パナソニックが津賀一宏社長主導の改革によりV字回復の様相を呈しているのに比べて、ソニーでは平井一夫社長の経営力に多くのOBが疑問を投げかけている。実はソニーほど多数のOBが公に同社についてコメントする会社は珍しい。OBが著した「ソニー本」は優に数十冊を超える。
例えば、元ソニー・ミュージックエンタテインメント社長の丸山茂雄氏は、
「“斬新で高級なおもちゃ”を世に送り出すという創業時からのソニーの使命は、20年前の大賀さんの引退で、もう終わっていたんだよ」(「日経ビジネス」(日経BP社/4月20日号)
と指摘する。
しかし問題は、OBたちの多くが、大賀典雄社長時代以前のように画期的なエレキ製品を世に送り続けた「栄光の製造業」への回帰、再現を希求していることだ。OBまでも「成功の復讐」にとらわれている。そして消費者や業界関係者の多くも、「世界のソニー」として刷り込まれてきたかつてのイメージと比べて失望感を高めたり、過去の栄光への回帰を求めているのだ。
ところがソニーという企業の体質は、丸山氏が指摘しているように20年前から変質し始めている。OBも、そして現経営陣も、それを自覚する必要がある。
(この項 続く)
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