ランダムハウス講談社、2005年刊。原著も同年刊。
私が今執筆している経営戦略本の中で取り上げるので、しっかり読み返している。突っ込みどころの多い本なので、数回に分けてブログで取り上げる。
一言で言えば、「無い物ねだり」を薦めている本で、経営者を混乱させる書と言える。
レッド・オーシャン戦略と比較してのブルー・オーシャン戦略の優位を表としてまとめている(38頁)のを引用すれば、次の通りである。
-競争のない市場空間を切り開く
ー競争を無意味なものにする
-新しい需要を掘り起こす
-価値を高めながらコストを押し下げる
ー差別化と低コストをともに追求し、その目的のためにすべての企業活動を推進する
こんなコトが実現できれば素晴らしい!しかし単純に考えてみよう。同じ業界には必ず競合がいるわけで、その競合がこの同じ戦略をとったらどういうことになるのか。つまり、この時点でもう論理的に破綻している。
また著者達は108社の新規事業を研究して、ブルー・オーシャン型の新規事業の出現は少ないのだけれど売上高の伸びに対する比率と利益の伸びに占める比率で、レッド・オーシャン型の新規事業を大きく上回っていると主張している(25頁の表)。しかし、当該108プロジェクトのリストもなければ、どのような基準でレッドとブルーを分別したかを示していないので、著者達の主張は無効である。
(この項 続く)
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