2015年5月1日金曜日

富士フイルム、そのエクセレントな転地経営(2)

拡大するセキュリティ市場
 
実はCDI創業者の一人、米ウィスコンシン大学のジェームズ・トムソン教授は、この研究分野で山中伸弥・京都大学教授の最大のライバルだとされており、今回のCDI買収に対して山中氏がどのような立ち位置を取るのか注目されていた。その山中氏はすでに、有力なiPS細胞関連特許についてCDIとの相互利用を検討中であることを明らかにしており、臨床応用が進むとの期待も高まっている。

周到な多角化戦略


 医療再生分野での富士フイルムHDの多角化は、実に周到に展開されており、舌を巻くばかりだ。2008年に買収した医薬品中堅、富山化学工業は、当時最終赤字87億円の企業だったが、今ではエボラ出血熱に対する治療薬として期待される「アビガン錠」で世界的に注目を集めている。また昨年10月末に連結子会社化を発表しJ‐TECも赤字が続いていたが、再生医療製品開発という事業分野を有望視して参入した。今回のCDI取得により、両社の相乗効果は計り知れない。

(この項 続く)

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