私の書評は、経営書やビジネス書を主としているのだが、私のそもそもの専攻が国文学だった。だから、実は小説を読むのが好きである。またこの分野でも研究者でもあった(活字になっている学術論文もある)。
世界の小説でおよそ一番おもしろい者は、今まで私が読んできた中では「源氏物語」である。「源氏物語」はおもしろさとともに、その古さと長さでこれも世界一である。私たちは、世界の小説の中でも宝石中の宝石を手にしている幸せな国に生まれた。
「源氏物語」と同じくらいに長編なのが、A.デュマの「三銃士物語」であることはあまり知られていない。こちらの方は、歴史活劇として誠に雄渾、読書の醍醐味を感じさせる大作だ。
長々と、紫式部とデュマの礼賛を重ねてきたが、それも山田風太郎を今日のブログで比肩させたいからだ。
山田風太郎というと、忍法帖シリーズで知られていて、大衆エロ小説家のようなイメージを持たれている読者も多いのではないだろうか。かくいう私も数年前まではその類だった。
しかし、ここ数年、まず忍法帖以外にミステリーがあることを知り、それを紐解いてみると、その達者なことに驚嘆し、それから明治ものと言われる歴史シリーズに進み、そのストーリー・テラーぶりに大いに驚いた。
今回「叛旗兵」に至って、完全にシャッポを脱いだ。山田風太郎こそ、「日本のアレクサンドル・デュマ」と賞賛するにふさわしい大作家である。
キッチンハウス社で社長をしていた時代、社員に山田風太郎の長男がいた。いや、もう少し親父さんの話をしておけばよかった。
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