ヤマトといえば、すぐに思い出すのが名著『小倉昌男 経営学』(小倉昌男/日経BP社/1999年)だ。宅急便の創始者、小倉氏は前例のない事業を推し進めるため、国と訴訟を構えることもいとわなかった。腰の据わった、すばらしい経営者だった。
振り返ってヤマトの現状を見れば、昨年来の残業代未払い事件を発端に、そのサービス改革への社会的な理解はかつてないほど高まっている。むしろ、社会的要請といってもよい。
そのような状況にあって現経営陣は、なんだかわからない、そして実現性が薄い「新スライド価格決定方式」なるものを導入して問題を営業現場に押し付けようとしている。これは、個数のボリューム増という問題をすべてセールス・ドライバーという現場に押し付けてきた経営姿勢と一貫しているものだ。
大口の法人顧客には、むしろ個人客より高額な価格を要求するなど、発想の転換をしたほうがよい。ヤマトで変わるべきは価格方式よりも、状況に対応できないままできた経営陣なのではないか。
(この項 終わり)
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