プロ経営者の一人である松本晃氏がカルビーを電撃退任したのが3月末のことだった。
私は実は2月の段階で次のように松本氏のカルビーからの離任を煽った。
「私も経験したことだが、外から乗り込んだプロ経営者も数年すると、改革のカードを切り終わってしまって、手詰まりになることがある。松本会長が活躍するステージを変えることも有用なこととなるのではないか。新天地でさらなるトラック・レコードを積み上げるのはどうだろう。」
拙記事が松本氏の背中を押したとも伝えられたが、離任した同氏を招請したいとリクエストが殺到する中、6月24日付けでRIZAPグループの代表取締役最高執行責任者(COO)に就任した。
松本氏の今回の去就を巡って様々なメディアが論評している。「権威や権力と戦うオピニオン誌」を称している月間「テーミス」の7月号が、本ブログ記事と同じタイトルで2ページの解説記事を発表した。
同記事の半分ほどのスペースで私の見解を述べたので、それを収載する。
(この記事 続く)
2018年6月30日土曜日
2018年6月2日土曜日
頑なに内田前監督を擁護する日大経営陣は機能麻痺…巨大学校法人として終わっている(5)
田中英壽理事長の懐刀
マンモス大学である日大には労働組合も複数あるが、非常勤講師の組合である日大ユニオンは、5月16日付「Net IB News」記事で次のように語っている。
「日本大学の理事会は体育会に牛耳られています。相撲部出身の田中理事長もそうですが、アメフト部関係者も権力を持っている」
また田中理事長は、内田前監督の「親分」だとする日大関係者もいる。5月6日の試合中に事件が起き、社会的な大問題となっても内田氏がアメフト部監督を辞任したのが19日、そして日大理事職の座に居続けるのは、田中理事長との強い関係、信任があるからだと推察される。
今回のような組織全体に重大な影響を与える事件・事案が企業に起きた場合、通常はどのような動きが取られるだろうか。7000人もの社員がいる大企業なら、田中理事長は社長、内田前理事長は専務取締役などに置き換えて事態を想定できる。
専務が直接統括している事業活動で重大な失態を犯してしまった。それを咎められるのは取締役会ではなく、上司である社長、あるいは会長くらいしかいない。日大の場合、創業家が理事会に参画していないようなので、専務を叱責できるのは社長のみ、という構図だ。
社業のすべてに最終責任を持つ社長なら、専務の責任を追及するだけでなく、事態の経緯や会社の対応、専務の責任の取らせ方などについて世間に発表、発信しなければならない。それが大企業にふさわしいガバナンスというものだ。
日大の場合はどうだろうか。
(この項 終わり)
2018年6月1日金曜日
頑なに内田前監督を擁護する日大経営陣は機能麻痺…巨大学校法人として終わっている(4)
日本大学で権勢を振るう内田前監督
日大広報部が、宮川選手側の指摘にあえて目をつぶるような、納得感が感じられない擁護コメントを出したのには、どんな事情があるのか。
内田前監督は、実は単なる体育会の一監督ではなく、このマンモス大学の理事、それも常務理事なのだ。日大には34名の理事がいるが、常務理事は5名だけだ。そのなかでも、内田氏は人事担当でもある。人事権を握っているので、田中英壽理事長に次ぐ日大経営部門のNo.2だといわれている。
大学や学校法人には、理事長と総長(あるいは学長)という職位が並存していて紛らわしいが、総長・学長は教授からの互選などで選ばれ、教育と研究部門のトップであり、学校・学園の経営に当たるのが理事長をトップとする理事会である。一般企業でいえば、理事会は取締役会、常務理事は役職取締役(専務や常務、副社長)、理事長が社長に該当する責任分担だと理解できる。
日大は日本最大の学校法人で、教職員数は7000人を超えている。この大組織の人事権を握っている常務理事というのは、職員の生殺与奪の力を有しているといっても過言ではない。日本大学の広報部が今回の事件に関連して内田氏擁護的なコメントを連発したのは、流行の「忖度」として十分に理解できることなのだ。広報部がそんな忖度を自覚し、「広報機能が麻痺している」と報じられるほど、やる気がないのかもしれない。
(この項 続く)