「M&Aする際もEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)で10倍以上となる金額の会社は買わない」と常々公言している永守社長は、堅実な投資家でもあるので、孫氏の後は追わないのだろう。
業容を拡大する手法としてソフトバンクと異なる道を行くだろうというのが、私が感じた2点目だ。
「どの分野に出ても世界一になる。そのつもりでやらなければ経営者なんて要らない」
実際には、日本電産のビジネス分野(ドメイン)はあくまでモーター関連にある。というより、モノづくりであり製造業が基本だ。ソフトバンクのように業界、業態を超えて脱皮していくわけではない。
売上高2兆円に向けて、モーター単体だけでなく、モーターを組み込んだユニットやシステム、果てはソフトまでも傘下に収めようとしているが、その外にあえて出て行こうとしているわけではない。そこに永守氏の経営者としての節度と矜持を感じる。
「20年に年商2兆円という目標を掲げていますが、重要なのは営業利益3000億円のほう、というより営業利益率15%達成が私の目標です」
そして、「こんな会社の株を買うのがいいのですよ」と、居並ぶ証券会社のアナリストに永守社長が“吼えた”。あえてこう表現させてもらうが、本当にそうなのかもしれない。
(この項 終わり)
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