ユニクロなどを展開するファーストリテイリングCEOの柳井正氏は、社外役員としてソフトバンクの役員会に出席した時の印象を次のように述べています。
「ソフトバンクの役員会は活発ですよ。外から見ていると、ソフトバンクという会社は孫さんがひとりで全部決裁しているような印象がある。だが、実際の役員会はみんなが議論して、物事を決めている。ソフトバンクの役員会に出ていると、孫さんは人の意見に耳を傾ける経営者だと感じます」(『成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝』<レイ・クロックほか/プレジデント社>より)
●人が居着かないファストリ
柳井氏のこの発言は興味深い。というのは、柳井氏がそう感じるのは、「ファストリの役員会はそうではないのだろう」という推察につながるからです。孫氏がソフトバンクの社外取締役として柳井氏を招いているのに、柳井氏は孫氏に自社の社外取締役を依頼していません。柳井氏は
「(日本電産社長の)永守(重信)さんと孫さんだけ。この二人だけが、僕が日本で尊敬する経営者だ」(「週刊東洋経済」<12年11月24日号/東洋経済新報社>より)
とまで言っているのに、その孫氏の助言を自社に対しては正式のものとしては依頼していないのです。
(この項 続く)