2011年7月5日火曜日
「貞観政要」呉競書評86
著者は呉競、編訳者は守屋洋、徳間書店、1975年刊。
図書81(6月12日)で「帝王学 貞観政要の読み方」(山本七平、日経ビジネス文庫)を取り上げたところ、「こちらの方を読むように」として本書を強く推挙された。まあ、「帝王学、、」の評については、どちらかというと山本七平の方に興味が傾いた向きがある。本書の方がオリジナルとの近さという点では勝っているのだろう。
どこが勝っているかというと、呉競が著したという漢文(白文:レ点の無いもの-レ点と書いても分かる人の方が少ないだろうが)と、その読み下し文を掲げているところだろう。この両方について、編訳者の守屋は
「漢文愛好家への配慮であって、一般の読者はこの部分をとばして読んでいただいていっこうにかまわない」
としている。
守屋のその他の役割は、オリジナルの漢文の訳文を掲げていることと、各項目で解説を書いていることである。まあ、分かりやすい構成だ。
ただし「解題」で
「古来から、帝王学のほとんど唯一のテキストとして珍重されてきた秘密」
という表記は、東洋学者の牽強付会で、西洋には本書に対応すべき「君主論」(マキャベリ)があることはいわずもがな。「君主論」の書評も本ブログで取り上げていて、本日のタイトル・クリックでリンクを張ってある。
内容に入る前に字数が尽きたので、もう1回取り上げる。
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