ソフトバンクのOB経営者は、SBIホールディングスの北尾吉孝社長などのように今でも孫氏と親交を保っている人が多いように見受けられます。
一方、ファストリの場合は、柳井氏に次ぐNo.2になるような、あるいはその候補たるべき人材が外に出た後、柳井氏と親交を続けているという話をあまり聞いたことはありません。
●伸びしろで勝るソフトバンク
日本が誇る創業型の2大名経営者というべき孫氏と柳井氏の今後はどうなるでしょう。大きな要素は、やはり年齢でしょう。65歳となった柳井氏は以前から「65歳引退」を公言していましたが、続投することにしましたし、つい最近では
「僕は一生引退できないのではないかと思う」
とまで語り、自身が引き続き経営を主導して事業拡大を目指す意向も表明しています(3月28日付共同通信社インタビュー記事より)。
ファストリについては、前述したように柳井氏は「孤高の名経営者」という立場です。逆に言えば、この「最高のCEO」に陰りが出た時、同グループの快進撃は止まるような構造になっています。そして、人間に老いは必ず来ます。以前は、「世襲は絶対やらない」と柳井氏は公言していましたが、共同通信記事では「グループ執行役員を務める長男一海氏と次男康治氏の将来の処遇に関して『会長や副会長みたいなことをしてもらったらと考えている』と説明した」と報じられています。正直、驚きの感想を持たざるを得ません。
(この項 続く)