●欧米的な企業文化を伝統的な日本企業へ持ち込み
一方、藤森氏は果断に欧米的な企業文化をLIXILグループという伝統的な日本の大企業に持ち込んだ。同氏が振り返る。
「全体として大規模のコスト削減を行い、収益性を高めるには別なやり方をする必要があると考えた。そこで各事業会社の社長をすべて部長にし、一つの会社にした。」(13年1月18日付経営情報サイト「GLOBIS.JP」より)これは組織改革でもあるが、藤森氏のヘゲモニー確立セレモニーともいえる。これが通れば、その後は旧来の重役たちは藤森氏に楯突くことはできない。こうしてリーダーシップを確立してから、同氏は次々と矢を放った。
「LIXILには強いブランド、強い商品があり、様々な分野で業界のNo.1、No.2のシェアを握っている。しかし残念ながら、いずれもあくまで日本国内の話だ。ジャック(・ウェルチ)は常々『世界でNo.1、No.2でなければ、クローズするか売るかだ』と言っていた。そうしたマインドを企業カルチャーとして埋め込む必要があった。ちなみにこれはいきなり断行したわけではなく、3年ぐらいをかけ、まずは執行役員の半数程度を“外様”にするところからやった。野村證券やファナック、三洋電機など異分野の人材を入れ、そのトドメとして組織形態を変え、一気に会社のカルチャーを変え、コスト構造もきれいにし、世界に打って出よう、ということで船出した」(同)
周到にして果断、このように藤森氏は伝統的な大企業を大変革して、LIXILにグローバル化の道程を歩み始めさせているのだ。このままLIXILグループを3兆円、5兆円規模の企業に育て上げれば、孫正義氏や柳井正氏などと並ぶ「平成の大経営者」の道を上り詰めていくかもしれない。創業家が存在する日本の伝統的なメーカーで、外資出身の経営者が辣腕を振るっているのは痛快だ。藤森氏の経営を刮目してみていきたい。
(この項 終わり)
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