日経ビジネス文庫。著者はそれぞれロンドン・ビジネススクールとミシガン・ビジネススクールの元教授。
著者たちは冒頭第一章で、「何に向かって会社を変革するのか」と経営者に投げかける。そして次のような観点を検討する必要があると啓蒙している。
*5年から10年後に業界の構造がどう変わってほしいか。
*業界の変革を自社に有利に展開するにはどうする。
*業界で主導的な地位を築くには、、、
「それぞれの業界でトップになろう」というのが著者たちの示すゴールであり、続く章は「そのためには」と説いているのが本書だ。
しかし、5年も10年も先と言えば「自社」を想定することさえ難しいのに、「業界全体」の構造まで当社1社で規定、コントロールなどできることなのだろうか。それがあまりに不確定だとしたら、それを所与の目標として現在の自社を規定することは賢いことではないだろう。
グーグルでさえ、10年前に現在の状況を想定して戦略を設定したのではなく、時間枠の進行とともに「反応・対応」的に大小の意思決定をしてきたはずである。
そもそも、「業界1位」をめざす?仮に業界を150程度に分類したとして、この著者たちの主張が適応される企業と言うのは、日本だけでは300もないということになろう。著者たちが議論しているケースが大企業、大産業に偏していることから、ますます該当する企業は限定された「既に大企業」ということになる。
結論からいえば、本書は日本でだからせいぜい300部くらい読まれれば必要にして十分なはずだが、文庫本まで出ているのはどうしたことか。夢を持たなければ生きてはいけないという、厳しい現状は個人も企業も同じだからということだろう。
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