日経BP社、新刊。
従来のヒーロー型のリーダー像は実像にそぐわないと切って捨てるが、それではそれに代わるイメージを提出することはない。初めの方で「マネジメントは実践の行為である」と指摘していて、その通りなので反論もないが、「何を今更」と感じてしまう。
「マネジメントのモデル」が第3章で提出されていて、マネジャーの行為を三つの次元で説明している。しかし、モデルの提出が唐突で、証明が無い。
「マネジメントの思考様式の5つの糸」のモデルで「マネジメントの成功と失敗を考える枠組み」を示そうとしているが、気の利いたネーミングの要素の羅列の域を出たようには感じられない。つまりマネジャーの意思決定や行動を起動する「相互要素としてのモデル」としての説得力に欠ける。
マネジメントとは雑多な行為を間隙なく遂行せざるを得ない存在だと喝破し(それも事実である)、重要なことはバランスの取れたマネジメントを行うことだという。29人のマネジャーに密着して観察しての知見を展開しているわけで、マネジメントが雑多な行為であるという観察を示そうと紙数を費やしている。しかし、その観察の報告が子細になっても、彼のポイントも雑多なままに感じられる。つまり収束してこない。
大部であるし引用文献も多く、本格的な学術書ではある。しかし読後疲労感の大きい割に読了達成感が少ないのは、マネジメントという迷宮から結局連れ出してもらえなかったからだろう。
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