ブルー・オーシャン戦略の成功事例として著者達が掲げているものに、石灰質を沈着させない英国の電気ヤカン(フィリップス)というのがあった。
水質が悪いイギリスで、紅茶を点てるとコップの中に石灰質が浮くのだという。フィリップスの電気ケトルはそれを発生させない工夫をして市場を席巻した、そうである。
私がフィリップスの子会社の社長だったので、この例に目が行った。冗談じゃない!フィリップスはヨーロッパ屈指の数兆円企業である。イギリスでフィリップスが電気ヤカンでいくら売上げを上げたか著者達は示していない。それがいくらであろうと、フィリップス全体の業績にみじんも影響を与えなかったことは明白だし、何よりも近年フィリップスは家電事業全体を売却してしまった。イギリスの電気ヤカンは巨大企業フィリップスを救いはしなかったのだ。
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