2010年10月30日土曜日
「影響力の武器」ロバート・B・チャルディーニ 書評(52)
誠信書房から1991年初版。アマゾンの読者レビューに投稿しようと思ったら、第1版に70名以上、第2版にも30名以上のレビューが掲載されていたので止めることとした。
名著。名著である理由は幾つもある。
― おもしろい。知的興味を大いにそそるだけでなく、「驚く」という読書の楽しみにあふれている。
― 学術的で本格的だ。内容については多くの調査や文献を基としていて、用意周到で論駁できないくらい水際立っている。
― トピックの並べ方、選択の組み合わせが優れている。しかもその焦点の合わせ方が多数の読者の潜在的な興味疑問に沿っている。
― 文章が平易で、しかも興味を持つような叙述方法に成功している。
影響力には大きく以下の6つのルールがある。
1「返報性」
2「一貫性」
3「社会的証明」
4「好意」
5「権威」
6「希少性」
これらが働きかける仕組み・機序をケースや先行文献などで明らかにしている。
2010年10月23日土曜日
「あなたの会社は部長がつぶす!」(35)初めて星四つレビュー
アマゾン読者レビューに8つのものがアップされているが、先週初めて「星4つが」付いた。全文
今まで6社の社長を務め、全て再建した経営コンサルタントの社長指南書である。著者によれば、今までのビジネス書は多くが大企業を想定して描かれているので、日本の企業のほとんどを占める中小企業の事例とは、ずれるところが多いという。いくらジャック・ウエルチが「選択と集中」で、不採算事業は切り捨てろ、と言ったところで主たる事業が一つしかない会社でそんなことをしたら「潰れてしまいますがな」と言われてしまう。
業績不振な会社を、ヘッドハンティングされたばかりの著者がどのように立て直したのか?そのノウハウは意外にシンプルであり、著者はその業界の素人ではあっても、「経営のプロ」であったのだ。
新任社長の著者がまず行うのは、社員の力を引き出すためにコミュニケーションを最大化する。別に飲みに行くわけではない。経営幹部、中間管理職、一般社員からじっくり話を聞き、会社の問題点を洗い出す。この時点で明らかになった「すぐに処理できない、もっともな指摘」こそ重要な経営情報だ。そして、経営幹部は一掃するかゼロベースで査定する。今までうまくいかなかったとすれば幹部の責任であり、今までのやり方にこだわりやすいのもこの経営幹部だからだ。
そして、会社経営者の、「うちはいい人材がいない…」という嘆きを否定する。自分が再建した会社は、売上3倍にしたが、社員はほぼ変わっていない。それは問題点を露わにして経営戦略を変更したからだ、という。そして再建途上で経営幹部の馘を斬った後は、残った社員の給与を上げてモチベーションを高めたエピソードを披歴する。
タイトルは経営者が部長(および管理職)をどう処遇するかについて書いてあるようにみえるが、実は組織運営論であり、管理職を目指す一般社員にも役立つ。ただ、著者は外資系企業の経験が多く、大胆なリストラも可能だったと思うが、組合のあるような会社で同じ事は難しいかもしれない。
2010年10月20日水曜日
「コア・コンピタンス経営」G.ハメル&C.K.プラハード 書評(51)
日経ビジネス文庫。原著は1994年、訳書は1995年。原書も翻訳版もよく売れて日経ビジネス文庫に収載されて、今ではスタンダードとなっている。
個々の章での指摘や主張を聞くと、いかにももっともで、かつ壮大で否定しがたい。だからこれほどまでに読まれたのだろう。
しかし、冷静に考えてみよう。「未来に一番乗りする報酬は図り知れない」:ブルーオーシャンに連なる主張だ。「コアな強みにフォーカスして事業展開すべきだ」:事業資源に恵まれる企業に有効なPPM的な技法だ。
「10年後に業界はどう変わっているか、認識を持っているだろうか」と問いかけるが、そんな先のことを考えるのは有効なことだろうか。著者自身が「デジタル情報産業は動乱が永遠に続くだろう」と言っている。
92年に「戦略設計図を描くプロジェクトに2千人以上が参加し、延べ3万人時間を費やした」と著者が絶賛したEDS.”それをする前には”(評者)「2000年には悪くても250億ドルの売り上げを達成するのは確実」と言われていたのに、実際には2007年にようやく221億ドルを売り上げ、その翌年にはHPに買収されてしまった。”それをしたから”ではないのか。
本書の実情は、多くのまじめな経営者に「自社はそんなことはしていない、とてもできない」といういらざるコンプレックスを与えるだろう。さもなければ、企業規模や経営資源と言う「身の丈」に合わない壮大な仕掛けの策定に取り組ませて、会社の骨組みを揺るがせるような結果を引き起こす。
同族企業の後継者が北米へMBA留学に出され、このような考え方に「かぶれて」長年続いた優良企業を潰しているのではないか。
2010年10月18日月曜日
『ヒトを見抜く技術』CD(フォレスト出版)(5)知っていますか?
2010年10月17日日曜日
手帳の買い替え時期が来た
あれほど暑かった夏も去り、気持ちの良い秋の週末を過ごした。気がついてみれば、寒さが立ちあがることから「霜月」と呼ばれた11月が目の前だ。あっという間に年が変わってしまう。
今のころに私が目配りし始めたのが、新しい手帳探しである。講演やら研修指導では3か月先あたりを依頼されることが多く、来年春ころの日程の打診が始まりだした。一番先で、来年9月の依頼を2件受けている。今年7月に都合を聞かれたときは、てっきり今年の9月のことだと思った。
さて、現在のビジネス・モデルがこのような調子なので、次の手帳は複数年連用のものにしようかと思っている。「三年手帳」というと、知られているのは集文館のものらしい。他に能率手帳で3年のものを店頭で見た。
実際にお使いになっている読者の方がおられれば、是非アドバイスのコメントを書き込んでくれればありがたい。
今のころに私が目配りし始めたのが、新しい手帳探しである。講演やら研修指導では3か月先あたりを依頼されることが多く、来年春ころの日程の打診が始まりだした。一番先で、来年9月の依頼を2件受けている。今年7月に都合を聞かれたときは、てっきり今年の9月のことだと思った。
さて、現在のビジネス・モデルがこのような調子なので、次の手帳は複数年連用のものにしようかと思っている。「三年手帳」というと、知られているのは集文館のものらしい。他に能率手帳で3年のものを店頭で見た。
実際にお使いになっている読者の方がおられれば、是非アドバイスのコメントを書き込んでくれればありがたい。
2010年10月16日土曜日
経営者ブートキャンプ第2期キックオフ
2010年10月14日木曜日
経営者ブートキャンプ 実録日記(13)「さあ、発表大会」。
10月2日(土)。第6回であり、最終講だ。
この日はいつもより30分早く、9時半開講とした。発表大会なので十分な時間を確保したかったからだ。
「自社の三年戦略」の発表を実施してくれたのは受講生中6名。一人の発表にまるまる1時間を取った。パワーポイントではなく、キーノートでプレゼンした参加者が2名いた。
「自社(あるいは自部門)の経営戦略設定」は、各講の進行とともに毎回のように演習として実施してきた。第1講でその方法論を指導し、各参加者の「自社(自部門)紹介プレゼン」をしてもらった。
それからは、宿題(事前課題)として各ステップのカード出しをやってきてもらって、クラスでは参加経営者同士、各4名グループでの相互発表、相互討議という形で戦略思索の言語化、洗練化、強化を実施してきたわけである。
第3回目に至り私は、パワーポイントによる「発表用テンプレート」をデモし、授業後皆にメール送付した。そのテンプレートには、各スライドに小タイトルを入れてあるので、相互討議を経て結論としたカードの1枚を1スライドに書き込んでいけば、発表用のファイルが出来上がるという麗しい仕掛けである。
「発表大会」で優秀賞を取った様な参加者は、このテンプレート・ファイルにさらに独自の加工・編集を加えてアピールした。
スライドの枚数については、しかし私は強く助言した。
「あまり枚数を多くするな」
ということだ。
(以下、本日のブログタイトルからリンクが)
経営者ブートキャンプ(12)“売れる”経営者 VS “売れない”経営者
9月11日(土)に行われた経営者ブートキャンプの第5講では、井上和幸特別講師による標題の特別講義が行われた。
井上講師は、本ブートキャンプの主宰会社(株)経営者JPを今年創業された、ご自身がベンチャー起業家である。昨年までは(株)リクルートエグゼクティブエージェントの役員であり、同社のエース・コンサルタントとして知られていた。
井上講師に対して私が使っている枕詞は「日本一のヘッドハンター」。またの通り名を「5千人のエグゼクティブを見抜いてきた男」。何か、旗本退屈男のようでクールだ。
井上講師は今年、次の2冊を立て続けに上梓されいずれも結構な売れ行きとなっている。
『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)
『人物鑑定法』(経済界アステ新書)
『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』の方を前回に課題図書として受講者に渡してあった。各回2冊の課題図書のうち、「サブ・リーディング」としたので読書感想文の提出の対象とはならない。とはいえ、著者自身が2時間も講義しに来てくれる。読んでこないことがあろうか。特別講義の「美味しさ」が大きく大きく違ってしまうことは想像してもらえるだろう。
考えてみれば、第1期は主任講師としての私以外3人の特別講師、そしてサプライズ・ゲストとして福田秀人氏と、計4名の著者の方をお呼びした。そしてそれぞれのご著書を事前に課題図書としてきた。
「著名ビジネス書の著者自身と親しく語り合える」
そんなことがシリーズ化で実現しているのはブートキャンプだけ、と確信する。少なくとも私は他に知らない。
(以下、本日のブログタイトルからリンクが)
東京商工会議所「実践型経営戦略立案セミナー」山口県から参加者
東京商工会議所で本年2回目の公開セミナー。今回のタイトルは「実務に基づく実践型経営戦略講座」。
「東京」の商工会議所というのに、岐阜、大阪はては山口県から泊まりがけで聴講参加してくれた方たちに感謝。遠方を本社とする上場会社の執行役員の方も。
お礼を述べながら、
「どうしてわざわざ」
とうかがうと、
「経営実践者が話してくれる経営戦略講座というのを探していた」
などと。
例により、「戦略カード」を使っての「課題解決型の戦略立案」の演習を取り混ぜながら進行。
「週末に役員会議があるので、ただちにこの技法で戦略の展開をしてみる」
と、これは在京の会社からの参加者。
休憩中に社長に電話して提案したと言う。お役にたてればうれしい。
2010年10月13日水曜日
チリ鉱山事故救出開始の成功を祝う
本日、出講も打ち合わせも無くSOHOで資料作成。作業中、チリ鉱山事故の救出の第1人目が地上に引き揚げられたカプセルから出てくるのをテレビで見た。まず生中継、そしてその場面が何度も再映されたが、そのたびに涙しながら画面に拍手を続けた。
今年の出来事で、TVの「世界リーチ視聴率(異なり人数が試聴した数)」としてはサッカー・ワールドカップとどちらなのだろう。世界中で何十億人の人が今日この映像に拍手するのだろう。
このまま33人の救出に成功してほしいし、それが成功したとしたらこんな素晴らしい出来事はめったにない。人類の科学と善意と意思の勝利だ。
カプセルが地上に姿を現した時、そこで待っていた奥さんと坊や、ヒトの愛情というのも強く再認識させられた出来事ではないか。
まことにめでたい。
今年の出来事で、TVの「世界リーチ視聴率(異なり人数が試聴した数)」としてはサッカー・ワールドカップとどちらなのだろう。世界中で何十億人の人が今日この映像に拍手するのだろう。
このまま33人の救出に成功してほしいし、それが成功したとしたらこんな素晴らしい出来事はめったにない。人類の科学と善意と意思の勝利だ。
カプセルが地上に姿を現した時、そこで待っていた奥さんと坊や、ヒトの愛情というのも強く再認識させられた出来事ではないか。
まことにめでたい。
2010年10月9日土曜日
清張の文章は担当編集のN女史が
こちらはまだ経営者にもなっていない段階、あちらは年長で大出版社の看板編集というお立場だった。親しくなったころ、N女史に打ち明けられた。
「大作家と言われている人なんかもお世話させていただいているけれど、預かった原稿には私が手を入れているのよ」。
つまり、Nさんが先生の文章を直すというのである。
「筋書きや構成はもちろん先生で無ければできないので、それぞれの文章のところは目を配るのね」
Nさんが「赤」を入れてしまうという。
昨年末に「松本清張生誕100年」などという長時間のTV番組があった。
「松本清張をほとんど専属として担当していた編集者」
として懐古談を語っていたNさんを見て一驚した。
そして今週『松本清張傑作短編コレクション』(文春文庫)を読んでいる。
文章だけのことを言えば、清張のそれは確かに生硬である。文と文がぶつぶつと切れ、流麗に流れない。漢語の使用度などもあり、重厚ではある。しかし、その構成や着想の素晴らしさほどの文章では確かに無い。
(へえー、Nさんの出番は確かにあったんだ)
と改めて思った。
落語の落ちのような話で申し訳ないが、このNさんに私の処女作が
「山田さんの原稿はあまり直さないでいいわね」
と言ってもらって出版してもらった。やはり自慢のことだ。
「大作家と言われている人なんかもお世話させていただいているけれど、預かった原稿には私が手を入れているのよ」。
つまり、Nさんが先生の文章を直すというのである。
「筋書きや構成はもちろん先生で無ければできないので、それぞれの文章のところは目を配るのね」
Nさんが「赤」を入れてしまうという。
昨年末に「松本清張生誕100年」などという長時間のTV番組があった。
「松本清張をほとんど専属として担当していた編集者」
として懐古談を語っていたNさんを見て一驚した。
そして今週『松本清張傑作短編コレクション』(文春文庫)を読んでいる。
文章だけのことを言えば、清張のそれは確かに生硬である。文と文がぶつぶつと切れ、流麗に流れない。漢語の使用度などもあり、重厚ではある。しかし、その構成や着想の素晴らしさほどの文章では確かに無い。
(へえー、Nさんの出番は確かにあったんだ)
と改めて思った。
落語の落ちのような話で申し訳ないが、このNさんに私の処女作が
「山田さんの原稿はあまり直さないでいいわね」
と言ってもらって出版してもらった。やはり自慢のことだ。
2010年10月8日金曜日
松本清張傑作短篇コレクション〈上〉 (文春文庫) 書評(50)
経営者ブートキャンプの第2期が始まるまで、ほっと一息秋の空。エンターティメントを読んでいるわけだが、書店頭で目に付いたのが清張。
文章は固いが、やはり大したもので安心できる。
新潮社で清張を最後まで担当していたのがN女史だった。今年も清張を振り返るTV番組に出演し、懐古談をしていた。
そのN女史が何と私をー出版的にはー拾ってくれた人だった。1984年に新潮社の受付に手書きの原稿を持ち、アポも無く
「誰か編集の人に読んでもらいたい原稿を持ってきた」
と告げたのが35歳の時だった。
出版局の副編集長のN女史が手が空いていたのか、対応してくれて、その原稿は翌年私の処女出版となった。|『アメリカン・ビジネススクール決算記』である。
(この項続く)
2010年10月7日木曜日
経営者ブートキャンプ卒業生、「経営が下手くそだと社員が不幸になる」
5万社の社長に連載記事が始まる
KDDI苦情 100日難渋(5) 週刊誌から取材依頼
私は今までに13冊の自著を公刊しているわけだが(サイトの著書ページは下記だが、本日のブログタイトルクリックでリンクを張った)、お世話になった編集のAさんから朝一番で電話がきた。
http://senryaku.p1.bindsite.jp/pg70.html
Aさんは
「当社で発行している週刊誌の方が取材を繋いでくれということで」
と言う。聞けば、以前に私のコメントを載せてくれたB記者が意欲を示しているのだそうだ。
(Bさん、自分で電話してくればいいのに)
と思わないでもないが、同社ではAさんが私担当の編集と言うことになっている。
考えて
「少し待って下さい」
と答えた。
私自身が物書きなので、あの週刊誌に例えば2ページばかり自分で書く方が自然でもあろうなどとも思ったのである。それに事態はまだ収束していない。
電話をして来たAさんは書籍出版の方の編集だが、
「いっそ、1冊お書きになりますか」
と焚きつける。
経営・ビジネスを範疇としている私のカテゴリーからは外れるし、そんなにまとまるとも思えない。
「書けるとしても100枚くらいじゃない」
などととりあえず終えた。
経営者ブートキャンプ 説明会今夕最終回
2010年10月6日水曜日
みずほ総研『部長の指導力・行動力』強化セミナー 大盛況
2010年10月5日火曜日
「繁栄の黄金律」経営者JPでセミナー
2010年10月3日日曜日
ブートキャンプ卒業生、「刺激に満ちた6ヵ月、有効だった講師陣からのインプット」と。
経営者ブートキャンプ第1期を完走!
昨日、第6講として「戦略発表大会」を終日挙行。特別講師3人の方も出席して鋭く暖かいコメントを連発してくれた。
終わって6時過ぎから修了式と懇親会。皆、大きな達成感に包まれる。
自社の中期戦略を大枠で言語化し発表してもらった。それは6月まえの第1講開始時には各自が保有していなかった、文字通り「成果物」である。
経営者ブートキャンプが経営知識、セオリーだけを伝授するだけでなくこのような実践型で経営者の能力開発に寄与できる方法論であることが実証された。
懇親会でまた参加者の全員が一人の漏れもなく発した感想が、「経営者同士の密なネットワーキングの形成」という点である。今までは外部の経営者との付き合いがあったとしても同業だったりして、異業種でかつここまで踏み込めた友好関係のグループは初めてだ、と皆が言ってくれた。親交だけでなく、経営者同士なので実ビジネスのプロジェクトも幾つも走り出している。このレベルの人たちが助け合ってさらに成長していってほしい。
私の達成感も大きく、強い宴だった。