川崎重工、想定外の損失計上で快進撃にブレーキ…「負け犬」船舶事業を捨てるべき(5)
ROIC分析を経営実践に活かし続けろ
川崎重工では、7事業部のレベルを超えて32のビジネスユニット(BU)をROICチャート分析しているという。そして、それによりBUを5つの格付けランクに分けている。それは当然のことで、PPM亜流のROICは事業の優先順位、投資順位を求めるものだからだ。多岐にというか広範な事業展開をしている同社のような大企業では、経営トップといえどすべての事業の詳細について把握できない。詳細を把握することなしにメリハリを付けた経営をしていく技法が必要なのだ。
川崎重工の場合、ROIC分析に基づいた格付けをBUレベルでは開示していないという。社員は自部門の格付けは知らないというのだ。これについて太田和男CFO(最高財務責任者)は、「『ウチはコングロマリット(複合体)経営。強い事業と弱い事業が相互に補完できる体制づくりが優先』と語り、事業の選択と集中には慎重だ」(「日経ビジネス」(日経BP社/1月18日号)と説明している。
せっかく複雑な分析技法を開発・駆使しているのに、その結果は発表しないし、使わないという。つまり、財務部門の単なるシミュレーションであり、太田氏の時間潰しということであろうか。
(この項 続く)
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