2017年9月22日金曜日

海外客船クルーズ、ブーム&身近に…101泊・400万円で世界1周も人気(6)

オリンポス遺跡にて
外航クルーズの日本人旅客者数は、実は13年、14年と微減していた(「2015年の我が国のクルーズ等の動向について」国土交通省海事局外航課港湾局産業港湾課より)。

それだけに、15年から始まり当面続きそうな急増から、15年が日本の外航クルーズの元年となったように私には見える。

 日本船社でも郵船クルーズが飛鳥2で、18年出発の世界1周クルーズを募集し始めた。横浜発着で101泊102日間のクルーズで正規募集の値段は400万円から2600万円にも上るという。そんなビジネスが成り立つような時代がやってきた。

 国内でも船ではないが、JR各社による豪華列車によるクルーズトレインが相次いで導入されて大変な人気を博しているなど、マーケットの素地が大きく成長している。
 日本政府も訪日クルーズ旅客数500万人の実現に向けて、国土交通省が「ニッポンクルーズ列島化計画」として、国際クルーズ旅客受入機能高度化事業(補助事業)を開始している。インバウンドのクルーズの伸びに対応するには、現在決定的に不足している10万トンクラスの客船が接岸できる港湾の整備が不可欠となっている。

 ベストワンクルーズは今、旅客オペレーションの質の向上、オペレータの確保に悩んでいる、とのこと。お勧めしたのは、質の向上を目指すより、それを放棄したらどうかという方策だ。つまり徹底的にオンラインだけで収束してしまうモデルを構築するか、外部コール・センターに外注してしまうかのどちらかである。

 いずれにせよ、マーケットの追い風と独自のビジネス展開で成長必須のベストワンクルーズである。澤田社長も34歳という若さだ。急成長するベンチャーであることは間違いないだろう。

(この項 終わり)

2017年9月21日木曜日

海外客船クルーズ、ブーム&身近に…101泊・400万円で世界1周も人気(5)

お墓ではない、オリンピア遺跡である。
――インバウンドというわけですね。
澤田 それもあります。インバウンドの新規就航は海外の船社も含めて目白押しですが、それらの申し込みは取り込めていません。

――貴サイトは日本語だけですからね。
澤田 はい。ですから、ぜひサイトの多言語化を実現したい。世界のクルーズ人口は2,500万人を超えているといわれています。当社が対応できている日本人クルーズ人口は外航、国内合わせて25万人にすぎません。サイトを英語化して、世界のクルーズをサイトに取り組めば、99倍のマーケットに一挙に対応することができます。

――世界規模の英語版サイトがあるのですか?
澤田 はい、cruise.comというサイトが先行しています。このサイトは逆に日本語ではまだ使えません。

――当面の経営上の課題は?
澤田 旅行オペレーション部門の品質向上でしょうか。当社はオンライン志向ということもあり、電話やメール対応の面でご意見をいただくことがあります。また育成課題と併せて、お客様の急増に対応する人材採用、社員数の確保を行っていくのも、この人手不足の折、高い戦略性が求められると感じています。

――本日はありがとうございました。
澤田 新しいオフィスにも、ぜひ遊びにいらしてください。

(この項 続く)

2017年9月20日水曜日

海外客船クルーズ、ブーム&身近に…101泊・400万円で世界1周も人気(4)

プールはもう一つ有った

ネットの強みでグローバル展開を目指す



――貴社は澤田社長が創業なさったのですか。
澤田 いいえ。私は新卒としては証券会社に勤務しまして、それから別の会社に勤務していたのですが、29歳の時に弊社の代表を引き継ぎました。それから5年、現在34歳です。

――5年間で急成長させたと。
澤田 おかげさまで、年商も社員数も10倍ほどになってきています。

――今後のビジネスの展開について聞かせてください。
澤田 日本からの外航クルーズの人数が今年の18万人から2020年には50万人に達するとみています。現在当社のシェアは4-5%だと想定していますが、このシェアをさらに伸ばしていけば、マーケットの伸びとの相乗効果で大きな成長が目指せると思っています。

――そのための戦略は?
澤田 当社はあくまでも現在の強みであるオンラインの集客と販売で勝負していこうと思います。そして、次に目指しているのが日本以外での集客です。

(この項 続く)

2017年9月19日火曜日

海外客船クルーズ、ブーム&身近に…101泊・400万円で世界1周も人気(3)

船内にあるシアター。3階ぶち抜き、800人収容、毎晩違うショーが。

オンラインに特化したビジネスモデル



――貴社の特徴や強みはどんなところにあるのですか。
澤田 おかげさまでインターネットに強い、というところです。クルーズに関してネットの広告、サイトのつくり込み、オンラインでの申し込みや決済システムなどに強みを発揮しています。これらを使っての個人旅行の分野に特化、傾注しています。

――社員構成は?
澤田 現在30名ほどです。そのうち、システム開発に5名ほどいまして、当社のシステムはすべて内製しています。
――他の社員の方は?
澤田 旅行オペレーション部門がほとんどです。オンラインに特化していますが、まだまだ電話やメールでの問い合わせがありますので、それらに対応する社員たちです。

――店舗は本社のここだけですか? 大阪など他のマーケットにも店舗展開するプランはありますか?
澤田 実は9月に本社を移転することが決まっています。しかし、当社は来店型の営業形態を志向していないので、駅の直近の場所に移転するわけではありませんし、支店を設ける予定もありません。あくまでオンラインで完結できるビジネスモデルでいきたいと思っています。

(この項 続く)

2017年9月18日月曜日

海外客船クルーズ、ブーム&身近に…101泊・400万円で世界1周も人気(2)

船内に6つほど有ったレストランの一つ
――阪急交通社の外航クルーズの新聞広告はよく目にします。ベストワンクルーズの売り上げ規模を教えてください。
澤田 年商などは非公開にさせていただいていますが、おかげさまで前年対比で30%増を続けています。

――成長が加速しているのですね。
澤田 はい。外航クルーズの分野ではマーケット自体が成長していますし、当社はおかげさまでマーケットの成長をしのぐ速度で成長させていただいています。

――どの分野が好調なのでしょう。
澤田 クルーズは、外航クルーズ(アウトバウンド)、訪日クルーズ(インバウンド:日本で就航、あるいは日本に寄港する海外船社のクルーズ)、国内クルーズの3つに大別されています。当社は、すべて扱っていますが、特に外航クルーズの伸びが大きくなっています。

 商品としての外航クルーズは3つに大別されます。(1)添乗員付きのパッケージ旅行、(2)添乗員が付かない募集型のパッケージ旅行、そして(3)FITといわれる個人旅行です。FITとはForeign Independent Tourの略で、お客様のご希望によりクルーズ、航空券、ホテルなどを組み合わせ発注します。当社の売り上げは(2)と(3)で大部分を占めています。

(この項 続く)

2017年9月17日日曜日

海外客船クルーズ、ブーム&身近に…101泊・400万円で世界1周も人気(1)

筆者が乗った船、16階建て
急加速し始めた日本のクルーズ・ビジネスを牽引するオンラインクルーズ・エージェント。その運営会社ベストワンクルーズの澤田秀太社長に、前回に引き続きアウトバウンドの外航クルーズの実情を聞いた。

急成長を続けるクルーズ市場、ベストワンが外航クルーズで強み


――日本で外航クルーズ(出港地、寄港地、帰港地のいずれも日本国外)を手がけている主な旅行会社は、どんなところがありますか。
澤田秀太社長(以下、澤田) 総合旅行会社としては、JTBさんと阪急交通社さんが力を入れています。専業的な旅行会社としては、当社とクルーズプラネットさんが知られています。

――各社のクルーズ・ビジネスの規模は、どれくらいなのでしょうか。
澤田 JTBが100億円規模でトップ、これは日本船として世界1周クルーズを展開している飛鳥2【編注:正式表記はローマ数字】での売り上げが半分ほどあると見られています。飛鳥2は郵船クルーズが所有運航しています。

(この項 続く)

2017年9月16日土曜日

対談してくださる経営者を募集します。



山田修の間違いだらけのビジネス戦略
ビジネスジャーナルでの連載コラムです。


【山田修と対談する経営者の方を募集します】

本連載記事で山田修と対談して、業容や戦略、事業拡大の志を披露してくださる経営者の方を募集します。

・急成長している
・ユニークなビジネス・モデルである
・大きな志を抱いている
・創業時などでの困難を乗り越えて発展フェーズにある
などに該当する企業の経営者の方が対象です。
ご希望の向きは山田修まで直接ご連絡ください。
山田修

選考させてもらいますのでご了承ください。



2017年9月15日金曜日

『経営戦略を問い直す』(三品和弘、ちくま新書)(3)

「同じ経営者が10年以上その任にある」
ということになると、多くの上場企業にはあてはまらない。実際、上場企業といえど、その会社の創業経営者、あるいは同族出身の実質オーナー経営者のような立場の人でなければ、その位置に君臨し続けられない。

しかし、この指摘は、中小あるいは中堅の企業で、創業社長や2代目以降のオーナー社長には力強いメッセージだろう。
彼らが、「成長より利益」を旨として力強い戦略経営を続ければ、10年単位でその会社は大きく利益業績を伸ばす可能性がある、ということに演繹される。

こんなことを知ることができるのも
「知識は力だ」。経営者よ、本を読もう。刺激を受けよう、セオリーを知ろう。

(この項終わり)

2017年9月14日木曜日

『経営戦略を問い直す』(三品和弘、ちくま新書)(2)

いくつかのご著書を通じて教授が主張されたことは、
「企業の繁栄、発展は売り上げではなく利益にある」
ということだ。上場していて業績が公開されている多数の会社、そして同じ業界で経年的な業績比較をしている。

そして、明らかにしたことは、
「利益率が高率に推移していることと、経営者の在任期間は相関関係にある」
ということだ。戦略経営者が10年以上在籍している会社なら、高率の営業利益率、営業利益額をたたきだせる可能性がある、とデータを駆使して示している。

(この項 続く)

2017年9月13日水曜日

『経営戦略を問い直す』(三品和弘、ちくま新書)(1)

リーダーズブートキャンプ第3期ではじめに取り上げた課題図書。

三品和弘氏は、神戸大学の教授。戦略論を専門としている日本の学者の中で、私が信頼するお一人。

三品教授の学風は、多数の企業データを扱い、分析比較して説を立てる実証的なもの。本書は新書なので軽く見えるが、たとえば『戦略暴走』(東洋経済新報社、2010年)は179もの企業事例をケーススタディ的に分析している。それを、教授の造語でもある「戦略不全」的な視点で不調の道程を明らかにしている。その仕事量には圧倒された。

経営戦略のクラスなので、ビジネススクールなら、教授の出世作(と言っては大先生に失礼だが)『戦略不全の論理』(東洋経済出版社、2009年)を読んでもらうのだが、本書のほうがいわばダイジェストで敷居が低いので選んだ。

(この項 続く)

2017年9月12日火曜日

豪華客船クルーズがブーム…1泊1万円で食事も多彩なイベントも無料、毎日寄港地でツアー(10)

ドブロニクの城壁の中、旧市街。要塞の町。
――エクスカーションはオプション、つまり客が選べる、そして有料ですね。私たちも寄港地に着くたびに何かのエクスカーションに参加しました。
澤田 そして結局、お金を使われるわけですね。

――クルーズの中での物価は高いのか、安いのか。食事やイベントは無料のものが多いのですが、スパやらワインやらお店やらは結構な価格ですね。プロのカメラマンが多数乗り込んでやたら写真を撮ってくれて、きれいに修整した引き伸ばしをその日のうちに展示してくれるのですが、買い取るとなると1枚20ユーロ(約2,500円)取られました。何枚も買ってしまいました(笑)。
澤田:実はクルーズの参加費以上を乗船中に消費なさる方が多いですね。

――立派なカジノまでありました。
澤田 公海上を行く場合は、ギャンブルは規制されません。

(この項 続く)

2017年9月11日月曜日

豪華客船クルーズがブーム…1泊1万円で食事も多彩なイベントも無料、毎日寄港地でツアー(9)

城塞都市ドブロニクを山頂から

――クルーズを提供している船会社としては、主なところにはどんな会社があるのですか。
澤田 カーニバル・コーポレーションというアメリカの会社が大きいですね。同社は近年、同業大手のプリンセス・クルーズを買収して年商を1兆円としました。主な船社としては、世界に50社くらいでしょうか。

――大きな船というと、どのくらいのものが就航しているのでしょう。
澤田 カリブ海に就航しているロイヤル・カリビアン社が22万トン、お客様が8,000人搭乗という船を3隻就航させています。

――スタッフ、乗員を含めると、1万人もの人たちが移動するわけですね。「セイルするホテル」どころかもはや「セイルする町」ではないですか。私の先日のクルーズ中に、あるオフィサー(船の上級船員)と話したのですが、「クルーズを本当に楽しむなら、もう少し小ぶりの船のほうがいいかもしれない。小さな船だと、参加者とクルーたちが最後にはファミリーのようになるんだ。キャプテンと順番にディナーを共にしたりすることもある」と言っていました。
澤田 ヨーロッパでいえば、リバークルーズなどがそれに当たると思います。ライン川やドナウ川を50から100名程度のお客様で行き来する、というクルーズです。寄港地ではそれぞれの町のお城や地域のお祭りなどのツアー(エクスカーション:遠足)があります。

(この項 続く)

2017年9月10日日曜日

豪華客船クルーズがブーム…1泊1万円で食事も多彩なイベントも無料、毎日寄港地でツアー(8)



ボートの中にはカジノも。ディーラーも活躍。
――そういえば、私が乗ったクルーズも子供連れのヨーロッパ人が多く、中産階級の人たちにとって当たり前なのレジャーのように見えました。全世界でのクルーズ人口はどのくらいですか。
澤田 年間で2,500万人くらいが市場規模でしょう。日本の搭乗者数は16年に外航クルーズが15.4万人、国内クルーズが9.4万人でした。

――日本のクルーズ人口は、世界全体の1%にしかならないのですね。
澤田 そうです。拡大余地は無限にありますし、急増し始めました。私たちは確かな手ごたえを感じています。

(この項 続く)

2017年9月9日土曜日

豪華客船クルーズがブーム…1泊1万円で食事も多彩なイベントも無料、毎日寄港地でツアー(7)

観光客でごったかえすオリンポス遺跡
――確かに、海外旅行初心者では、それぞれの地域への旅行ならまず大都市をカバーしようということになるので、クルーズは海外旅行リピーターが中心となるのでしょう。地域的にはどんなところが人気があるのですか。
澤田 3大地域は、エーゲ海と地中海を中心としたヨーロッパ、カリブ海、そしてアジアです。アジアのクルーズというのは、シンガポールを起点とするものが多くなっています。

――(前出の)「クルーズ等の動向について」を見ると、ヨーロッパが31.3%、アラスカを含む北米とカリブ海が20.1%、アジアが32%となっていますね。


世界のクルーズ・マーケットは2,500万人



――クルーズは、海外ではどのくらい盛んなのですか。
澤田 ヨーロッパとアメリカが2大マーケットです。年間の搭乗者数でいえば、ヨーロッパが500~600万人、アメリカが1,300~1,500万人といわれています。

(この項 続く)

2017年9月8日金曜日

豪華客船クルーズがブーム…1泊1万円で食事も多彩なイベントも無料、毎日寄港地でツアー(6)

白い家並みが義務付けられているミコロス島
――好調の理由をどうご覧になっていますか。
澤田 3つあると思います。ひとつは、価格が下がってきていること。船体が10万トンを超えるなど大型化して多客航海をするようになって、コストの効率化が進んできました。その結果、1泊当たりの価格が1万円前後となってきました。3食付いているので、これはホテルよりも安くて楽しいイベント付きの旅程となります。

――ワインなどの飲み物は別料金でしたが、船内でのイベントの多彩なことには驚きもし、楽しみました。私の船には、3階ぶち抜きでの収容人数が数百人もの本格的なシアターがあり、毎晩別の出し物が2回ずつ上演され、無料でした。
澤田 2つ目は、私たち旅行会社がマーケティングに力を入れてきていること。内外の船会社も積極的に協力してくれたり、独自での情報発信を強めています。

 3つ目は、クルーズを楽しめるお客様の層が厚くなった、ということでしょう。もちろん高齢化が進んでいてリタイアしたシニアの皆さんには時間と予算に余裕がある、という状況がひとつ。それ以外の層も、海外旅行に慣れた方たちがクルーズの魅力を発見してくれるということです。

(この項 続く)

2017年9月7日木曜日

豪華客船クルーズがブーム…1泊1万円で食事も多彩なイベントも無料、毎日寄港地でツアー(5)

古代オリンピックが発祥したグラウンド。100M競争?

今年は20%伸びて18万人台にも




――先日、私は初めてクルーズを体験しました。ベネチアから出航して7泊8日でエーゲ海、アドリア海を回るというクルーズで、旅客数3,000人、スタッフの乗り込みが1,000人以上、船は9万トンで16階建てと、海の上を走るビルという威容で度肝を抜かれました。
澤田秀太社長(以下、澤田) 楽しまれましたか。

――部屋は移動しなくていいし、食事は食べ放題、船内のイベントは目白押し、毎日朝になると次の寄港地に着いていてバスなどのオプション・ツアーがいくつもある、ということでしたね。海外にはたぶん70回近く出かけているのですが、指を折る楽しみでした。
澤田 一度クルーズを体験すると、リピーターになる方が圧倒的に多いですね。

――そこで、澤田社長からぜひお話をうかがいたいと思います。外航クルーズの旅客数はだいぶ伸びていますね。
澤田 14年、15年と足踏みしていたのですが、16年は15%増えて15万人を達成しました。今年はさらに好調で、うまくすれば18万人に達するのではないかと見ています。当社のお客様でいえば、20歳から65歳までで全体の80%を占めているのですが、増えている層もシニアだけでなく、すべての年齢層で伸びています。20年には日本から外国のクルーズに出かける方の数が、50万人を達成しないかと期待しています。

(この項 続く)

2017年9月6日水曜日

豪華客船クルーズがブーム…1泊1万円で食事も多彩なイベントも無料、毎日寄港地でツアー(4)

バリの歴史的町並み。世界遺産。
「クルーズ・ブームが来た」といわれて、テレビなどではヨーロッパやカリブ海での豪華なクルージングが紹介されることが目につくようになった。

実際、2016年のクルーズ乗客数は国内が9.4万人と対前年比7.6%増となったのに対し、外航は15.4万人(対前年比15.5%増)と、わざわざ海外に出かけて船に乗り込むかたちのクルーズが大きく伸張した(「2016年の我が国のクルーズ等の動向について」海事局外航課、港湾局産業港湾課より)。

 そこで今回、急加速し始めた日本のクルーズビジネスを牽引するオンラインクルーズ・エージェントの雄、ベストワンクルーズを運営するベストワンドットコムの澤田秀太社長に展望を聞いた。

(この項 続く)

2017年9月5日火曜日

豪華客船クルーズがブーム…1泊1万円で食事も多彩なイベントも無料、毎日寄港地でツアー(3)

ベネチアで
イタリアに行くのは5回目か。ベネチアだけは足を伸ばしていなかったので、今回の旅程はそれもひとつの理由。

ベネチアに入ると、陸路の移動手段が何も無い。ボートバスがあるのだが、停留所の乗り降りに時間がかかるし、観光客でとても混雑。

タクシー、と言ってもボートタクシーがホテルの裏の水路まで迎えに来てくれるのだが、これがすぐに50-70ユーロという値段となるので、一回の移動で1万円くらいかかる。食事や観光に行くと往復のボートタクシー代が恐ろしい。

食事は、さすがイタリア。初日にスリに会い、400-500ユーロを盗まれる。前回もスリに会い、その時は被害が無かったけれど。パスポートはホテルにおいてきて良かった。

相当めげた。

(この項 つづく)

2017年9月4日月曜日

豪華客船クルーズがブーム…1泊1万円で食事も多彩なイベントも無料、毎日寄港地でツアー(2)

クルーズの旅程図だ。ベネチア(ベニス)を出発すると、イタリア東岸の古都バリに上陸。

その後エーゲ海に出て、ギリシアの港町カタコロンでオリンピック発祥の遺跡オリンピアを訪ねた。ミコノス島ではギリシアらしい白い建物、そして青い屋根という眺めを楽しんだ。エーゲ海の海や空気、光の強さはあそこ独特のもので強い印象を持った。

アテネでは巨大なオリンポス遺跡に登り西洋文明の発祥を検分した。
サランダ(アルバニア)は素朴な港町で、クルーズが来るとそのときだけ開く店などが多かった。ドブロニック(クロアチア)は「アドリア海の真珠」と謳われる港湾都市で美しい。

これらの街には、クルーズでなければ行くことは無かっただろう。印象深い旅となった。

(この項 続く)

2017年9月3日日曜日

豪華客船クルーズがブーム…1泊1万円で食事も多彩なイベントも無料、毎日寄港地でツアー(1)

夏休みに、クルーズに出かけてきた。海外旅行の回数は多いが、クルーズは初めて。
イタリアのベネチア(ベニス)に飛行機で飛び、そこで前泊。

クルーズ自体は7泊8日。前後の移動も含めて、11日間の夏休みとした。
写真の船でイタリアの東側の海、アドリア海とエーゲ海をまわり戻ってくる。

ボートの巨大なことにびっくり。16階建てなので、大きなビルである。登場客は3千人、それをサービスするスタッフは船員を含めて1,000人を超える。客席とそこで受けられるサービスはホテルそのもので、まさにセイルする大型ホテルだった。

(この項 続く)

2017年9月2日土曜日

「化け物」ゾゾタウン、「とにかく買わせる」仕掛けの秘密…有名ブランドも大挙して出店(7)

所有していない経営資源を急速に補充するひとつの手段がM&A(合併・買収)だ。スタートトウデイは、M&Aに対して消極的ではない。

古着のEC事業を手掛けるクラウンジュエル、「ストアーズ・ドット・ジェーピー(STORES.jp)」などを手掛けるブラケット、電子雑誌書店「マガストア」を運用・開発するヤッパに続いて、15年5月にはECサイトの構築会社であるアラタナを傘下に入れている。

 スタートトゥデイがマザーズに上場公開したのは07年12月のことだった。それが10年の間にこの急成長である。前澤社長は創業経営者として、また人間的にユニークで興味が尽きない方なので、稿を改めてぜひ紹介、分析してみたい。

 その前澤社長が狙ってきた新業態がいよいよ始動の段階に入っている。必要とする経営資源が現時点で不足している状況で、この稀代の創業経営者がどんな手を打とうとしているのか、そしてそれは思惑どおりに成功するのか。経営戦略的にとても興味がある段階で、目を離すことができない。

(この項 終わり)

2017年9月1日金曜日

「化け物」ゾゾタウン、「とにかく買わせる」仕掛けの秘密…有名ブランドも大挙して出店(6)

しかし、この新しい業態は前澤社長にとって新たな挑戦となる。実際、「準備に6~7年かけた」とツイッターで漏らしているように、他社製品を糾合する従来型のECではない、いわばメーカーとなるので企画、デザイン、生産発注、製造・品質・在庫のコントロールなどの経営要素に取り組まなければならない。しかも、既存出店社とは競合関係が発生する。

「経営資源論」の観点から見ると、上記のような経営資源は現在同社グループに存在しないか、潤沢にあるようには見えない。デザイナーの募集を始めたが、機能させるためには組織として社内にオーガナイズして定着機能化させなければならない。そのためにはコアとなる人材が必要だ。他部門とのコーディネーションやはめ込みにも時間がかかる。そんな困難の上に構築されるから「経営資源」となりうるわけだ。

(この項 続く)