2010年8月31日火曜日
「甲賀忍法帖」山田風太郎 書評(47)
眠れぬ猛暑の徒然に、純然たるエンターティメントとして書店の店頭で手にした。
(山田風太郎のものって、もしかして40年ぶりに読む?)
などと思いながら。奇想天外な筋立てに中学生のころ度肝を抜かれた記憶があり、手を伸ばした。そうそう、ご子息がキッチンハウス社の社員にいた。
アマゾンのブックレビューが30位あり、2,3を覗いて星5つ!こんな好評価も珍しい。中には
「世界で一番面白い小説だろう」
なんてレビューも。
私にとっての「世界で一番面白い小説」は源氏物語に止めをさすが、
「山田風太郎は日本のアレクサンドル・デュマだな」
と思った。そのストーリー・テラーぶりがだ。構想が大きく、ひきつけていく文章力も両者すばらしいが、山田風太郎のほうが何と言ってもその奇想天外ぶりで勝っている。
この秋は、風太郎の忍法シリーズを読破しようか。面白い本にぶつかった。しめしめ。
清話会での講演
清話会と言えば、過去に3回ほど出講(講演の実施)させてもらっている。
著書を今まで13冊出しているが、そのテーマが清話会の月例セミナーの方向と合致すると頼まれる、といったわけだった。
清話会の特徴と言えば、「会員制の経営者の会」ということで、その伝統と規模で群を抜いている。月例講演会もだから会員の経営者が「聞きたい」と思ったものに申し込むわけだ。
今まで話させてもらったのは「経営戦略」と「経営承継」だったか。前者は『MBA社長のロジカル・マネジメント』(講談社)、後者は『あなたの会社、誰に売りますか、継がせますか?』(ダイヤモンド社)の出版が契機となった。もう1回は、、思い出せない。
著書を今まで13冊出しているが、そのテーマが清話会の月例セミナーの方向と合致すると頼まれる、といったわけだった。
清話会の特徴と言えば、「会員制の経営者の会」ということで、その伝統と規模で群を抜いている。月例講演会もだから会員の経営者が「聞きたい」と思ったものに申し込むわけだ。
今まで話させてもらったのは「経営戦略」と「経営承継」だったか。前者は『MBA社長のロジカル・マネジメント』(講談社)、後者は『あなたの会社、誰に売りますか、継がせますか?』(ダイヤモンド社)の出版が契機となった。もう1回は、、思い出せない。
「先見経済」9月号に巻頭論文と表紙
2010年8月27日金曜日
経営者ブートキャンプ説明会、9月1日(水)19時は満席
2010年8月26日木曜日
アリゾナの青い空
今日の昼下がりの猛烈な日差しに、昔留学していたサンダーバードを思い出す。
サンダーバードが立地していたグレンデールはアリゾナ州都フエニックス市北西郊外だった。フェニックス市そのものが地勢的にはネバダ砂漠の南端なので、その猛烈な暑さはよく知られている。夏は50度!何せ砂漠の話だ。
夏学期に学校のキャンパスを歩くときはそれこそ日陰を拾いながら移動しなければならない。写真は母校のキャンパス。
私のこの留学体験を記したのが「アメリカン・ビジネススクール決算記」(新潮社、1985年)という、私にとっての処女出版だった。この本に、当初私が付けたタイトルは「アリゾナの青い空」というものだった。それほどサンダーバードで見あげた空は印象深かった。このタイトル案は新潮社の担当編集に簡単にボツにされた。
2010年8月25日水曜日
「同族経営はなぜ3代でつぶれるのか?」武井一喜 書評(46)
クロスメディア・パブリッシング、新刊。
従来「同族会社」と言いならされてきた業態は、ここ20年間世界的に研究が進み、海外ではその名も「ファミリー・ビジネス」と呼ばれるようになっている。著者は、世界的研究機関FFI(Family Firm Institute)から日本人として初めて公認資格を取ってコンサルティングを行っている専門家。
私も実は数年前に『あなたの会社、誰に継がせますか、売りますか?』(ダイヤモンド社)を著しこの分野のことを書いている。私の著書はしかし、「経営承継」という一側面に焦点を当てていたのに比し、武井氏はさすがに専門家らしく、ファミリー・ビジネスをめぐる諸問題、諸要素を隈なく取り上げ、そして提言を行っている。
日本で初の、この分野における専門的な書が出たと言うべきだろう。
本書が触れた重要な点がいくつもある。
1.ファミリー・ビジネスの優位性(一般の常識とは異なっている)。
2.日本企業の80%以上、世界のGDPの70-90%はFBから成っているなど、ビジネス経済界における圧倒的な役割。
3.3代目まで続くのはわずか12%という冷厳な調査結果。
4.「会社は拡大ファミリー」という文化傾向。
5.FBの経営にはリーダーシップだけではなく「スポンサーシップ」が重要という指摘。
6.FBだからこと社外取締役が有用となる。
など。
日本に存在する会社の80%に有用な書である。
2010年8月23日月曜日
SMBCセミナー、興味は戦略立案カードへ
2010年8月22日日曜日
9月出講の仕込みに大童(おおわらわ)
2010年8月17日火曜日
経営者ブートキャンプ実録日記(9)
第4講となった8月7日は、それぞれのグループに分かれて11時から1時半まで150分間の演習時間を取った。途中弁当を使いながら各自が最低30分間はグループ内で発表した。発表だけでなく、他のメンバーが積極的に発言し、発表者の考えを中心にディスカッションが進行した。
それぞれのグループには、池本克之講師と新将命講師がグループ講師としてつき、私は適宜両グループでコメントを出す、という進行方法。考えてみると恐ろしいほど贅沢な布陣ではあるまいか。
本日は「戦略策定」演習の全段階で一番重要となる「解決策の発見」を実施した。
そもそも、「戦略策定」演習は第1講から始まり、最終の第6講での「発表大会」まで、次の段階を追ってきている。
(以下、タイトルクリックでリンクし続いている)
「トヨタ生産方式」大野耐一、ダイヤモンド社 書評(45)
1978年初版と言うから、もう30年以上前に書かれた本だ。トヨタ自工の副社長(製造担当)だった著者は、20年前に没している。それにもかかわらず、私の手元に来た本は、2007年第102刷りだという。100刷りを超えるロングセラーには初めてお目にかかった。
それだけ影響力が大きく、日本型経営のバイブル的な本となったのだろう。日本型経営って、それは製造業で一番強みを発揮しているわけで、製造業っていうのは村型文化が最も強みを発揮する業態でもある。つまり、同じ人たちが同じ場所にい続けて、限りなく同じことを繰り返しながら改善していく、という意味で米作りと共通する。村では草むしりも同じ時期にしないと効果が十全に担保しない、など。
本書が含蓄するところはもちろんとても大きい。しかし私が内容とは別に興味を持ったのは、
「企業人はなぜ自社の得意技を公開してしまうのか」
ということだ。
一方で、「競争戦略」などといって、競合を出しぬくことに全力を尽くし、工場見学をさせる場合も写真は遠慮してもらうし、ビデオを王氏港建社の工場(中国広州省)でまわした日本のメーカーの客人がほとんど怒鳴りつけられたのを思い出す。
それをここでは、トヨタにとっての最高の知的(経営)資産をその最高責任者がとても分かりやすく公開してしまっている。本書はその内容が重要なだけに、「誰の便宜のために」書かれたのだろうか。故人に聞いてみたい。
2010年8月12日木曜日
「フロンティア突破の経営力」小川政信 書評44
プレジデント社、2009年刊。国文科出身の私はこの人が使う言葉や、その組み立てにどうもついていけない。タイトルにある「フロンティア」がまずその一だ。この単語は私の使用では「突破して到達すべき地平」というものだったが、著者の使用は「それ自体が突破すべきもの」となっている。それなら「フロント(前線)」では無いのか?危うさを感じさせる単語の使用法なら、その定義やら説明がしっかりあるかと思ったが、見当たらない。
論理の展開も初めから危うい。「前書き」で「得意技の次元での解決策の効果は低減する」と指摘している。そうなのかもしれないが、「どうして?」はおろか「どのように」などの簡単なサポート(説明)がない。
「人と組織が動き出さない」という「この壁は情報と思考の力だけでは突破できないのではないだろうか」などと言っているが、そんなことは経営者なら百も承知である。驚いているのは著者のよなコンサルタントだけだろう。
初めのあたりから「危うい著者だ」と思っていたら、第1章で提出したケースがまた信じられない。「タスクフォースが始動して早や三週間」でトップへ中間報告?それは早いだろう。その三週間の間にこのチームは海外市場でサンプル調査を複数回行ってきていた、だと。「どんな調査をすれば良いのか」の段階だろう。
本書で素晴らしいところがある。それは豪華推薦者陣だ。やはり応援団が必要な本だったと分かる。
「人財」は新将命氏の登録商標
2010年8月10日火曜日
セミナーや講演稼業には3年手帳が必要か
2010年8月7日土曜日
経営者ブートキャンプ第4回
2010年8月6日金曜日
2010年8月4日水曜日
経営者ブートキャンプ 無料説明会セミナーの開催
2010年8月1日日曜日
「プロフェッショナルマネジャー」ハロルド・ジェニーン 書評(43)
プレジデント社2004年刊。著者はITTのCEOを長年務め、同社を巨大コングロマリットに仕上げただけでなく、58四半期に渡って連続増益させた。文句なしの名経営者。
ここでは、しかし解説をくわている柳井正(ご存知ファーストりテーリング社長)の「入れ込み具合」について感想を。帯で、柳井は「私の最高の経営の教科書」とまで持ち上げ、長い前書きと小冊子になるくらいの巻末解説を寄せている。
柳井の長文の解説を読んで、柳井とジェニーンの「相性の良さ」が理解できた。文章に表れている。
柳井の文章は、これだけの大会社の経営者にしては珍しくと言ってよいほど読みやすく、切れがある。柳井がとても明晰でそれを著わす(他に伝える)ことに優れていることは明らかだ。
ジェニーンの方も、概念の整理とそれの分派をきちっと説明できるという点で、言語的に優れている表現者だ。たとえば、「事実」という概念も経営の現場では
「表面的な事実」
「仮定的事実」
「報告された事実」
「希望的事実」
の違いがあるとし、それらを説明し分けている。まことに犀利な言い分けだ。
経営の現場でそれらのことは「起こっている」が、それらの現象の異なり具合に気づき、表現し分け、それぞれについての注意ごとなどにまでに「言と分け」できる経営者などそうそういるものではない。
柳井が、自分のやはり稀有な資質上の先達者としてジェニーンの本を発見し、それに心酔していったところが、私も「表現する経営者」として良く理解できる。この二人は同類項なのだ。