2018年2月21日水曜日

カルビー、突然に急成長ストップの異変…圧倒的ナンバーワンゆえの危機(6)

もちろんカルビーは踊り場を迎えた国内市場のてこ入れを図ろうとしている。今年に入り、「浜松餃子味」「芋けんぴ味(高知県)」「奥大和柿の葉すし味(奈良県)」「せいだのたまじ味(山梨県)」などをたて続けに発表している。47都道府県をカバーする“ご当地ポテトチップス”を展開しているのだ。どれだけの増収効果があるか、見ものである。

 ついでにいえば、伸び続けてきたカルビーの営業利益率も16年3月期に11.4%を記録したが17年3月もほぼ同様な率となり、足踏みの季節を迎えている。

海外勝負が残された成長への隘路


 数年来の業績好調を受けて、次の段階の飛躍のために松本会長が力を入れてきた2つのプロジェクトがある。

 ひとつは、通称「フルグラ」、フルーツグラノーラだ。朝食で食べられることの多いシリアルの一種だ。1991年に発売、2000年代の10年間、年間売上高は30億円程度で推移していたが、それが今や約300億円と10倍もの規模になっている。

 カルビーはこの商品の海外投入を広げていく。フルグラの中国内販売といえば、国内で業者や個人が買い付けて中国に持ち込む、輸出するという状況から、昨年ようやく中国の電子商取引最大手のアリババ・グループと提携して、アリババが運営するECサイト「天猫国際(Tmall Global)」で発売を開始した。今年は実際に中国の小売店での販売を始め、3月末までにはアジア諸国に販売先を広げるとしている。20年度にはフルグラの海外売上高300億円を目指すそうだ。

 また製造に関しては国内生産を続ける、ということだ。中国市場では日本製でアピールできるから、ということだ。主要な原料がオーツ麦と玄米ということで、調達の問題は大きくはならないだろう。しかし、総売上高が約2,500億円のカルビーにとって、フルグラだけでは救世主にはなりそうもないビジネス・ボリュームだ。

(この項 続く)

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