日本郵政は大型M&Aから手を引いたほうがいい
野村不動産HDの買収を断念、トール社買収でも失敗、根強い「お役所体質」
2017年3月期の決算発表をする日本郵政の長門正貢社長(左)と市倉昇専務=5月15日
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買収したトール社を、西室氏は持ち株会社である日本郵政ではなく、子会社であり事業会社である日本郵便の下につけた。
しかし、考えても見てほしい。日本郵便というのは日本全国津々浦々に郵便局を開設して、日本国内の「郵便」事業を営々として担ってきた。トール社を買収したその時点ではまだ民営化されていない公社であり公的企業だったのだ。国際ビジネスとはもっとも遠かった地平にいた企業が日本郵便だっただろう。
そもそも日本郵便グループは、公社という体質を強く保持していて、なかなか他の民間会社とさえ合わせられない。10年に日本通運の「ペリカン便」を統合したときも、規模拡大を果たせなかったばかりか、1000億円規模の赤字を出すに至っていた。
そんな「純ドメ(ドメスティック)」の極にある会社に欧米文化であるオーストラリアの巨大会社を経営できる人材やノウハウが有る、とでも西室氏は判断したのだろうか。
日本側に海外子会社の経営ノウハウがあり、しっかりガバナンスを効かせればうまくやっているところはいくらでもある。同じ公社上がりでもJT(日本たばこ産業)は、海外M&Aの優等生だ。その下地には長年国際的な原料調達や製造展開のノウハウの蓄積がある。
(この項 続く)
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