2011年2月28日月曜日
「プロ経営者」育成研究 抜粋(1) ― まず、経営者になる覚悟というのは、どのように決められたのでしょうか?
― まず、経営者になる覚悟というのは、どのように決められたのでしょうか?
もともと私は経営者になるつもりはなかったんですよね。社長になってくれと頼まれたからなりました。野心は強くないほうでした。20代に大病したこともあって、復帰して会社勤めをしていた頃は、勤め続けられないのではないかと思ったり、自分のベストライフとしてはマンションの管理人になって安逸な人生を送れればと思ったりしたこともありました。
ビジネスでトップになるつもりはなくて、ナンバー2、参謀的な立場が向いていると考えていました。経営者は大変ですよね、責任をとらなくてはいけないしプレッシャーもかかるので。ライフスタイル的にも望んでいませんでした。ただ、それぞれのポジションで「ベストパフォーマンスを出す」という美学はずっとありました。そのポジションをやるからには責任を果たす。果たすだけでなく、他の誰がやるよりも自分がやるのがいちばんであるくらいのパフォーマンスを、結果もそうだけれども仕組み作りの面も含めて出したいと思って、一生懸命やってきました。そうしたら、転職していたこともあってか次々と上のポジションになり、37歳の時に“社長をやってほしい”と言われて社長になりました。経営者になってからも、この「ベストパフォーマンスを出す」というこだわりは変わっていません。
(続きは本日のブログタイトルをクリックで)
2011年2月23日水曜日
「プロ経営者」育成研究 インタビュー 掲載
2011年2月22日火曜日
大槻忠男氏 ユニヘア 社長を退任
先週私のブログへのアクセスが大幅にアップした。分析したところ、大槻忠男氏について一昨年書いたブログがそのお名前の検索に引っかかって開かれたと言うことだった。
大槻さんがアデランス社の社長に就任されたときに「旧知の大槻氏が」とブログを書いた。
大槻氏はビッグ・ホリディの創業社長である岩崎安利さんからの紹介だった。ちなみに岩崎さんとは40年来(!)のおつきあいをしていただいている。
大槻氏とも不思議な因縁があった。私は1992年に3ヶ月だったか4ヶ月間だったか、日本ドレークビームモリン社の副社長をしていた。カタカナ名前だったが、純粋な日本の会社でオーナー創業者の舘内さんが社長、アメリカのDBMからローカル・フランチャイズ権を買ってその名前を名乗っていた。
言うまでもなく、日本のアウトプレースメント業界の草分けの会社だった。大槻さんは私がいなくなった後、DBMにカウンセリーとして関与し、舘内さんにスカウトされた。カウンセリーとは、日本ペプシコ社の社長だった大槻さんが再就職支援をDBMで受ける成り行きだったのである。
辣腕をふるった大槻さんは舘内さんの後を継いで社長となり、日本DBMを上場させた。その際オーナーだった舘内さんは創業利益として莫大な金額を手にしたと伝えられている。
その後大槻さんはファンドの招請を受け、アデランス社の社長職を引き受けられたのだが、この度株主総会で代表権のない取締役に選任されたとのことである。外資やファンドを巡ってのドラマがまた繰り広げられたのではないかと思量する。あるいは雇われ社長と資本家、というゲームということなのか。
2011年2月21日月曜日
「創造と変革の志士たちへ」堀義人 書評67
PHP研究所、2009年刊。
グロービスの創業社長(学長)の三冊目の本。
処女作「吾人の任務」(東洋経済新報社)から感じられたインパクトは大分薄れてしまった。処女作には清新な意欲と強い意志、大いなる希望などが語られていて、著者自身が「創造と変革の志士」であることを強く感じさせた。
今回の著作では、だから前に開陳されてしまった諸点が繰り返されて新味に欠けるところは致し方ない。そもそも第1書から第3書で同じ著者の主張が変わってしまうのもおかしな話となってしまう。
グロービス設立から何年もたっているので、同校のカリキュラムなどについて説明的になるのも当然である。本書を手に取る読者はグロービスに興味を持っている人たちだから。
「青年の主張」から「布教の教本」の性格を帯びてくるわけだ。丸々1冊がグロービスのプロモーションのため、と見られることもあろうが、非難されるべきことでもない。
ただ繰り返すが、処女著作を越えるところは出てくるべくも無い。
2011年2月19日土曜日
経営者ブートキャンプ、発表大会で締め括り
経営者ブートキャンプは6講を重ね、本日で発表大会を挙行し閉講した。
全員が自社や自部門の3年戦略を披瀝し、クラスからの助言を受けた。
唯一海外出張で参加できなくなったオーナー経営者の方からは、メールで発表スライドが送られて来て私の添削を求めてきた。さらに、クラスの全員を3月のとある日に彼の会社に招き、会社も披露したいし、本日できなかった彼の戦略発表もやらさせてくれと申し入れている。
私は所用で失礼することにしたが、いかにクラスでの経営者同士での交流が評価されたかということだろう。1期から2期に継続受講者が何人かいたが、今度は第3期への継続受講希望がクラスの大部分から出ている。
クラス編成のバランスから、第3期の新クラスの3分の1までを継続受講者とし、残りは第4期に廻ってもらうことにした。
5月から始まる第3期の詳細は本日のタイトル・クリックでリンクを張ってある。ご興味のある方はお早めに申し込まれたい。
2011年2月18日金曜日
スシロー、自慢する経営者(2)
カンブリア宮殿のスシロー特集でブログをもう一つ書かせてもらう。
寿司が流れていくところにいくつかレーン(客のカウンター)がある。スシローでは、顧客の入店時間を厨房で表示し、その滞在時間を三段階に分け、それらの顧客ミックスにより食べてもらえそうなネタを流す組み合わせがあるそうだ。そして、その組み合わせが9とおりあり、それが一目で分かるようにイラスト化されていた。その結果、流す寿司の廃棄率は4%にも低減したそうだ。
このシステムには大いに感心した。そして、私の他にも感心したり興味を持った視聴者がいると思った。それは何より、かっぱ寿司であり、くら寿司(回転寿司大手三社の残り)のはずだ。
スシローさん、そんな文字通り「お台所」あるいは舞台裏までさらしてどうするの?そのノウハウを発見、システムまでに昇華するのにどれだけの努力、コスト、集中がかかったのですか?
昨日は、実は昼間別の大手飲食チェーンの経営指導をしていた。そこで(つまりカンブリア宮殿のTVを見る前に)まさに指摘していたのは、
「XXXこそが御社の競争優位の源泉です。そして表面的に現れている個別の事象は競合に模倣されるかもしれないが、その源泉要素は分かりにくい。マスコミや業界紙からの取材がこれからもあるでしょうが、決してそこのところを解説・開示してはいけません」
ということだった。
でも、、、成功していると自慢したくなるものだよね、人間って。そしてそれが競合を利することが多いんだ。
スシロー、プロの経営者(1)
昨夕、TV番組「カンブリア宮殿」では大手回転寿司スシローの社長にスポットライトを当てていた。
急成長、そして激烈な競争を繰り広げている大手回転寿司チェーンで、スシローは2番目の売り上げだそうだ。大手三社の中でスシローの特徴は、セントラル・キッチンではなく個店での現場調理によるおいしさによる差別化だそうだ。
当家の近くにはスシローとかっぱ寿司があり、当家の好みは(つまり味覚の判定)はかっぱ寿司の方である。それはまあ主観で、個別のサンプル意見だとして、番組の中で「組織運営」の成功的な話として、25,000人にもおよぶ現場のアルバイト、彼女たちが調理のほとんどを担っていることが紹介されていた。
ところが登場したのが女子高生で
「初めて包丁を握った」
「魚を切らせてもらって嬉しい」
とコメントしている。
そうすると、このチェーンの最大の強みって何なの? と思ってしまった。 自己否定するような情報発信をしてどうするの?
社長は寿司職人からのたたき上げで、経営は「経営のプロ」の専務が分担している、という。その専務は35歳で、東大大学院卒で、ドイツ証券の後はマッキンゼー勤務だったそうだ。こういう人は、「経営のプロ」とは言わず、「経営の初心者」と言うのではないのか。
番組で紹介されていた、この専務の改革事例もインターホンだった発注システムを他のチェーンと同じタッチパネルに切り替えたことだ、と。こんなこともベスト・プラクティスだと胸を張りたいのだろうか。
村上龍が、スシローの社長に
「競合に比べて経常利益率が低いのは?」
と見事な突っ込みを入れたら、社長は
「私たちは競合を向いているのではなく、お客様の方を向いているのです」
と。
お客に認められ、優れた経営をしたならば、競合並みの経常利益を出してもいいのではないだろうか。
突っ込みどころが多かった回であった。
2011年2月15日火曜日
経営者ブートキャンプ、クラス半数以上から継続参加申し込みが
事務局から報告があり、
「5月から始まるブートキャンプ第3期への継続参加申し込みを募ったところ、なんとクラスの半数以上が希望した」
相談した結果、第3期クラスのバランスもあるので、皆さんにお話ししてあったように先着順4名だけで締め切らせていただいた。
「すると、残りの方は10月開講予定への第4期への仮申し込みとなりました」
とのこと。
経営者ブートキャンプの参加費用のことを考えると、これ以上の顧客満足、評価は無いと思い、とても嬉しい。
私が頭をひねるのは、
「継続参加者に前期と同じ読書課題を与えたくない」
ということだ。万巻の経営書はあるが、6講を通じて10冊読んでもらう。意義のある書物をその都度「全取っ替え」するのも実は大変だ。でも私自身にも刺激があることなので同じ書物の繰り返しを避けていきたい。
第3期の詳細は本日のブログタイトルをクリックしてもらうとリンクが貼ってある。申し込みフォームも作成されている。すでに申し込み(継続ではない)も来始めているとか。ご興味のある方は急がれた方がよいだろう。
経営者ブートキャンプ、発表大会用のスライドを添削している
今週末はいよいよ、第2期の最終講「発表大会」だ。朝から夕刻まで各自が考えてきた「自社の」「実際の」三年経営戦略を発表してもらう。
これは実際の企業戦略成果物なので、ハードコピーを配布してもらうことはない。もちろんファイルの共有なども不要という配慮をしている。その上で思う存分、新しい知見による戦略を開陳してクラスの皆さんの批判を受けてもらいたい。
発表日を前にして、昨日が私への発表ドラフト第2稿の提出〆切り。それぞれが作ってくれた戦略計画に私が赤でコメントを入れて順次FAXバックしている。皆さんの5回にわたる出席、課題図書の読み込み、そして懇親会などでの経営者同士の相互交流による刺激と学び、、、それらがすべて凝縮されて「出席する前には手にしていなかった経営戦略」が提出されてきている。
経営者ブートキャンプの主宰者、講師としての冥を実感する週である。
2011年2月12日土曜日
戦略策定は経営資源と段階的に
戦略立案は、創発型がよいと私は主張している。創発型とはいわば「状況に応じて」ということでもあるのだが、それでは「いつでもよい」あるいは「四六時中立案していろ」ということかというと、そうではない。
戦略論で近年有力な学説となっているのがリソース・ベースト・ビュー、つまり経営資源論である。自社が有する独自で価値があり、模倣困難的な経営資源に立脚して経営立案をせよ、という立場だ。
(以下は私の主張だ)
ここで重要なことは、経営資源の組み合わせは固定的なものではない、ということだ。時間枠の進行に伴い、獲得追加(あるいは喪失)する経営資源がある。そしてその変化はリニア(漸進的)なものではなく、ある時に起こる段階的なものとなる。
それは特定の技術だったり、人材だったり、資本だったり、会社によって異なる。発現の形も異なる。重要なことは、「大きな」経営資源の変化があり、別の段階に入ったとき、創発型の経営戦略の再設定をすると効果がある、そうすべきだと私は言うのである。そこのところを和語で表現すると「勘どころ」ということだ。
英語で表すと Resource Development by Stage Progress、すなわちRDSPモデルと私は名付けている。
2011年2月9日水曜日
「経営承継」の連載記事を始める
某最大手銀行系の研究所から6回連載の記事の出稿を求められ、春から開始することになった。
テーマは「経営承継」。
2007年に著した「あなたの会社、誰に継がせますか? 売りますか?―事業承継の選択肢と実践」(ダイヤモンド社)で私は、
「事業承継には、資本承継と並んで経営承継という大きな柱があり、従来後者が本格的に論じられることは無かった」
と指摘し、
「しかし実は経営承継の方が重要となってきている」
として、経営承継準備の必要性と実践的なステップを述べた。
以来、この論点が注目されることとなり、今回の寄稿依頼となった。
月次の連載が終了するまで、発表内容も発表媒体も開示しない契約となっているので、内容については秋頃にご報告する。
2011年2月7日月曜日
「よき経営者の姿」伊丹敬之 書評66
日本経済新聞社2007年刊。
著者の「経営戦略の論理」(日本経済出版社)を経営者ブートキャンプ第1期の最初の課題図書で使った(本日のブログタイトルから、同書への拙書評にリンクする)。経営戦略理論の学術書として先駆け的なものでもあり、構成もすっきりしていた。加えて著書は、経営学者として高名な方である。
そんな教授が著された「経営者論」なので期待して開いた。
しかし、違和感が強い。重要なテーマなのに、異様に早く読めてしまう。分析が、把握が上滑りしているので、ページも飛んで行ってしまうのだと気がついた。
各章の章立て、つまり構成は無難だし、章題、つまり個別テーマも興味あるものを押さえている。そして各章の内容も流麗に流れている。美辞麗句を上手くに並べて下手をすると感心してしまうだろう。
しかし、
「やはり現場を見て来ていないのだな」
ということに尽きると気づいた。だから私のような実際の実務家に対しては説得感がないのだ。学者先生が経営の外から「お話」を聞き集めて、それに対して感想を述べている、上質なエッセーに過ぎない。
各個別テーマ(各章)で感想を書き述べているのだが、注意深く読んで各章での著者の感想を付き合わせると齟齬を来す。つまり矛盾したり、相互同時成立が不可能なこと(簡単な言葉で言うと「無い物ねだり」)などに気づく。
それらについて一々例証する字数をこのブログは持たないので指摘しない。
2011年2月5日土曜日
経営者ブートキャンプの新募集開始が近い
本日、経営者ブートキャンプからの帰り道を同道していた参加者(IT系創業社長)からしみじみ言われた。
「第2期がまもなく終わりですが、考えてみれば初参加した第1期の初日のことが恥ずかしい」
この方以外にも、第1期と第2期の継続受講者がいる。
「?」
「あの時は本当に何も知らなかった」
と言ってくれた。
そして、
「第3期には幹部社員を出席させようと思っている」
とも。
ブートキャンプでの授業を通じて、自分に次ぐ「同志幹部」の有用性、必要性を実感したそうで
「是非現有社員の中から育ってほしい」
と思うように至ったとのこと。
次の第3期は5月から始まる。実は現在の第2期の受講生からすでに継続参加の申し出を何人かいただいている。このブログを目にされた方は本日のブログタイトルから第3期の情報にリンクを張ってある。席を確保しておきたい向きは申し込んでしまっておいた方がよい。
本格募集がまもなく始まってしまう。
井上和幸講師が「活躍する経営者の共通項」を講義
仮病で社員にショックを!オーナー社長
本日ブートキャンプ第5講を開催。いよいよ次回はリアルな経営戦略の発表大会ということで、それへの最後の備え。
小グループに分かれて、形を表してきた発表スライドのハードコピーにより説明し、他参加者からのコメントや意見を受ける。説明する方も、コメントする方もリアルなケースにより学習している。
ランチタイムにおもしろい話を聞いた。とある技術ベンチャー会社の創業社長が、
「2週間前に、まるまる1週間会社を休んだ」
という。ところが
「それは仮病で、社員たちに自分がいなくなるとどうなるかの予断を与えて、ショックと自立の促しを計ったのだ」
と思いがけないことを開陳した。
私たちは皆その奇策に度肝を抜かれたのだが、
「こんなことを思いついたのも、ここ経営者ブートキャンプに通い始めたからだ」
とご本人は涼しい顔。
「いろいろなことを考え初め、以前思わなかったこと、できなかったことをするようになった」
とのこと。
2011年2月4日金曜日
「ダイナミック戦略論」(3)コア・コンピタンス論者の敗退
前項(2)で「戦略論者の死屍累々」という副題をつけた。本項では著者の河合忠彦教授の叙述により、G.ハメル(Gary Hamel)という戦略学者の主張をたどってみる。
ハメルは1990年代前半、C.プラハラッドなどとあの一世を風靡した「コア・コンピタンス」の概念を提出した学者だそうだ(これもこれ以降も大部分が河合著書からの学恩:別名受け売り)。
その時に「コア・コンピタンスにより競争優位を獲得している」と持ち上げられたのが、NECのC&C、ソニーの小型化技術、そしてホンダのの技術などだったそうだ。
「NECのC&C?] あれには「今は亡き」という枕詞をつけるべきだろう。
「ソニー?」 盛田会長亡き後、出井社長が決定的に企業価値を棄損して現在はなお悪い
「ホンダ」 成功のきっかけは北米でのマーケティングであり、そのきっかけは偶然的な四輪車へのシフトだったというのが今では通説。 (この段落は山田のコメント)
そして専門語を創出した栄誉を担った(山田コメント)「コア・コンピタンス」論者が提唱したことが、たとえば「5年後、10年後、15年後にどのような新しい消費者ニーズに応えようとするのか」、などだったそうだ。
15年後?うーん。15年後と言わず、上記の理論を発表して6年後の2000年に著した著書で、G.ハメルは次のように記述しているそうだ。私のブログの引用としては異常に長い。
「”唯一の”確かな競争優位性の源泉は、“ビジネス・コンセプト”のイノベーション”、さらにはそれを見つける”洞察力”である」
コア・コンピタンスからビジネス・コンセプト・イノベーション能力だと。なんだか分からん。ハメルは続ける。
「その核心は”富を生み出す新戦略”を創出する能力である」
だそうだ。
”何を馬鹿なことを言っているんだ”と言いたくなるのだが、実はそうではなく、「馬鹿なことも含めて、何も言っていないじゃないか」と私は突っ込みたい。
我々実務家は、「それじゃその”新戦略を生み出す”方法を教えてくれ、その“能力”とやらを獲得する方法を示してほしい」という立場だ。”唯一の確かな源泉が洞察力”だというのなら、洞察力とは深く人格に根ざしている、つまり属人的なものだから、結局は「経営者次第だ」とハメルさんは喝破している。でもそれなら戦略論の学者なんか出てくることはないではないか。
それにそもそも、
「ハメルさん、あれだけ担いでいたコア・コンピタンスはどこに置いてきちゃったの?それまず落とし前つけてくれない?」
などと、お会いしたら是非申し上げたい。まだ生きていらっしゃるのだろうから。
ブログタイトルから「コア・コンピタンス」への私の書評へリンクが。
2011年2月3日木曜日
ブルー・オーシャン企業を経営指導
いやはや、今週の経営指導はおもしろい企業が続いた。昨日、一昨日と部門長への部門戦略立案指導を行った企業は、その取り扱い主要製品のプロダクト・ライフ・サイクルが数十年を数え、なお20年程度は持ちそうな例外的な会社だった。
今日経営指導の2回目にうかがった会社は、ブルー・オーシャン戦略で説明できるこれも珍しい例。
私は、一般には目指してもらう経営戦略としてはブルーオーシャン戦略を勧めることはまず無い。というより、そんなことは避けて戦略選択をするように勧めている。
ところが、実現や出現が珍しいはずのブルー・オーシャン企業にぶち当たり、コンサルタントとして興味に堪えない。これからの経営指導で、こちらの経営陣がどのような三年戦略を選択するのか、お手伝いできることに喜びを感じている。
「新・ぶら下がり社員症候群」吉田実 書評65
東洋経済新報社、新刊。著者は人材育成(株)シェイク社長。多数の社員育成に関わり、アラサー世代の社員たちの疲弊感に注目して見事に分析している。
時代の様相を切り出した言葉としての「新・ぶら下がり社員」の提出は、近年で言えば「草食系男子」以来の切れ味である。そして「新・ぶら下がり社員たち」が無気力で無欲求でエネルギーに欠けてしまっている様も、「草食系男子」の出現と時代をいつにしている、あるいは必然的な延長としての社会現象であることがよくわかり、説得力に富む。
「新・ぶら下がり社員」はしかし男子だけでなく女子をも巻き込んでいること、企業の中に発生していると退出もしようとしないで、ネガティブな影響力により増殖していく様など、恐ろしい進行状況まで観察している。
経営者や管理職は今年必読の一書といえる。
2011年2月1日火曜日
「ダイナミック戦略論」(2)戦略論者の死屍累々
国際経営戦略研究学会長の河合忠彦教授の手強い著書の続き。
ご持論を展開する前に、先行理論の主要なものを紹介して批判・評価している。
それらの先人たちの学問的貢献は端倪おくべ刈らざるものがあるが、一方この分野での学者先生たちの気の毒な様がよく読み取れる。
「経営環境の変化の激しい時代となって」と言って、どの時代でも(つまり過去50年間ほども)新しい戦略論が生まれては、次の戦略論にとって替わられた。
つまり、各時代のそれ以前のセオリーで説明できないようなビジネスの状況が次々と発生して、セオリーはそれを統一的に説明できないのだ。
そのような激しい変遷があった戦略論の中にあって、実務家の間ではいまだにマイケル・ポーターの競争戦略が神のように崇められているのはどういうわけか。彼のセオリーは80年代の初めのもので、30年前の今となっては古色蒼然たるもののはずだ。あるいは不滅のスタンダードに昇華したか。
ちなみに「実務家」とは「学者」に対する概念。「ビジネス」と「アカデミー」と私は使ったりする。
この項まだ続く。
広告会社での部長研修、佳境に
5回シリーズで教えている中堅広告会社の部長研修は、今日明日と2日間にわたり第4講となった。
今日の午前中は、8名を集合クラスで「プレゼンテーションのやり方」を勉強してもらって、その後簡単に「発表大会の進行手順」を説明。
今日の午後3名、明日1日で8名を各80分ずつ個人指導。各参加者の部門戦略は姿を現している。昨日までに発表ファイルを事前にメールで送ってもらっておいた。
個人指導では、プロジェクターに映してリハーサルをしてもらいながら、スライド・テキストの表現や戦略展開の内容を指導。
当たり前だが、一人一人業務が違うので発表内容も異なる。それを個別指導するので大変なことは大変だが、おもしろい。8名の部長さんの個別戦略を指導していると、全社的な戦略課題までよく見える。そのステップをどう扱うかという問題が残る。