負すればいいのではないでしょうか。
福永暢彦氏(以下、福永) スーパー・コンビニ向け事業においては、あんぱんは5%ほどの売上比率しかありません。袋パンでも「あんぱんのキムラヤ」という知名度はあっても、袋パンのマーケットで求められているのは、あんぱんだけではありません。我々は、あんぱんだけでない「強みとこだわりが詰まった袋パン」で成長していかなければなりません。伝統の美味しい袋パンのあんぱんの認知度を上げていくためにも。
だから、方向性を明確にしていくために、スーパー・コンビニ向け事業ではあえて「あんぱんのキムラヤとの決別」という言い方をしてきました。決して「あんぱんのキムラヤ」を否定しているのではありません。袋パン分野での当社の認知度はまだとても低く、ポテンシャルは極めて大きいと感じています。
――「あんぱんのキムラヤとの決別」というのは、古くからいる社員にとっては抵抗のある方向付けだったのではないでしょうか。
福永 そのとおりです。でも私の着任前は、古いやり方、考え方に皆がとらわれていたからこそ、本来持っている伝統や強みが生かし切れていなかった。皆の考え方を変えていけば、袋パンのあんぱんの製造を続けてきたからこその強みを生かしていけると考えています。
(この項 続く)
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