「企業はヒトなり」の誤謬
「企業はヒトなり」。とてもよく聞く言葉だ。松下幸之助翁が提唱し、多くの経営者が信奉するに至っている。
しかしこの言葉は短いだけに、「ヒトを育てれば、企業はそれだけで上手くいく」というように解釈されることがある。そしてその延長として、「当社の業績が不調なのはいい人材がいないから」とか、「人材さえ育てば会社は伸びていくはずだ」などと慨嘆する経営者も多い。
しかしそれらの思い込みは、私に言わせれば「幻想」、あるいは「言い訳」に過ぎない。
なぜか。
私が経営者として携わった企業はみな、厳しい業績に苦しんでいたが、再建に取り組んでみると、数年のうちに好業績に転換することができた。
いずれの企業でも、この「ビフォー・アフター」を支えて結果を出していたのは、同じ社員たちであった。「企業はヒトなり」だけが真実だとすれば、こんな正反対のことが短期間に起こるはずがないのだ。
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