2017年11月21日火曜日

「りらくる」爆成長の驚異的経営…セラピストの自由過ぎる働き方(3)

――マッサージや整体とは業態が違うわけですが、それらの先行業態での価格相場は1時間なら6,000円とかせいぜい5,000円でした。りらくるは価格破壊を行ったわけで、大きな驚きでした。いってみれば、理髪業界のQBハウス(10分1,080円、調髪のみ)がリラクゼーション業界に登場した、というような状況でした。
出上 そうかもしれません。


セラピストのバックグラウンドは多彩



――いろいろなセラピストの方がいて興味を持ちました。
出上 現在実働してもらっているセラピストの方は1万2,000名ほどいるのですが、実は専業の方ばかりだけでなく、パートの方も多いし、主婦の方も珍しくありません。

――国家資格ではないのですよね。
出上 日本リラクゼーション業協会のセラピスト認定資格を取る方もいますが、基本的には自社で育成レッスンしています。私どものセラピスト育成センターは全国で35カ所あり、そのほかに臨時も含めると約50カ所で展開しています。各拠点にはトレーナーが1人はいます。

――ずいぶん数が多いのですね。どのくらいレッスンするのですか。
出上 セラピストになりたい、という方に広く働く機会を与えたい、また当社としてはセラピストをできるだけ確保したい、という意向がありまして、できるだけ希望者の近間で育成レッスンをできるようにしています。レッスン時間としては70時間から80時間を標準として、卒業試験に合格してもらうのが要件です。

(この項 続く)

2017年11月20日月曜日

「りらくる」爆成長の驚異的経営…セラピストの自由過ぎる働き方(2)

リラクゼーション業界のQBハウス



――社名は「りらく」ですが、店名のブランドとしては「りらくる」で展開なさっていますね。
出上幸典氏(以下、出上) はい。2009年に創業者の竹之内教博(たけのうちゆきひろ)が1号店を大阪に開いたときは「りらく」屋号でしたが、16年に500店を達成したのを機会に新しいステージということで、あえて新ブランドとしました。

――リラクゼーション業界では店舗数が一番多いそうですね。
出上 11月1日現在で580店舗となり、毎月ほぼ5~6店開店しています。すべて直営店で、25年に1,000店を達成するのが現在の目標です。

――実は私は近くのりらくるで2年来、ときどきお世話になっています。お店が大きい、という印象を持ちました。ベッドの数が15ほどもある。スーパーの2階で外階段を上がっていかなければならない。りらくるが入る前は焼肉屋でしたが、車で来なければならない立地という関係もあり、撤退してしまいました。
出上 当初から出店立地としてはロードサイドで駐車場があるところ、ということでやってきました。出店コストも安くなりますし。

――確かに料金は安いですね。
出上 1号店の時から60分のコースで2,980円としています。竹之内が10年に大阪の堺駅近くの雑居ビルでリラクゼーションに入ったら、60分で3,000円だったわけです。当時としては衝撃的な価格で、竹之内は「これだったらロードサイドで展開したらうまくいく」と思い第1号店を出した、というのが経緯です。


(この項 続く)

2017年11月19日日曜日

「りらくる」爆成長の驚異的経営…セラピストの自由過ぎる働き方(1)


出上幸典氏:株式会社りらく代表取締役社長兼CEO。
1979年生まれ。広島県出身。
2001年産業能率大学経営情報学部卒業。
SEとして社会人のスタートを切り、数社で経営企画業務に従事。
2012年にりらくに入社。執行役員を経て15年5月より現職。
リラクゼーション業とは従来のマッサージと異なる業態だ。従来産業であるマッサージや鍼灸あんま指圧、あるいは柔道整復などは厚生労働省の所管監督下にある。一方、リラクゼーション業は2013年に総務省の「日本産業分類」に初認定された、新しい業態である。

 リラクゼーション業は定義として「手技と高いコミュニケーションスキルでの接客による施術サービスで、男女・年齢を問わない幅広い利用者の心と身体の癒しをサポートする産業」とされる。「手技」とは、肘から先だけを使う施術だということだそうだ。医療行為は一切行わない。

 この新進業態であるリラクゼーション業界のなかでも急成長を遂げて、現在店舗数で1位となっているのが株式会社りらくである。同社の出上幸典(いでうえゆきのり)社長に急成長の秘密を聞いた。

(この項 続く)

2017年11月16日木曜日

ビックカメラは長年かけ確立したブランドを、自ら毀損し始めているのではないか?(8)

ヤマダ電機とヨドバシカメラの業態拡大に注目



 実店舗での家電量販が頭打ちになった現状で、同業の大手各社も業態拡大に頭を悩ましている。
 ネットビジネスに注力して大きくリードしてきたのがヨドバシカメラだ。冒頭の大手各社ランキングでも売上高は5位だが、対売上高経常利益率では群を抜いて1位だ。

 取扱商品そのものの拡大という点では、ヤマダ電機の戦略に注目している。11年に中堅ハウスメーカーのエス・バイ・エルを買収し、住宅事業に参入した。住宅事業と家電販売をマッチングさせようという試みだ。同社はまた家具雑貨店も展開し、家電販売との複合的な効果も狙っている。10月31日には、なんと電気自動車事業への参入を発表した。

 いずれもまだ成果を出す段階ではないが、戦略的な動きである。ヤマダ電機については稿を改めて分析、評価してみたい。

(この項 終わり)

2017年11月15日水曜日

ビックカメラは長年かけ確立したブランドを、自ら毀損し始めているのではないか?(7)

しかし、そんなことが可能なのだろうか。流通のリアル店舗の場合、私たち消費者は店名によってブランド認知を行う。つまり店名により、その店で取り扱われている商品種類を認識、あるいは期待するのだ。何を主として売っているのかわからない「ビックカメラセレクト」では、その店名ブランドによって消費者は引き付けられない。

 ビックカメラセレクトに商品カテゴリーが混在すると、文字通り小型スーパーという認識になってしまう可能性がある。ということは、今度は同社の旗艦店舗であるビックカメラ本体のブランド・イメージに混乱を与えることになる。つまり、家電量販店として長年確立してきた「ビックカメラ」ブランドを毀損してしまうことにほかならない。

 店舗形態をビックカメラと離して物販していくのなら、ビックカメラのブランドを使わないほうがいい。また、業態が認識しやすいように、主となる商品カテゴリーを店により確立させることだ。医薬品ならドラッグストアとしてのブランドをつくり、展開する。既存のドラッグストア・チェーンを買収してそのブランドにより他店舗展開を図る、などだ。

(この項 続く)

ビックカメラは長年かけ確立したブランドを、自ら毀損し始めているのではないか?(6)

しかし、私は自身が昔タカラトミーに奉職していた経緯から、玩具業界には興味を持って観察してきた。正直言ってビックトイズのような狙いの専門店はいくつも出現し、いくつも消えていってしまった。

既存ビックカメラの大型店舗内に玩具コーナーがあり、子供連れの消費者の「ついで買い」を狙うなら商機があると思うのだが、専門店展開に勝算はあるのだろうか。少子化時代にそぐわない戦略選択かと危惧する。

 もうひとつの目玉が「ビックカメラセレクト」の出店だ。11月に東京・原宿に1号店を開くという。売り場面積は340平方メートルと小型スーパー並み。ビックカメラ既存店が大型であるのと対照的だ。取扱商品群も医薬品や日用品などだという。ところが、何を中心に扱うかは店によって変えて、それによって販売効率を高めるとしている。

(この項 続く)

2017年11月14日火曜日

ビックカメラは長年かけ確立したブランドを、自ら毀損し始めているのではないか?(5)

店舗ブランドの組み込みと使い分けが肝要



 本業だった家電商品の売上の減少傾向を補うべく、宮嶋社長は決算説明会で「家電製品でない商品を伸ばしていく」と意欲を示したのだが、実はそちらへの舵取りもやさしいことではなさそうなのだ。

同社の連結決算で17年8月期の「その他の商品」は計1560億円の売上を計上したが、実は前年は1500億円だったので、4%の伸張を示したにすぎない。「その他の商品」カテゴリーが同社にとってまだ始動時のプロジェクトならともかく、すでに全事業の20%を占める主要カテゴリーとなっている段階でのこの成長度数では、大いにその先が思いやられる。

 説明会で宮嶋社長は、「その他の商品」カテゴリーを伸ばしていくいくつかの戦略を述べた。

 そのひとつが、11月からの専門店「ビックトイズ」の出店開始だ。玩具についてはすでに既存ビックカメラ16店舗で扱っているのだが、11月に専門店を愛知県日進市の商業施設にオープンするという。知育玩具など小学生以下の子供向けの商品を主に販売して、祖父母層の購買を狙うという。

(この項 続く)

2017年11月13日月曜日

ビックカメラは長年かけ確立したブランドを、自ら毀損し始めているのではないか?(4)

決算説明会で発表された資料を精査すると、同グループの「品目別売上高」というテーブルが目に留まった。

前述した17年8月期の連結売上高7906億円のうち、「物品販売事業」でない「その他の事業」には135億円しか計上されていない。この数字から見ると、ビックカメラという企業は商品の量販流通業に邁進している、ブレのないグループだということがわかる。

 さて「物品販売事業」の合計は7771億円に上るが、それらは4つのカテゴリーで報告されている。

音響映像商品  1269億円 (構成比16.3%)
家庭電化商品 2489億円 (32.0%)
情報通信機器 2452億円 (31.6%)
その他の商品 1560億円 (20.0%)
※上記は物品販売事業内の構成比

 ビックカメラが販売している物品のなかで、すでに20%が家電ではないのである。「その他の商品」として報告されたのは次のような商品群だ。

ゲーム(※)
時計(※)
中古パソコン等(※)
スポーツ用品
玩具(※)
メガネ・コンタクト
酒類・飲食物
医薬品・日用雑貨(※)
その他(※)
<(※)の品目は売上100億円以上>

 これらの商品群で最大の売上は「その他」で、467億円に達している。

(この項 続く)

2017年11月12日日曜日

ビックカメラは長年かけ確立したブランドを、自ら毀損し始めているのではないか?(3)

動き出していたビックカメラの製品多角化



 家電量販店大手各社の本業の業績は、近年いずれも不調である。それは、もちろんネット通販によって実店舗での販売が大きく蚕食されてきたからである。そのなかでヨドバシカメラだけが以前からネット通販に注力しており、対売上高経常利益率でも他社を大きく凌いでいる。

 ビックカメラは12年に同業のコジマを買収し、その分13年度の売上を伸ばしたが、14年8月期の連結売上8300億円をピークに、前回の決算までそれを落とし続けてきた。

 宮嶋社長としては、ここでなんとしてもその退潮傾向に歯止めをかけて、反転攻勢をかけたいところだろう。

 そこで、店頭での販売が頭打ちになった家電商品以外の物販に活路を見いだそうという戦略なのだ。しかし、今回宮嶋社長が示した方針というのは、実は同グループのなかではすでに進みだしている動きの追認で、目新しいものではない。

(この項 続く)

2017年11月11日土曜日

ビックカメラは長年かけ確立したブランドを、自ら毀損し始めているのではないか?(2)

ところが、対売上高経常利益率で見ると、同社は5位に沈んだままだ。

1位 ヨドバシカメラ 8.45%
2位 ケーズHD   4.87%
3位 ヤマダ電機   4.22%
4位 ノジマ     3.56%
5位 ビックカメラ  2.95%
6位 エディオン   2.37%
7位 上新電機    2.13%

 つまり、経営下手という通信簿をもらったようなかたちとなった。主要商品である家電やIT関連商品の売上が苦闘している状況に対して、宮嶋社長は「家電でない商品を伸ばしていく」との戦略を示した。しかし、同社の製品多角化という戦略は機能するのだろうか。

(この項 続く)

2017年11月10日金曜日

ビックカメラは長年かけ確立したブランドを、自ら毀損し始めているのではないか?(1)

ビックカメラが10月20日に2017年8月期決算説明会を開いた。

説明会で同社の宮嶋宏幸社長は、同期の連結売上高は7906億円(対前年比1.5%増)、営業利益218億円(同0.7%減)、経常利益243億円(同5.6%増)と報告した。経常利益だけが若干の伸張を示した。

 売上高で見ると、ビックカメラは家電量販店大手7社のなかで2位の位置を保持している。

1位 ヤマダ電機   1兆5630億円
2位 ビックカメラ  7906億円
3位 エディオン   6744億円
4位 ケーズHD   6581億円
5位 ヨドバシカメラ 6580億円
6位 ノジマ     4320億円
7位 上新電機    3743億円
(ビックカメラ以外は17年3月期決算)

(この項 続く)

2017年11月9日木曜日

九州にセミナーなど

福岡では、部長を対象にした公開セミナー。

といっても、社長も出席していた。30名以上が戦略カードを使って、一日熱心に研修してくれた。

テーマは、
1.3年戦略の作り方(戦略カードを使って)
2.リーダーシップとコミュニケーション
3.組織(チーム)の作り方、モチベーション

終わりのアンケートの評点がよく、来年の出講も依頼された。来年?鬼が笑う?生きていれば?

もう1日、小倉で個社のコンサルをして帰った。

2017年11月2日木曜日

みずほ総研で部長研修(公開セミナー)

秋、ということで幾つか公開の1日セミナーの講師を委嘱されている。

「課題解決型の戦略策定法」を1日で速習させてほしい、と言ったような依頼だ。戦略カードを参加者のそれぞれの企業事例で演習実習してもらい、その使い方を伝授するのが通例だ。

10月末のみずほ総研でのコースでは、「社長の右腕になる!『部長の指導力・行動力』強化セミナー」と銘打たれ、50名近くの参加者が来てくれた。

この後も、年末に向けて同様なコースを別主催者で何回か。

2017年11月1日水曜日

イオン、過去最高益の「知られざる内実」…本業・流通業の利益はゼロに等しい状態(8)

「目標設定」の次に「課題の認識」が戦略策定のステップとしてくる。このとき、「重要課題」は先に設定された「目標」と連動する必要がない。というより、連動させてしまうと、それぞれの課題が持つ重要性とは関係なく「重要課題」が認識される弊害がある。「目標」とのつながりが意識されないほうがいい。

 イオンの場合、「グループ事業構造の改革」「事業基盤の刷新」などが目標設定に先立って重要課題として列挙されたのであるが、それはそれでいい。「重要課題」の定義は「それを解決、克服できれば業績の大幅な改善や伸張につながると期待できるもの」だからである。

 設定した「重要課題」の個々に対して、今度は「解決策-アクション・プラン」を考える、というのが「課題解決型の戦略策定法」の定番だ。イオンの場合は図らずもこのステップを進んでいるように見えなくもない。問題は、同グループのビジネスの基本構造-ビジネス・モデル-がすでに大規模流通業ではない、ということを経営陣が共通して認識しているかだ。

 現状の利益構造に対して、流通業大手として邁進してきた役員の皆さんが意図しなかったビジネス・モデルの変容に対して何かコンプレックスを感じたりして、原状回帰あるいは祖業のテコ入れなどを企むと、それは失敗してしまうだろう。

(この項 終わり)

2017年10月31日火曜日

イオン、過去最高益の「知られざる内実」…本業・流通業の利益はゼロに等しい状態(7)

迷走する戦略策定



 イオンの問題は、経営者自身がこの構造を理解していないことにあるのかもしれない。今年5月の株主総会で、同社は20年2月期に営業利益2900億円とする目標を発表した。いわゆる3年計画で、今回上方修正した18年2月期の2000億円から半分近くも営業利益を積み上げる、とした。ただし、この段階では目標だけをぶち上げたものの、そのための達成手段やいわゆるアクション・プランは示さなかった。

 実は株主総会に先立つ今年4月には17~19年度を対象とする新しい中期経営計画を公表していたのだが、「グループ事業構造の改革」「事業基盤の刷新」といった課題の列挙にとどまり、具体的な施策は明らかにしなかった、あるいはできなかったという経緯がある。今回10月4日の決算発表では、イオンリテールの岡崎社長が「11月には中長期の経営計画を発表する」とし、宿題への答案を提出する構えを見せた。

 さて、同社はまず「目標」を設定してしまった。その目標への道程は示さないままに、と非難もされている。しかし戦略策定のステップからみると、実はそれで良いのである。「目標」はその時限内での到達したい「経営者の志」なので、何をぶち上げても構わない。

(この項 続く)

2017年10月30日月曜日

イオン、過去最高益の「知られざる内実」…本業・流通業の利益はゼロに等しい状態(6)

売上を見ると、イオングループは従来型流通業の巨大企業のように見えるが、利益で見ると様相は一変する。(1)~(3)の流通業セグメントが上げた前半期の営業利益額は142億円にすぎない。この金額は3つのセグメントの売上総額約3兆5000億円に対して、ないに等しい。

 一方、(4)~(7)の非流通セグメントの営業利益の合計は704億円に上り、実に前半期グループ合計の営業利益額850億円のほとんどを叩き出している。特に(4)総合金融事業の329億円、(5)ディベロッパー事業の235億円という営業利益額は、イオングループが実はこれら2つの事業に大きく支えられていることを示している。

 イオンの2つの柱の事業というと、実は金融と不動産開発であることを指摘しておきたい。実態は、大規模な流通業の展開を表の顔として、その顧客である消費者に金融サービスを提供して儲け、自らのGMS店舗などを核としたショッピング・モールを立ち上げて外部の店舗を招聘してテナント家賃を稼いでいる、という業態なのだ。

利益分析的には、イオンの流通店舗群は、真の利益構築への導線、あるいは隠れ蓑として理解できる。

(この項 続く)

2017年10月29日日曜日

イオン、過去最高益の「知られざる内実」…本業・流通業の利益はゼロに等しい状態(5)

しかし実態は、「流通を表の顔として、本業は不動産開発と金融サービス」というのが正しい。イオンは展開している事業を7つの「セグメント」として分類している。今回発表した前半期決算について紹介しよう。

 総売上は4兆1586億円、そのうちの大きなセグメントは以下のとおり。

(1)GMS(総合スーパー)事業:1兆5251億円
(2)SM(マックスバリューなど、イオン以外のスーパーマーケット)事業:1兆6228億円
(3)ドラッグ・ファーマシー(ウエルシア薬局など)事業:3411億円

 これらの流通事業御三家の売上合計は3兆4890億円に上り、総売上の83%を占めた。

非流通事業は以下のとおり。
(4)総合金融(金融、保険、銀行など)事業:1979億円
(5)ディベロッパー(イオンモールなど)事業:1649億円
(6)サービス・専門店(ツヴァイ、メガスポーツなど)事業:3977億円
(7)国際事業(海外店舗展開)事業:2039億円
 これらの合計が総売上の17%となった。

(この項 続く)

2017年10月27日金曜日

イオン、過去最高益の「知られざる内実」…本業・流通業の利益はゼロに等しい状態(3)

儲けの源泉は非流通業



 10月5日付日本経済新聞は、今回の上方修正を次のように報じた

「イオンは4日、2018年2月期に本業のもうけを示す連結営業利益が前期比8%増の2000億円になりそうだと発表した。従来予想から50億円上方修正し、12年2月期(1986億円)以来6期ぶりに最高となる」

 イオンとその株主にとっては、めでたい上方修正だ。しかし、同記事内の「本業のもうけを示す連結営業利益」という表現が、実は曲者である。

私が注目するのは、イオングループの「本業」、そして「本業のもうけ」とは何か、ということだ。同記事では「本業のスーパーを中心に停滞感はなお強い」とあるので、イオンの本業はスーパーであると日経新聞はとらえているらしい。

(この項 続く)

2017年10月26日木曜日

イオン、過去最高益の「知られざる内実」…本業・流通業の利益はゼロに等しい状態(2)

従来型流通の最大グループのひとつであるイオンの利益率から見ても、同業態の苦悩が読み取れる。というのは、日本企業では規模の大小や業界、業態を問わず対売上営業利益率は4%前後とされているからである(15年度の推定:「企業利益率を維持した日本経済-平成27年度法人企業統計年次別調査より-」財務総合政策研究所副所長・高田潔氏による)。

 今期の好決算を受け同日、イオンは18年2月期最終業績の上方修正も発表した。それによると、通年での連結営業利益額は2000億円となるという。上半期で850億円を出したので、下半期は1150億円の営業利益となる見通しだ。儲けが加速する、という強気の読みである。

(この項 続く)

2017年10月25日水曜日

イオン、過去最高益の「知られざる内実」…本業・流通業の利益はゼロに等しい状態(1)

イオンは10月4日、2017年度第2四半期(3月―8月)連結決算を発表した。イオンリテールの岡崎双一社長が、持ち株会社イオン傘下のイオングループ全体と事業セグメント別の業績を発表した。

 この決算数字を見る限り、足元の業績は好調に推移している。しかし、イオンは「次の一手」というべき本格的なグループ全体としての戦略の構築に難渋している。

半期の営業利益、11年ぶりの高記録


今回の発表の目玉として、営業利益が850億円となったことが挙げられた。この数字は前年同期比18%増であり、半期の営業利益額の記録としては11年ぶりに過去最高となった。営業収益(売上高に相当)は4兆1686億円で、前年同期比1.4%増という若干の伸びだったので、営業利益の改善は確かに目に付くものだ。しかし、対売上営業利益率としてみると、2.0%にとどまる。

(この項 続く)