本書で著者たちは、P&Gで実践したマーケティングを「戦略のカスケード(滝)」と名付け、上から流れていくイメージの5つのステップを説明している。
1.勝利のアスピレーションは何か?
2.どこで戦うか?
3.どうやって戦うか?
4.どんな能力が必要か?
5.どんな経営システムが必要か?
そして、各項目に1章を当てて詳述しているわけだが、各章ではP&Gが実際に展開したブランド事例の進捗が内部から詳細に語られ、興味が尽きない。
同社は「企業マーケティング大学」と呼ばれるほど、マーケティングの世界、就中B-to-C、でトイレアタリーの分野からはみ出てパッケージング・グッヅの世界では文字通り世界の覇者だ。
数百も展開しているブランド群のマネジメントを統括している方法論をラフリーたちは洗練させ、徹底させた。もちろん、同社ほどの経営資源を蓄積した企業はこの分野では他にあまりない。だから、その方法をただちに中堅や中小企業で導入するには難しい部分も多々ある。しかし、あれだけまでに成功している会社の方法論を元CEOが語り明かしてくれる本書は、まことに実践マーケティング教本としての価値がある。
(この項 終わり)
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