「どうしよう、帰ってきてちょうだい」
近隣でのんびり用を済ませていた私の携帯電話が鳴った。妻からだった。混乱して、焦燥していて、気の毒に取り乱している。「私がどこからか訴訟を起こされていて、それを止めるにはすぐに手続きしなければならないって通知が来たの」「どうすればいいか、すぐ帰ってきて」と続いた。
「何が来たの? 電話口内容証明みたいなもの?」
「ハガキで、民事訴訟の最終通告書って書いてある」
拙宅の住所、妻の個人名が明記されて配達されてきたものだという。私も一瞬考えたが、妻が訴訟を起こされるような状況は一切思い当たらない。
「それは怪しいよ」
「でも『訴訟通知センター』からきているし、訴訟を取り下げられるのは●月●日までって……」
(この項 続く)
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