日本郵政は大型M&Aから手を引いたほうがいい
野村不動産HDの買収を断念、トール社買収でも失敗、根強い「お役所体質」
2017年3月期の決算発表をする日本郵政の長門正貢社長(左)と市倉昇専務=5月15日
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またM&A名人として知られる日本電産の永守重信社長は、「EBITDA10倍以上の会社は買わない」と明言している。EBITDAとは、買収先の経常利益と減価償却額の合計で、10倍とは10年をかけると投資キャッシュは元を取れるということだ。買収してからその企業の経営効率を上げたり、当社とシナジー(統合補完)効果により業績を加速させることにより、その10年を短縮するところに買収側経営者の腕の見せどころがある。
ちなみに、トール社買収時のEBITDA倍率は9.2だったので、西室氏がPMI(統合後経営管理)をしっかり差配していれば、今回のような巨額損失の計上には至らなかったかもしれない。
実際、日本郵便がトール社に役員を派遣したのは、17年2月に至ってからのことである。前述した17年3月期ののれん代損失計上が確定してからの、アリバイつくりのような役員派遣に私には見える。
実力以上のM&Aをしてしまい、その後も何もしなかった、という点で西室前社長はその責任を糾弾されるだろう。
(この項 続く)
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