2018年5月26日土曜日

若き有望アメフト選手を加害者に仕立てた「日大の異常な経営体質」…逃げ回る田中理事長(3)

将来をつぶされた加害選手も被害者だ


 企業や有名人の不適切行動に関する謝罪会見は多く、最近ではTOKIOの山口達也メンバーのわいせつ行為をめぐる謝罪会見が記憶に新しい。そうした会見のたびに危機管理専門家やコンサルタントが実施方法やメッセージの出し方などについて、批判的な指摘を行っている。今回の宮川選手の謝罪会見は、ここ数年でもっとも成功した例だ。

 成功した1つ目の要因は、会見の趣旨について「謝罪をしたい」そして「真実を明らかにしたい」とはっきりさせ、それを何度も繰り返したことだ。2つ目は、方法論として「陳述書」という書面をあらかじめ用意して、これを読み上げるというかたちをとったことだ。それは、問題が起きた試合の前の段階から、日付入りの時系列で起きた事実と自らの感想が書かれており、登場人物の個人名も記され、十分に説得力があり、人々が経緯をよく理解できた。

 3つ目の理由として、宮川選手が「そもそもの指示があったにしろ、やってしまったのは私です。人のせいにするのではなく、やってしまった事実がある以上、私が反省することだと思います」「自分で判断できなかった、自分の弱さだと思う」などと明言して、他の誰も非難しようとしなかったことだ。記者からの質問で、内田監督や井上奨コーチへの感想を何度も求められた。それは、監督らへの非難コメントを誘導するようなものでもあったが、宮川選手は監督、コーチ、あるいはアメフト部を非難することなく、「監督とコーチ陣からのプレッシャーがあっても、自分で正常な判断をすべきだった」などというコメントに終始した。

(この項 続く)

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