海と月社、2007年刊。
原書は1996年刊で、著者の処女出版。
以前に同じ著者の「マーケティング脳vsマネジメント脳」を図書41として取り上げ、酷評した(本日のブログ・タイトルからリンク)。「経営者を左脳(論理的)思考者、マーケターを右脳(感覚的)思考者と都合よくかつ根拠なく分類し、ポイントを先鋭化して論を立てている」など指摘した。
処女作では、「偉大な経営者はマーケティング上がりが多い」との記述が初めの方にあり、「いよいよご都合主義のコンサル作家か」と眉をひそめた。
しかし、読み進むにつれ、本書の方には評価が高まった。その才能を示した処女作を終世超えられず、あとは最初のものの焼き直しで終わってしまう芥川賞作家って結構居る。この著者とこの著作ももしかしたらそのようなものかも知れない。
どこがよいかというと、「フォーカス」って北米版ランチェスター戦略なわけだ。ランチェスター戦略はカタカナを使っているが、純粋の和製セオリーでかつ学会セオリーでないこともあり、海外では評価以前に全く知られていない。もしかしたらアル・ライズはどこかでランチェスター戦略を仕入れたのではないかと思われるほど、彼の主張はランチェスター戦略に引きつけて理解することが出来る。そして、その主張を証明する、欧米での有名企業の事例をとてもたくさん紹介している。だから、説得力もある。
日本の誰かが、ランチェスター戦略の欧米文献を出すと良いのでは。学問的には意味のあることになると思うのだが。
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